※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~



























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ザワザワ  
       ガヤガヤ  ヒソヒソ






…あ。

ここがいくら商店街の外れだとしても、この和装姿の男と一緒にいたら僕まで目立っちゃうな。





さ、仕事仕事~。








スタスタ

 カツカツカツ




……ん?








スタスタ
『ちょっと~。なんで付いてくるの?
僕言ってるよね?
君が店にいると営業妨害でしかないからって。』



《いや俺は逆に人を集めてるだろ?》



『それは君の和装姿と顔に寄ってくるただの見物人。
ウチは客寄せパンダはいらないから他所でやってくれる~?』



《フッ、俺はモテるからな。》













…だろうね。

その顔でそのスタイル。




モテない訳がないよね。




僕だって好みのど真ん中という贔屓目をなくしてもそれ位は分かるよ。

ホストしていた時も周りはイケメン揃いだったけど、君は品の良さも内側から醸し出してるからなんか別格に見えるし…






はぁ…ほんと、顔だけは好みなんだけどなぁ……



生粋のゲイでこういう顔の人、そこら辺に転がってないかなぁ~。








と、いけないいけない。


早くお仕事に戻らないと。









スタスタスタ



《智早、待て待て。》



『待ちませ~ん。』



《俺、今日はちゃんと客として来てる。》



『…は?お客さん?』



《ああ、そうだ。智早に花のアレンジメントを頼む。》



『…2日前に注文受けたのに、また?
ねぇ?僕言ったよね?
毎日のようにお花を買っていってくれても全く嬉しくないって。』



《いや、智早。
それは分かっているから今日は自分の部屋用のではなくて、贈る用のを頼みに来たんだ。
それならいいだろ?
正当な理由だから店に入って目の前で見ててもいいよな?》













いいだろ…って、まぁ本当にお花をプレゼントする為なら“お買い上げありがとうございます”なんだけど…


でもさぁ?












『…それも、またなの?
今月3回目だよ?』



《ああ、まただな。
でも事実だ。》



『へぇ?随分、お花を贈る相手がいるんだね~?』



《お?智早、それはあれだな?ヤキモ__ 》



『違いますぅ~。』



《そんな照れるな。俺は分かってるからな。》












いや、君は分かってるんじゃなくて大いに間違ってるだけだからね?








……はぁ。



でもお客さんというなら仕方ない。








僕は彼がお店まで来るのを許した。

 



許したっていうのも、前は花を買う事もせずただ僕と話すだけに毎日来ていた事があって、“お店に用事が無いなら来るな”と言った事があるんだ。






“なら俺用にお任せで花束を作ってくれ” と言われて、お客さんなら仕方ないと思って作ったら、来る度に注文してくるようになったんだ。

時には1個じゃなくて、組み合わせる花の種類をガラッと替えて2個、3個と…






彼にとっては“用事はある”と言いたかったんだろうけど、流石に僕の方がストップをかけた。


だって、お花を蔑ろにしてる気がしたから。







花屋で花を売ってる僕が言うのは間違ってるのかもしれないけど、売上とかはどうでもよかったんだ。


ただ、口実の為だけに彼の手元に行く花達が可哀想すぎて…





それに、花を育ててくれた花農家さんにも失礼だとも思ったんだ。


端正込めて育てた花達を受け取ってもじっとは見るけど喜ばず、家に帰ったら捨てるんじゃないかって思うこんな人に…ってね。












でも、それは僕の勘違いだったんだよね。






その時、僕が思ってる事をそのまま彼に言ったら、直ぐに家の人か誰かに電話して、“俺の部屋を映せ”とビデオ通話にしたスマホを僕に見せてきたんだ。

そこには、広い部屋に僕が今まで作った花束が全て花瓶に入って飾られてあったんだ。






しかも、一番最初に僕が作った花束は少しの変色はあってもまだ枯れずに花瓶の中で綺麗に咲いていたんだ。









僕は驚いたよね。


だって花に詳しい人じゃなきゃそんなに花を長持ちさせられないだろうから。













でも彼から、彼の家の事を聞いて納得したよね。


彼、櫻木 翔琉は有名な生け花の流派だったんだから…









僕の事を知ったのも、そのコンテストに彼の祖父“家元“が審査員をしていて僕の作品を評価したからだと言うし…







そして、”そういう事は早く言ってよ!僕何も知らなかったじゃん!“と言った僕に対してその時彼は謝ってきたけど、次の次の日には分厚い黒い本みたいな物を”俺を知ってくれ“と渡してきたんだよね。


中身は彼、櫻木 翔琉が産まれてきた時からその日までの事を事細かに書かれたものだったんだけど……







重いよね?


重量もそうだけど、個人情報が書かれている”ソレ“もホント重すぎる…






処分するにも内容が内容だけに全部シュレッダー行きでしょ?


僕の家、シュレッダーなんてないからね?












ま、まだ処分はしてないけどね。


















“そんなに部屋に枯れてない花があるならいらないでしょ?”と言ってからは毎日ではないんだけど、何かにつけてこうして来るようになったんだ。






だから今日の花もきっと…


誰かには贈るんだと思うんだけど、きっと無理に贈る相手を見つけてきたよね?






この前はお手伝いさんの娘さんの誕生日だっけ?


どんな人かも俺は知らないって言ってたくらいだし~。









せめて今日はどんな人に贈るのかは知りたいよね。

僕はその人のイメージでよく花を選ぶし、好きな色とかあるならじっくり聞いて作り上げたいからね。












スタスタ  カツカツ

『…ちょっと。』



《ん?》



『お店には来ていいって言ったけど、なんで隣に並ぶの?
それに、僕の腰にあるこの手はなに?』



《…智早。》



『なに?』



《…俺達の身長差、キスするのに丁度よくないか?》



『……』



《これも運命だな。これはもう結婚___ 》



『しない。』



《智早、照れ__ 》



『てない。』



《智早、もう少し俺の話しに___ 》



『興味ないから無理~。』



《智早…》









スタッ!

『はい、お店に到着です。
お客様、どうぞ中に。』



《…フッ。
その、客だと態度が変わる所ももう俺のツボだな。》












……はぁ。


もう僕が何を言っても喜ばせるだけなんだよね…











結局、僕がエスコートされるみたいになってお店の中に入った。


お店にいた光君と慧君は彼も一緒に来た事に…










「お帰りなさ……え?どうしてその人連れてきちゃったんですか?」

「そうですよー。またオーナーに怒られちゃいますよー?」




『…それがさぁ~?今日もお客さんなんだよぉ~。』




「またですか?」

「2日前に来ましたよねー?」




『でもお客さんなんだってぇ~。』




「ハァ…お客さんなら仕方ないですか。」

「でもオーナーが…」




『ねぇ~。
できるだけ早く帰ってもらうから他は任せていい?』




「分かりました。」

「はーい。」











と、僕が2人と話しているのにその会話に入って来ない彼が何をしているかというと、僕の側で僕ばかり見てるんだよね…




彼達がこのお店で働くようになった時からこのスタンス。



見えてるけど、見ない。

話しも聞こえてるけど、聞かない。




そして話しかけても無視するから、2人ももう話しかけるのは無駄だと理解しているみたいなんだよね~。








原因は絶対にこの櫻木 翔琉。


僕の時との態度が違いすぎるから、本当はどっちなの?って思うけど、また余計な事を聞くと“結婚しよう”とか最後に言い出すのは目に見えてるから僕は言わないけどね?










結局、今回贈る相手は家の管理?をしてくれているおじさんらしいんだ。


顔も雰囲気も知ってるから、この前よりはどんな人かは詳しく教えてくれたけど…








…おじさんって。











ま、贈る事にはかわりないんだから僕は真剣に作ったよね。




男性だし、年配の方みたいだから竹籠にして緑多めの落ち着いた色合いで纏めてみた。

でも、ちゃんと華やかさはもたせたよ。









それを時には感心したり、時にはいい顔で笑って最後まで間近で見続けた彼…



その顔はズルいよね~。

こっちは真剣に作りたいのについつい見ちゃったじゃん。









竹籠にリボンは合わないから、籠を入れる袋に数種類のリボンを組み合わせてちょっとお洒落にした物をつけて出来上がり。

うん、いいんじゃな~い♪








って、出来たんだけど?











『…あのさぁ?
いつまで僕の手を握ってるの?』



《水を触って冷えただろうから温めてるんだ。》



『…それはありがとう。でも自分でするから早く離してくれない?』



《手も駄目だなんて、どれだけ照れ___ 》



『てはいないから。
というか恋人繋ぎしないでくれない?顔も近いし息吹き掛けなくていいから。』



《…智早、2日前より少し手が荒れてるぞ?》



『なんの確認をしてるの?
君はおバカさんの上に変態さんだよね。』



《フッ…智早に言われるとなんか照れるな。》



『照れてないで、早く手を離してお会計してよ。』



《…そんなに早く俺を帰らせたいのか?》



『早く帰らなきゃいけないのはそっちじゃん。
その和装の時は予定がある時でしょ?』



《っ!智早、俺の事をそんなに分かって……もうこれは結婚___ 》



『だからしないってば。
……はぁ。君、何かあると直ぐに“結婚”とか言うけど、その前の過程はどこにいったの?
もっとしなきゃいけない事とかあるでしょうよ。』













そもそも僕達は付き合ってもいないんだけど、今後、そういう人が現れた場合の為にそこら辺は分かってた方がいいと思って僕は彼に言った。




……だけど、余計な事を言ったと思ったのは彼がニヤッと笑った顔を見た時だった。















《了解だ。
やっと俺と同じ時間を共有する気になってくれたって事だな。
じゃあ次の智早の休みに迎えに行く。》



『…は?』



ポンッ
《釣りはいらない。今日もいい物を見せてもらった礼だ。》



『え?あ、ちょっと!』



《じゃあ。》










カラン カラン♬





………。





クルッ

『…ねぇ?』




「…いや、今のは大羽さんの言い方がちょっと…」

「確かにデートに誘ってるみたいでしたよー?」




『…僕、やっちゃった?』




「…はい。残念ながら。」

「またオーナーに怒られますよー?」













…どうしよう……


僕、余計な事言っちゃったみたい……








というか、どうしてこういう時は直ぐに帰るのぉ~!


戻ってきてよ櫻木 翔琉~!!