※これは妄想腐小説です BL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~
═══⊹⊱✧✦✧✦ oblivion ✦✧✦✧⊰⊹═══
ギリッ…
〔…翔兄これ…ティッシュ。
唇強く噛みすぎだから…血でちゃってるから…〕
スッ
《…ああ。》
〔……〕
《ゴシッ……本当だな。気づかなかったよ…》
〔翔兄……あの……〕
《…大丈夫だ。
それに…辛いと言えるのは智衛だけだろ…?》
〔っ……〕
《でもまさか……
あのバイクの事故で智衛にまで怪我を負わせていたなんてな……
しかも、生死の境をさ迷ったなんて……
俺が……俺があの日、あのまま智衛を帰したくないなんて思ったから__ 》
〔翔兄!〕
《……》
〔…だけど、生きてるんだ。
2人とも今…生きてるんだよ。〕
《……》
〔それがどんなに奇跡的な事か……〕
《……》
〔翔兄は苦しくて悔しくて、自分を責めなきゃいられないのかもしれないけど……俺は、翔兄が生きていてくれて嬉しかった。
智衛さんが生きていてくれて、あの人が翔兄が惚れた人なんだって知れて、会えて嬉しかった。〕
《…潤平……》
〔医者を目指すものとして奇跡なんて言うのは間違ってるかもしれない。
だけど弟として俺は嬉しい。
兄と、兄の大切な人を奪われなくて良かったと思ってる。
だから……〕
《…ありがとな…潤平。
お前が俺の弟で…本当に良かったよ…》
〔っ!〕
《…そうだよな。
俺には嘆いている暇はないんだよな。
俺がやるべき事は__ 》
〔智衛さんを支え続ける事…〕
《ああ…智衛に償い続ける事だ。》
〔……〕
《ただ、俺をもう1度受け入れてもらわなきゃ何も始まらないんだけどな…》
〔…俺は……俺の兄は諦めるなんて言葉は持ち合わせてないって思ってるけど…違う?〕
《っ!……言ってくれるな。
でもその通りだ。俺は智衛を諦めるつもりなんかない。》
〔それでこそ翔兄だよ。
俺も応援してるから。〕
《フッ、ああ、ありがとな。》
〔うん。
…ただ、隔てる壁になりそうな人が2人もいるけどね…〕
《…町田君と……ああ、和冴君か。》
〔っ!翔兄、和冴君と面識あるの!?〕
《智衛の家はオープンだったから、よくあっちの家にお邪魔して遊んだりしてたんだよ。》
〔そうなんだ!?……あ、でも和冴君は今……〕
《分かってる…。
あそこの兄弟の仲の良さは見てきて知ってるから、今、和冴君が俺をどう思っているか簡単に想像できるさ…》
〔そっか…〕
《でも意外だったのは、町田君がお前に智衛の頭の怪我の事や何があったのかを話した事だな…。》
〔あの時は智衛さんが頭を打っていたし、俺が医学生だから話してくれたのかも…?〕
《それなら、怪我の事だけ話せば良かっただろ?
でも町田君は、母さんが智衛を病院から帰した事もお前に話した。
まるで……お前から俺にこうして話が伝わるのを望んでいるかのように……》
〔っ!…まさか…?
だって、俺は翔兄が記憶が戻ったからこうして話しただけだよ?
記憶が戻ってなかったら話す気なんて……え?まさか町田さんは翔兄が記憶が戻るって分かってたって事?〕
《分からない。
でも、あの町田君の事だから意味のない事はしないと思うけど…。》
〔町田さん……怖っ…〕
《そう、町田君は昔から怖いぞ。
智衛に関係する事限定でだけどな。》
〔…どうするの翔兄?
智衛さんは、”言わないで“と言った。
でも、俺達がする事はその智衛さんの気持ちを無視する事だよ…?
智衛さんもだけど、智衛さんを大切に思う町田さんも……〕
《…ああ。怒られる…で済めばいいけどな。》
〔……マジ…?〕
《まあ、でもそっちの事は俺にも考えがあるからたぶんそこまではいかないかもしれないな。》
〔考え?〕
《久しぶりに親友に会いに行こうと思ってる。》
〔…それで何か変わるの?〕
《たぶんな。》
〔そうなんだ?〕
《ああ。だけど先ずは色々片付けないとな。》
〔…俺達の親だね……〕
《そうだ。だからな潤平?あの時話していただろう?
弁護士がどうとかって。》
〔あ、波多野先生に紹介してもらった弁護士の先生の事?〕
《っ!?……そこも波多野先生か絡んでるのかよ……》
〔え?〕
《いや……本当に頼もしい担当医だと思っただけだ。
それで、潤平。その弁護士だけど今連絡できるか?》
〔っ!…最初から弁護士さんにお願いするの?〕
《ああ。長引かせるつもりはないからな。
それにさっさと終わらせないと、お前のこれからの事もあるしな。》
〔俺の…〕
《なれよ医者。
返済なら俺がする。いや、そうしなければならないんだ。
だからお前は、余計な事は考えずにお前の望む夢を叶えろ。
それが兄貴としての願いだ。》
〔っ、翔兄……〕
《電話…できるな?》
〔……分かった。かけてみるよ。〕
《ああ、頼む。》
間違った事を終わらせてやる…
そして、早く………智衛の元に……