※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~



























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お店を4件もまわったからちょっと時間がかかったけど…












《着いたか。》










うん、着いたねぇ~。


僕は数日前に来たばっかりだけどねぇ~。












《なる程。ここが智早御殿か。》













…いやいや。

マンションの外観を見上げながらそういう事言うのやめて?






ここのマンションの1室だからね?

その発言は誤解を生むからね?











『あ、たっちゃん。駐車場はぐるっとまわった先ねぇ~。』



「了解しました。」



《ああ、遅くなってしまったから急がないとな。》










遅くなった…って、君が父ちゃんと母ちゃんにお土産を買うと言い出して4件のお店に寄ったから…って、その心意気を否定するような事を言っちゃダメだよねぇ、うん。





父ちゃんの車の隣に車を停めてもらって降りた僕達は、エレベーターへと向かった。









ガサツ


『あ、たっちゃん気づくの遅くなってごめん!
僕、どれか持つよ?』



「いえ!とんでもないです!」



『でも……両手塞がっちゃってるしぃ……』



「この位なんともないです!」



『…でもさぁ~?』



《智早。上田は腕力があるから問題ない。》












いや、僕、そういう事の心配をしてるんじゃないんだよねぇ……



たっちゃんが力持ちなのはお店を手伝ってもらった時に分かったしぃ~。







ただ僕が気にしてるのは___










ポンッ♬

「あ、エレベーター来ましたね。
兄貴、大羽さんどう…ぞ…………ハッ!ボタンが押せない!」












うん、それだよ。




たっちゃんは“兄貴一筋”だから、絶対先に中に入ってエレベーターの“開”ボタンを押して待つよね?

でも、今は両手が塞がってる上に揺らさないように慎重に荷物を持ってるから……そうなるかなって思ってたんだよね~。









《上田…。》



「すみません兄貴!」



《お前、そんな事にも気づかない程何を緊張しているんだ?
というかなんでお前が緊張してるんだ。》



「いや、それはその……自分なんかが本当に大羽さんのご実家にお邪魔していいものかと……」













あ~。

それ、うちの母ちゃんが原因かぁ~。








母ちゃんに電話で、これから櫻木 翔琉が行ってもいいかを聞いた時に “あらぁ~やっと会えるのねぇ♪待ってるわぁ~♪” って、即答だったんだけど、今櫻木 翔琉の車に乗ってるのを話したら…“じゃあ上田君もね♪待ってるわぁ~♪” という事になったんだよね。



殆んどを母ちゃんには話しているから、勿論たっちゃんの事も知っているからねぇ~。







で、そう母ちゃんが言ってたと僕が伝えたら…











「自分も?…マジッすか……?」











と、たっちゃんの素がでてたよねぇ~。




でも、いつも櫻木 翔琉の前では丁寧に話すのに珍しいなぁと思ったけど、実はあの時から緊張してたんだね~?


なにも緊張なんかする必要ないのにねぇ~?






するとしたら、僕の両親と初対面の櫻木 翔琉の方だと思うけど、こっちはそんな様子は一切ないしぃ~?




ま、僕も櫻木 翔琉のご両親やおじいちゃんとの初めての対面で緊張も何もなかったから人の事言えないけどねぇ~。










スッ  ポチッ
「あ!…大羽さん申し訳ないです。助かります。」



『ううん。これくらい誰でもできるし全然だよぉ~。』



《よし智早、俺が代わろう。》



『…いや、そう思うなら君は早く乗って。
君が乗らないから僕は押してるんだからね?』



《ああ、そうか。じゃあ乗ったら俺が代わろう。》











君が最後なのに、“開”のボタン押す必要があるの?










『……うん。じゃあ降りる時に…一応?』



《任せろ。》



「いや!兄貴にそんな事はさせられません!」











…あ、兄貴一筋が出たかぁ~。










《上田、お前はその緊張で強張ってる顔をなんとかしてろ。
智早のご両親に誤解されるような事になったら許さないぞ。》



「っ!すみません!」










…こらこら。

緊張してるっていう人に更に追い討ちをかけてどうするのぉ?











『たっちゃん。
たっちゃんが凄くいい人で、優しい人で、男気がある人なのを家の母ちゃん達には話してあるから、そんなに気負わないでいいからねぇ~?
いつも通りのたっちゃんでいいんだよぉ~♪』



「…大羽さん……」



グィッ!
『へ?』



《智早、俺の事は?》



『ん?』



《勿論、上田の事よりももっと話してくれているんだよな?
上田の事よりも、だ。》












そこ気にするとこぉ~?

ってか、たっちゃんと張り合わなくても…











『……』



《待て!なぜ無言になる!?》









_ポンッ♬

『あ、着いたよぉ~。』



《いや待て智早!大分重要だぞそこは!》










あ、さっさと降りたから結局、櫻木 翔琉がボタンを押す事はなかったねぇ~。


これで“兄貴にそんな事させられません!”と思ってるたっちゃをは安心かなぁ~?











スタスタ スタッ
『はい、ここでぇ~す。』



「ここが………ゴクッ。」



《…おい。だからなんでお前が緊張してるんだよ。》











…たっちゃん……ま、仕方ない。


徐々に落ち着いてもらえればいいし、父ちゃんも母ちゃんも誤解なんてしないから大丈夫だよ、きっと。










母ちゃんにはさっき“下に着いたよぉ~”と連絡したから、僕が持ってる鍵で玄関の鍵を開けた。












ガチャン!

『父ちゃ~ん、母ちゃ~んただいまぁ~。
櫻木 翔琉とたっちゃんが来てくれたよぉ~。』












僕が玄関から家の中に声をかけると、パタパタと2人分のスリッパの音が。


そして……













「智早、お帰り。」



『ただいま父ちゃん。』



「お帰りなさい智早♪」



『ただいま母ちゃん。』



「まぁまぁ♪あなたが翔琉君ね?初めまして智早の母です♪」
「智早の父です。よく来てくれたね櫻木君。」












僕の両親は、僕の事を理解してくれているし彼氏になった人で何人かは会った事がある。


だから、こうして笑顔で“彼氏”を直ぐに受け入れてくれるのも分かってる。







でも、彼氏からしたらやっぱり親というものは緊張するものらしくて、テンパったりするみたい。


僕はどうして?って思ってたけどね~。









で、そんな僕と同じく緊張とは無縁の櫻木 翔琉。




君の第一声に皆が…というか特にたっちゃんが注目してるみたいなんだけど……


でも僕、君が言いそうな事なんとなく分かるかも…?










_スッ


お、1歩前に出たぁ~。











《初めましてお義父様、お義母様。》











…“様”呼び……










《私、近い将来、智早さんと結婚し夫になる櫻木 翔琉と申します。
どうぞ宜しくお願い致します。》



「まぁ♡」
「おやおや。」













……それ、絶対言うと思ったよ。