※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~
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僕は朝ごはんも昼ごはんも食べずにバタバタしていた。
というか、食べるのを忘れちゃってたんだよね…
予約注文以外にも今年はお店に来てくれる人がいっぱいだったから。
ありがたい事だよね~。
そして、この時期にユキちゃんの人員を増やすという考えが当たっていた事に、流石~なんて思ったりも。
光君と慧君は既にお客さんに付きっきりで相手できちゃうし、新しく入った宏太君と雄也君も自分が出来る事は率先してくれるし…何より、皆、接客が上手なんだよね~♪
流石、元ホスト♪
男性のお客さんもいるけど、うちは圧倒的に女性のお客さんが多いのは“元ホストの店”という理由もあるみたい。
だって、よく来て下さるお客さんなんて指名してくれるからね…
これも、ありがたい事ではあるけどね~。
その指名のお陰?…で、僕は店内とバックヤードをパタパタ。
だからご飯を忘れていたんだけど、4人の休憩は忘れずに言ってちゃんと入ってもらったから、それだけは自分を褒めたいかな。
そして店内が少し落ち着いた午後4時。
この時間に来店すると言っていた人を僕はバックヤードで花のアレンジメントを作りながら待ち構えていた。
そして、雄也君が “花束の注文をされた大野さんが受取にいらっしゃいました”と 僕を呼びに来てくれて、僕は花束を持って店内へと向かった。
今日、最初のドキドキ…
だって、大野君はもしかすると…もしかするからね!
僕は、大声では言えないから小声でそれとな~くお渡しの時に聞いてみたり…なんて考えながら向かったんだけど、店内にいたのは___
「あ、大羽さん。お忙しい中有難う御座います。」
と、格好いいコート姿の綾野さんだった……
その綾野さんの周りを見ても大野君の姿はなくて……
……ガクッ
『…いないかぁ……』
「…え?」
『あ、ごめんなさい!
えっと…こちらが大野君から注文を頂いたお花になります。』
「これはまた、凄いですね。」
『はい。50本の青い薔薇の花束になります♪』
「青い薔薇の花言葉以外に、50本という本数にもなにか意味があるのですか?」
『50本の薔薇で“永遠” という意味を持つので、“この関係がいつまでも変わりませんように” という願いで贈りたいと大野君は仰ってましたよ♪』
「なるほど……それはとても素敵です。」
『…あの…このお花は綾野さんへですか?』
「私ですか?いいえ、違いますよ。
私は大野さんの手が空いていないので代わりに受取に来たまでです。」
『じゃあ、恋人さんに…かなぁ?』
「フフ。それも違いますね。
彼は花を貰ってもお世話の仕方が分からず焦ってしまうでしょうから。」
『そうなんですかぁ~。』
…じゃあ、これは誰になんだろう?
大野君が注文してくれた時に一切の迷いがなかったから、僕は勝手に恋人さんにだと思ってたんだけどなぁ…
というか、この綾野さんと大野君の関係も謎なんだよね…
綾野さんの方が歳上に見えるのに、大野君の事を“大野さん” 呼びだし…
最初、余りに2人の距離が近いからこの人が大野君の恋人と勘違いしたんだよね、僕。
だって、あの公園にもいつも2人で来てるみたいだし、今日だってこうして大野君に頼まれた物を綾野さんが受取に……
しかも大野君が忙しいって分かってる言い方…
……いや、でもダメだよ…
そんな勘繰りしちゃダメ……
だって、大野君とあの恋人さんの仲に踏み込んだらいけないって思う程に2人はキラキラ眩しいんだよ?
それなのに、大野君が綾野さんともなんて……まさかそんな事___
ガサッ
「では頂いていきます。」
『ハッ!あ、あの!』
「はい、なんでしょう?」
『…あ、あの……大野君は……』
「大野さんですか?」
『っ……』
いや、僕…なに聞こうとしてるんだろ……
『…えっと……その……』
「…もしかして大野さんとお会いしたかったとかですか?」
『え?』
あ、そうだった…
最初はそれが目的だったんだ。
大野君に会ってあの“花”の事を聞きたいって…
だけど、本人がいないから…やっぱり聞けないなぁ……
『…あ、はい。それもあります。残念だなって。』
「すみません、今日は私で。
でも、大羽さんがそう言っていた事は伝えますね。」
『え?あ、お願いします…』
「はい。では__ 」
『あ……』
「…はい?」
『…いいえ。大野君に“また来て下さい”と伝えて下さい。』
「はい、伝えますね。」
『綾野さんもよいクリスマスを。』
「はい、ありがとうございます。では失礼します。」
そう言って綾野さんは目立つ青い薔薇の花束を抱えてお店を出て行った。
長めのグレーのコートを着ていてなんともお洒落で……あ、今お店の前で女性が振り返った。
そうだよ、イケメンなんだよぉ…
そして、今日はあんな花束まで抱えてるから尚更だよね…
分かるよぉ~。
あんなイケメンに花束なんか渡されたらキュンキュンしまくりだよね~。
でも……
あ~、聞けなかったなぁ…
せめて大野君の事をどう思っているか位聞いても良かったかなぁ?
でも、もし予想以上の返答がきたら言葉に詰まっていたかもしれないから、これで良かったのかも……
僕はモヤモヤとしちゃってるけどね…
「店長……店長?」
『もぉ~“店長”はやめてって言ってるでしょ、宏太君。』
「あ、すみません大野さん。」
『どうしたのぉ?』
「あちらのお客様が花を選べないと言ってて…」
『ん~?あ、あの男の子?』
「はい。彼女にプレゼントしたいらしいんですが、30分も悩んでるんです。」
『わぉ♪可愛いねぇ~♪』
「え?」
『ンフフ♪彼女さんの為に真剣に悩むなんて素敵で可愛いって話しだよ~
あ、光君達2人は別に接客中なんだね?
じゃあ僕が行くよ~♪』
「はい、お願いします。」
『は~い。素敵なクリスマスにしてもらう為に頑張りま~す♪』
「店長の方が可愛い気が……」
『え?なんか言ったぁ?』
「いえ!なんでもないです!」
それから僕は高校生くらいの迷える子羊君のお手伝いをした。
お花を手に喜んで帰ってくれるのを見るのはやっぱりいいね~♪
それからまたバックヤードに籠り、途中だったアレンジメントの仕上げ。
これは、僕用。
渡す相手は勿論、シキ。
直接なんて絶対に無理だから、スタッフの人に渡すつもりなんだ~。
受け取って貰えなかったら、残念だけど持ち帰って自分達の家に飾るだけだけどね。
でも、受け取って貰えたら嬉しいなぁ~なんて思ってる。
このラナンキュラスのアレンジメントは僕からシキへのファンレターみたいな物だから♪
忙しい日ではあるけど、僕は今日皆より先に帰らせてもらう。
シキのライブに行くなんて言えないから、外せない用事とだけ皆に伝えた。
申し訳ないんだけど、それでも皆、快く納得してくれたんだ。
そして、僕がお店を出ると言った午後5時ちょっと前…
『じゃあ光君、申し訳ないんだけど後よろしくね?』
「はい、分かりました智早さん。」
『あ、売上は明日の朝に__ 』
「ちゃんとレジ閉めしてから帰ります。任せて下さい。」
『なんて、頼もしいのぉ~。
じゃあよろしくお願いします♪』
「はい。それよりも…本当にあっちの店に回ってからで、時間は大丈夫なんですか?」
『うん。それも考えて5時に上がらせてもらうからね~。
ただ、こっちには戻らないからそこはよろしくぅ。』
「分かりました。あ、車はどうするんですか?」
『あ、それは大丈夫。車は置いていくから。』
「え?じゃあ何で行くんですか?」
『それは__ 』
bububu
『あ、来たかも~♪』
「…あー、櫻木さんですか。」
『うん。お手伝いしてくれるって言うからね~♪』
「…凄い戦力ですよね。
じゃあ櫻木さんとのデート楽しんで来て下さい。」
『…ごめんね?』
「何言ってるんですか。
誰よりも働いてる智早さんを俺達は知ってるんですから、喜んで送り出すに決まってるじゃないですか。」
『…ンフフ♪ありがとぉ~♪
あ、何かあったら連絡を__ 』
「そんな野暮な事にならないようにしますから。」
『…わぁ~♪光君に惚れちゃいそぉ~』
「っ!…お願いですから冗談は言わないで下さい。
俺、これ以上櫻木さんに睨まれたくないです…」
『ンフフ♪うん、そうだよねごめんね~。じゃあ行ってきます♪』
「はい、お疲れ様でした。」
他の皆にも先に帰る事を告げてから、僕は裏口へと向かった。
そして、裏口を開けると黒のチェスターコートを着た櫻木 翔琉が……
スッ
《来たぞ智早。時間ピッタリだろ?》
……格好いい♡
綾野さんのロングコート姿をさっき見て格好いいと思ったけど、こっちは更に別格だったよぉ~♡
朝、あんなに寝惚けてて可愛いかった人とは思えない~
《…どうした智早?》
『櫻木 翔琉…格好いい♡』
《っ!…フッ。智早の隣に並ぶんだ当然だろ。
さて、運び出すぞ。上田。》
「はい、兄貴!
あ、大羽さんお疲れ様です。」
『あ、タッちゃんもありがとぉ~♪』
「とんでもないです!
兄貴と大羽さんの役に立てるならいくらでも使って下さい。」
《おい、喋ってないで運べ。》
「はい!すみません!」
『あ、僕も!』
今日はお花を運ぶから、櫻木 翔琉の車じゃなくてタッちゃん用の厳ついSUV車だった。
でも、タッちゃんには合ってる車だよね~♪
そして既に台車に乗せて準備していたから、積み込みは直ぐに終わり、出発。
ただ、車の中で櫻木 翔琉はずっと僕のアレンジした花を見続けていたから静かだったかな~。
ホストクラブに着くと、さっさと運んで、テキパキとお花をいけた。
もう頭の中にはイメージが出来上がっているし、お花以外は昨日の内にお店に運んでいたから、パパパって感じ♪
クリスマスというテーマがあるし、ほぼ毎日ここの大きな花瓶とは向き合ってるからお花も足りないなんて事はなく、完成までに約15分。
うん、完璧じゃない?
なんて櫻木 翔琉とタッちゃんの方を振り返れば2人でスマホをお花の前で構えていて……
『…へ?写真?』
《いや、俺は動画だ。》
「自分は色んな角度からの写真です!」
《上田、もっと右から撮れ。》
「了解です!」
『あ、そぉ……えっと、じゃあ僕、これオーナー室に片付けて着替えてくるからね?』
《ああ、待ってる。》
スマホを構えたままそう言った櫻木 翔琉を置いて、僕はエレベーターで上の階にあるオーナー不在のオーナー室へ。
お花を入れてきたバケツや、台車を隅に置かせてもらって、これまた昨日持ってきていた着替えをコートスタンドから外し、クリーニングの袋を取った。
櫻木 翔琉がスーツを着ると思ったから、僕もお揃いにしてみたんだ~♪
と言っても、ホスト時代に着ていた物だから新しくはないけど、でもオーダーメイドでお高い少し光沢のある黒いスーツ。
シャツにネクタイって手もあるけど、そこまでガッチリしたくなかったから、ベストも無しで、黒いタートルネックを着て出来上がり。
髪の毛もホスト時代を思い出して少しだけ流して固めてみたり……
あ、ユキちゃん、ワックス勝手に使ってごめんね?
…ん?
あ、靴!
スニーカーで行く所だった!
危ない危ない!
用意していたバッグから革靴を取り出し、そこに着ていた白シャツとジーンズを入れて、同じくクリーニングに出していたトレンチコートを腕にかけ櫻木 翔琉達の元にエレベーターで戻った。
あ~、革靴ってこんな感じだったかもぉ~なんて思いながら歩いて向かうと、櫻木 翔琉は相変わらずクラブのマネージャーに勧誘中だった……
マネージャーも懲りないなぁ~なんて、笑いながら仏頂面で腕を組んでる櫻木 翔琉を見ていると、歩いて向かっている僕に気づいたみたいで目があった。
……ん?
どうしてそんなに驚いた顔してるの?
スタスタ
『櫻木 翔琉、お待たせ__ 』
《止まれ智早!》
ピタッ !
え?……え、なに?
《ちょっと待て……上田!》
「はい、兄貴!連写準備完了してます!」
《よし、智早こっちに歩いてきていいぞ。
そしてこの花の前でポーズだ。上田分かってるな?》
「勿論です!様々な角度から花込みで大羽さんを撮ります!」
《よし。》
……え?待って……2人だけじゃなくて後のマネージャーもスマホ構えて待ってるんだけど……
というか、大分急いで準備して来たんだけど……なにこれ?撮影会?
クイクイ
《さあ智早、こっちだ。》
「大羽さん!目線こっちにもお願いします!」
え、こんな事してたらシキのライブに遅れちゃうんだけど…?
…ねぇ、分かってる?2人共?