※これは妄想腐小説です BL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~
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取り敢えず分かった事をまとめると、“姫様”というのは櫻谷が世話になっている人で名を姫乃さんというらしい。
だから櫻谷はその人の事を“姫様”と呼んでいると…
そして呼ぶと睨まれるというのは当然だとは思う…。
俺も男なのに女みたいな呼び方されたら嫌だからな。
しかし……
《姫様はHIMEI警備保障という会社の社長なんだ。
“HIMENO”じゃないのはパートナーが殿井という名字だから合わせてその名前にしたらしいよ。
姫に殿なんて初めて聞いた時は笑っちゃったよ。ハハハ。
あ、でもここの警備はしてないんだ。
この学園もHIMEIの警備員だったらこそこそしてても見過ごしてもらえたと思うんだけどね?》
…よく喋るな。
そこまで言っていいのか?って所まで言ってると思うけど……
しかもこいつ…明るく笑って話すんだよな…
さっきもそうだ。
思い出したくもないであろう過去なのになんであんな風に笑って言えるんだよ…
《俺も将来はHIMEI警備保障で働きたいから少し前から勉強はしてるんだけど、やっぱり難しいね。
今回俺がしたのもTVのドラマとかで見たのを真似ただけだったから本職の人からしたら幼稚みたいで、使えないと叱られるのも尤もな意見で__ 》
『……』
《…あ、ごめん。話しすぎだ…よね。》
『え?あ、いや…それはそうだけど……その…』
《?》
『そのさ……なんでそんな明るく話せるんだ?』
《え?》
『…だって…そうだろ?
殴られてたとかって話しは…思い出したくもない事だしましてや言いたくもない事だろ?
それなのに笑ってられるなんて……』
《ああ、それね?
それは “笑って楽しめ” って言われてるからだよ。》
『笑って楽しめ?』
《そう。
俺は元々こうじゃなかったんだ。
それこそ大嶺君が言うようにあのクズ親が憎くて思い出したくもなかった。》
『……』
《でも、姫様が俺に言ったんだ。
“黙るな、溜め込むんだったら喚き散らせ” ってね。》
『!』
《姫様って口が悪いんだ。
最初から俺の親の事も散々言ってた。
俺がクズ親とか言うのも姫様に影響されてなんだ。
でも俺にとってはそれが効果的だったみたい。
泣きながら喚き散らしてたら、悪いのはあのクズ親で俺は何も悪くないんだって徐々に分かっていったからね。》
『……』
《そして落ちついた頃に姫様は言ったんだ。
俺が親にできる1番の復讐は、これから俺が笑って幸せでいる事だって。》
『!』
《姫様は復讐しろなんて簡単に怖い言葉を言える人だけど、俺にとっては道を示してくれた恩人なんだ。》
『……』
《そのお陰で今ではこうして笑って話せるんだ。
不意に昔を思い出してムカッとする時もなくはないけど、そんな時は姫様が気付いて俺以上にクズ親を罵ってくれるしね。
それがまた容赦ないから聞いてて楽しくなるんだよ。ハハハ。》
…なんか色々と凄い人だなお姫様って人は……
でも、1番の復讐は笑って幸せでいる事…か。
へぇ……
ザッザッザ…
…ん?誰か来たか?
「大嶺 智夜君ですね?」
『え?あ、はい…』
「授業前に学園長からお話があるそうです。
一緒に来て頂けますか?」
話し…?
もしかしてあの日の事でか?
《あ!じゃあ俺も__ 》
「櫻谷君。君は呼んでいません。」
《ありゃ…。》
『…分かりました。』
「じゃあ行きましょう。」
『…櫻谷、じゃあまた。』
《うん!教室で待ってるよ!
あ、何かあったら直ぐに迎えに行くからその時は呼んでね!?》
学園長と会うだけなのに“何か”って何があるんだよ…?
しかも呼ぶって……
スマホの番号とか知らないんだけど?
でも、まぁ…
この櫻谷なら本当にただ呼んだだけで来そうだけどな…
《大嶺君いい?ちゃんと呼んでよ?》
『…分かった分かった。じゃ。』
《うん、行ってらっしゃい!》
俺に向かって“行ってらっしゃい”と言いながら手を振る櫻谷…
フフ…
ほんと、変な奴だよな。