※これは妄想腐小説です BL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~
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この家で世話になって3日目…
昨日で大分俺達も勝手が分かってきて、それぞれに分担して洗濯や掃除をしてみた。
ただ一軒家とはいえ、2人ですれば何でも早く終わる訳で…
“他になにしよっか~?” なんて暇をもて余す事にもなっていた。
でも、唯一の問題だった“料理”は別だった。
俺やソウは食べれれば何でもいい…という感じだったし、シェルターにいた時は用意されてる材料で適当に作っていた。
でも、ここではそうもいかない。
《夜はできるだけ早く帰るようにしますね》…と言った大家のご飯をメインに考えなくてはいけないんだから。
夜ご飯が、食パン1枚…では、流石にダメだろうなという意見は俺とソウで一致したから、昨日の夜は棚の中で見つけたレトルトカレーとパックご飯を温めて出してみた。
大家は何の文句も言わなかったが、そこで気づいたみたいだった。
この家の冷蔵庫の中身は酒と冷凍食品だけだという事に…
そして、何度も謝られながら昨日の夜に渡された“3人分の生活費”なるものが入った茶色の革の財布。
減ったら足すからと言われたその中を見ると10万も札が入っていて……
⌠僕これ持ち歩くの無理!
だって落としたら洒落にならないよ!⌡
それは俺も同じだからと、少しの間“どっちが持ち歩くか”で揉めた…。
そして、この家に来て3日目の今日……
⌠サトシ~準備できた?⌡
『うん。』
⌠あの財布持った?⌡
『持った。中身減らした分、まだ気が楽。』
⌠だね~。中身を1枚だけにしただけでこうも気分って変わるもんなんだね~。⌡
『うん。でも、絶対に落とさないように注意するけどね。』
⌠お金大事~。⌡
『うん。』
⌠あ、家から出て買い物に行きますって連絡はどっちがする?⌡
『ソウがして。俺、もう1回戸締まりとか見てくるから。』
⌠了解~。電話するのって村岡さんの方でいいんだよね?⌡
『うん。そう言ってた。』
ゴソッ
⌠あ~、スマホ使うのも久しぶり。
なんか緊張してきた…⌡
『…昨日、散々いじってたじゃん。』
⌠それとこれとは別!⌡
数年前までは当たり前に使っていた物ですら俺達には久しぶりすぎて、家主が帰ってきてから“会社の支給”というかたちでそれぞれに渡されたスマホ相手に俺達は少し悪戦苦闘した程だ。
初日に食べさせてもらった寿司もそうだし、お湯をはった湯船に浸かるというのも久しぶりで、なんだか笑えてきたりもした。
決して不便じゃなかったし 食べなくても、しなくても問題ない事だったんだけど、寿司が旨いと思う事も、湯船に入って思わず声が出る事も、やっぱり俺達は日本人なんだな…って。
カチャ
…戸締まりは、よし。
パタパタ
⌠サトシ、電話終わったよ~。そっちは?⌡
『こっちも終わった。…なんか言われた?』
⌠“車に気をつけて買い物を楽しんで来て” だって~。⌡
『…俺達、小学生くらいに思われてんの?』
⌠ね~?買い物って言ってもスーパーなんだから楽しくないよね?⌡
『あ、俺は結構スーパーの中を見るの楽しくて好きだった。』
⌠そうなの?どこら辺が?⌡
『…物とか?
あとは目の前で値下げ品シール貼られたらやった…って思ったかな。』
⌠アハハ♪サトシ可愛い~⌡
『…金がなくて節約するしかなかっただけだから。』
⌠家もそうだったよ?
妹に付きっきりの母さんの代わりに、卵が安いからって自転車で大分離れたスーパーまで行って買ってきたり!⌡
『お一人様1個のやつ…?』
⌠そう♪でも、足は疲れたけど…楽しかったな…⌡
『……今は俺とソウで2個買えるね。』
⌠っ!アハハ♪うん!
そしたらオムライスが食べたい♪⌡
『あ、それは作れる。』
⌠やったぁ!卵、卵~⌡
『ソウ、安ければ…だからね?』
⌠だったら安く売ってるスーパーを探せばいいんだよ♪⌡
『…ふっ。なにそれ。
でも、あるといいよね。』
パンパン!
⌠オムライスが食べたいのでどうかありますように!⌡
『…オムライスの為の神頼み?』
⌠プッ、アハハハ!だって想像したらすっごくオムライス食べたくなったんだもん♪⌡
『…仕方ないな。
スマホで調べて夜のメニューを考えたのに、オムライスに変更じゃん。』
⌠本当!?やったぁ!⌡
ボソッ
『……“小学生”って間違いじゃなかったかもな。』
⌠え?なんか言った?⌡
『別に。じゃあ行こうか?ここら辺の探索もするんでしょ?』
⌠うん、行こう!
あ~、外をブラブラ歩けるって本当に久しぶり。
楽しいね、サトシ♪⌡
『…ふふっ、そうだね。』
ソウの望み通り午前中から外に出た俺達は、夕方にはここに戻ってこれるようにと考えながら、周りを探索しながら歩いて行ける所まで行く事にした。
1番の目的は安い卵がある店を探す事になったけど、それでも“久しぶり”と感じる外にソウは何を見ても楽しそうだった。
ただ、たまたま前を通った不動産屋さんの前にある物件の張り紙の金額を見て“ギャア”とは叫んでいたけど…
バイト…
ソウにも手伝ってもらって今日の夜にでも探してみないとな…
でも、どんな仕事をするかまだハッキリと分かっていないけど、日中をHIMEIで働かせてもらって夜だけ…と、なると大分限られてくる。
しかも、日中の仕事には絶対に響かないように楽なバイトとなると……本当に限られてくるんだよな。
最悪…なんて言ってられないな。
使えるモノは使わないと…
ただ、あの店のロレットじゃない俺なんかに本当に需要があるかが問題だけど…
あの3人の内の誰かの連絡先を知れれば、まだ可能性はるかも…?
⌠あ!サトシあそこのお店はどうかな?
店の前の野菜も…あ!タイムセールじゃないあれっ!!
サトシ早く行かないと!⌡
なんのタイムセールかも分からないまま、ソウに引っ張られて行ったお店は、ほうれん草を安くしていた。
ソウはお一人様何個まで…というのに弱いのかも。
ちゃっかり手に4つ持って人集りから戻ってきたから。
スーパーみたいに大きくないけど、確かにここのお店は他よりも安いかもね。
でも、ソウ…?
俺にほうれん草を渡して中に行って、“サトシ!ここ卵も他より安いよ!”なんて手に持ってるけど……
あの家から大分遠いの分かってる?
しかも、“あ!キャベツも安い!”なんて目移りしてるけど、それ大分重いよな?
…まあ、仕方ないか。
安い事に越した事はないんだし、俺とソウ2人いるから持てない事もないしな。
ただ…ソウに卵を持たせるのは心配だな……
⌠サトシ!ネギはいる~?⌡
『玉ねぎならいる。』
⌠そっか~!玉ネギ、玉ネギ~♪……ドンッ!あ、ごめんなさい!⌡
…卵は俺が持つ事にしよう。
それから、安い物だけを選んで買い、何日分かは持ちそうな荷物を持ちあの家に戻ってきた俺達。
決めた時間内に戻れたのはいいけど、腕が上がらない。
10キロの米を抱えて歩くのってヤバいな…
…うん、今度からは5キロだ。
俺達は家主が帰ってくる前に食事を終わらせる。
理由は簡単だ。
家主のご飯を直ぐに出せるようにしておく為。
これはソウが言ってきた事なんだ。
家事をしている俺達は、ドラマで見たという家政婦さんみたいにしなきゃならないんじゃないか…って。
…家政婦さんって……と、思ったけど、ソウが言った事も分からなくなかった。
気を使うし、全然食べていないと気を使われる…それが初日で物凄く感じたからだ。
それに、急に自分の家に俺達2人も増えてストレスを感じてない訳ないから、できるだけ距離を取ろうと言ってくれたのもソウだ。
これは、俺の為に言ってくれたようなものかもしれないけどな…
だから今日も俺とソウは先にオムライスを作って食べた。
勿論、家主には別メニューだ。
検索してきたら出てきた、トマトチキンソテーとかなる物と、ピラフと野菜サラダにオニオンスープ。
作り方も材料も丁寧に書いてくれるし、動画でも教えてくれるから本当に俺みたいなのには助かる。
そこには一週間の献立というのもあったから、これからはその通りに作って行けるしな。
だが、8時前に帰って来た家主が“先にご飯を食べたいです”と言われたから、直ぐに温め直した料理を席に用意したら、変な顔をされた。
…嫌いな物でもあったのだろうか?
家主はパクチーや茗荷が嫌いだという情報をソウが聞き出していてくれたから、それらは使ってないんだけどな?
でも、いざ食べ始めると“美味しいです”と言っていたから、料理には問題なさそうだった。
俺達は家主が食べ始めたら席を離れる。
そして終わる頃に戻ってきて食器などの洗い物や片付けをする。
それが終わったら各々の時間になる。
俺達は風呂掃除の前にシャワーを浴びたからもう寝る準備だ。
今日は久しぶりに外を歩いて疲れたし、腕もパンパン…
バイト探しは明日以降に持ち越しだ。
先に準備を終わらせていたソウは既に布団を敷いて横になっている。
俺は歯磨きを…と、思ってこの2階にもあるトイレ脇の洗面所で歯を磨いていると、下のキッチンの方から“ガコンッ”という何かが落ちる音が聞こえてきた。
使った調理器具は片付けたはずだけどな…と思ってキッチンに様子を見に行くと、冷蔵庫のドアを開けたまま立って動かない家主の姿があった。
…まさか、あのまま寝てるという事はないよな?
冷蔵庫の音が鳴っても微動だにしない家主の様子に、俺は思いきって声をかけた…
スッ…
『…あの、大丈夫ですか?』
《……え?》
『…冷蔵庫…開いたままですが……』
《あ!》
パタンッ
『…もし、まだ何か食べるのでしたら作りますが?』
ヒョイッ
《いえ、すみません。
このビールを飲もうと取り出したんですが、あやまって落としてしまったみたいです。》
…さっきの音はそれだったのか。
でも、俺が声をかけるまで拾おうともしてなかったような気がするけど…
『…今、グラスを出します。』
《あ、いえ!それ位なら私もできますから!》
『…そうですか。』
《はい…》
…長居は無用だな……
『…では失礼します。』
《あ!あの智詩君!》
『…はい、何でしょうか?』
《あ…の……》
『?』
《き、今日のご飯も美味しかったです。
味付けも丁度良かったし、鶏肉も柔らかくて。》
『……それは良かったです。』
書いてある通りに作ったから、そうだろうな。
《それにあのスープも私好みでした。
もしかしたら私は智詩君と味覚が似ているのかも、と思った程です!》
『…俺はスマホで見たレシピ通りに作っただけですから、似てるとしたらそれを書いた人とになると思います。』
《…え?あれは智詩君の味付けでは無かったのですか?》
『…はい。俺は分量通りに作っただけなので美味しいかどうかは分かりませんし。』
《…え?でも、味見とか…いや、食べたのなら美味しいかったかは分かるはずではありませんか?》
『…すみません。俺は食べていないので分かりません。』
《え?じゃあ智詩君は何も食べていないのですか?》
『…いえ。俺とソウはオムライスを作って食べました。
あ、遅くなってすみません。ご馳走様でした。』
《っ!なぜそんな事を言うんですか!》
『……え?』
《ハッ!…あ、いえ…その……すみません。》
『……』
《…因みに、他には何を食べましたか?》
『……他とは?』
《っ!何も…食べていないのですね…》
いや、今オムライスを食べたって言ったばかりなんだけど?
『……あの?』
《…あ、もうお休みでしたよね。時間を取らせてしまいすみません。ゆっくり休んで下さい。》
『……はい。』
《智詩君、このビールも補充して下さってありがとうございました。》
『…え?あ、いえ。残り1本でしたから。
では、失礼します。』
《…お休みなさい。智詩君。》
__パタンッ
…なんかやっぱり様子がおかしかったような……
でも、料理は旨かったと言っていたし今日買った物ばかりだったから食材が悪くなっていた訳でもないはず…
……ん~?
でも、“美味しい”がお世辞の可能性もあるから、あの料理は2度と出さないようにしよう。
というか、普通に話すという事を心掛けたけど……大丈夫だったよな?
俺、変な態度じゃなかったよな?
ハァ…ここにソウがいてくれたら聞けたのに…
そんな事を思いながら部屋に戻ったが、既に寝ているソウを見て、俺も疲れの所為か眠気がおそってきてから直ぐに眠りについてしまった。
そして翌朝……
アラームの音で起きた俺達が下に行くと……
《グー ガァー! グー 》
『……』
⌠うわぁ、ビールの缶いっぱい。あ、床にも溢してるし…
というか、お兄さんのイビキ凄っ!
…サトシ、どうする?こういう時って起こしていいのかな?⌡
……掃除しないとだし、今日は仕事が休みでもないだろうから早目に起こすしかないんだろうけど……
昨日のあの時もどこか様子がおかしかった…
《グー グァー ゴォー 》
⌠ぅぅ、うるさいよぉ~⌡
この姿が普段通りならいいんだけど…違ったら……
っ!
まさか俺、変な物を食わせてしまったりしてないよな…!?
バッ!
『ソウ!どうしよう!?』
⌠へっ?なにが!?⌡
『これ、もしかして俺が__ 』
《グー ガァー! グォー! 》
⌠あぁっ!もぉ!そこのイビキうるさいからぁ!!
ってか普段とギャップありすぎたよお兄さん!⌡