※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~



























~Blue~






《…智……お前がしたのか…?》









お前がした?


翔さんはなんの事を言っているんだろう…?









僕がした…事…


しかもそれを翔さんは、翔さんのお父さんと電話で話している時に聞いた…?







翔さんのお父さんが知ってる僕がした事…




あ…

もしかして、あの事なんじゃ…










《…あ?ああ、いる…目の前に。ああ…》










翔さんがまた電話で話し始めたから、僕はまた壱智さんの方を振り向いた。

すると直ぐそこに壱智さんはいて…








ボソッ
〖成瀬さんが、“お待たせしました”って智君に伝えて欲しいって。〗



『!』



〖何をどうしたかとか、今後の事とか詳しい事は直接話しに来てくれるって。
だけど取り敢えず、“多野君のご希望には添えたと思います”だって♪〗



『っ、本当にしてくれたんだ…』



〖良かったね、智君♪〗



『はい…』



〖…でも、何やらあちらの空気はピリピリしてるけど…もしかして?〗



『…はい、翔さんのお父さんからの電話みたいなのでその事だと思います。』



〖成瀬さんの電話と同じくらいのタイミングでかかってきたみたいだしね…〗



『……』



〖…大丈夫?〗



『壱智さん…』



〖うん?〗



『翔さんは…僕のわがままを許してくれると思いますか?』



〖…フフ。もし許してくれなかったら、佐倉井君のご飯は抜きにするよ。〗



『……え?』



〖今日の夜ご飯は豪勢にする予定だけど、佐倉井君は食べられないっていう、意地悪をしてあげる♪〗












それはご馳走を前に指をくわえた翔さんがいるって事…?


それは可哀想…でも……その姿を想像すると……











『…フフ。』



〖うん、いい顔♪
その顔で我儘言われたら、僕は“もうしょうがないなぁ~♡”ってなっちゃうね。
きっと誠ちゃんも同じかも……フフ♪
大丈夫だよ。僕達は智君の味方だから、いつでも後ろから応援してるよ~♪〗



『っ!』



ナデナデ
〖フフ♪〗











…ああ、凄く心強い。



いつだってそうだった…


壱智さんは僕の背中を押してくれる…






もし僕が躊躇って、後ろを振り返ってしまっても、動かずにそこにいてくれる。

“大丈夫、できるよ”って言ってくれてるみたいに優しく笑って…







今回僕が勝手にした事は、翔さんにとっては嬉しい事じゃなかったかもしれない…


“あいつ等はそれだけの事をしたんだ。自業自得だ。” と、言っていたくらいだから……







そして、翔さんは僕が成瀬さんにしてもらった事を聞いて、今、怒っているかもしれない…


あの眉の上がり方は…たぶんそうだよね……










僕、怒られちゃうのかな?

僕、嫌われちゃったりするのかな?







それは嫌だな…





だけど、翔さんの話しはちゃんと聞くつもり…




でもね、翔さん…?


その前に僕の話を聞いて?






僕のわがままを聞いて……













スタッ



僕はまだ電話で話していた翔さんの前に行き、無言で翔さんを見つめた…










《っ!…1度切るぞ?…ああ、その事も俺の方から聞いておく。ああ……じゃあ。》











僕がじっと見ていたからなのか、翔さんは電話を切ってくれて改めて僕を見てくれた。










タン…
《…智、2人で話したい事がある。》



 ❬それは駄目だ佐倉井。話すならここでしろ。
それとも何か?俺達に隠れて言わなきゃならないような事を、お前はまた多野君に言うつもりか?❭



《っ!あんな事はもう言いませんよ!》



 ❬ならそこで話せ。俺達はお前が多野君に聞こうとしている事を知っている。❭



《えっ!?
じゃあ智が被害届を出す気が一切ない事や、父親の保険金も“貸していただけ”と言っている事で、佐倉井の親戚連中が罪に問われなくなったのを知っていたんですか!?》



 ❬は…?❭



〖…んんっ!〗



 ❬あ、ああ…そうなったのは知らなかったが、そうなるとは思っていたからな。❭



《じゃあ…俺の母親も、長年多額の弁護士料を払い続けていた事への弁護士からの返金があっただけという事になって、無罪になった事も…知っていたんですか?》



 ❬…へぇ、そうなったのか。❭



〖んんっ!〗



 ❬あ…いやだからな?
どうなったかは知らないが、あの成瀬さんの仕事ならそこまでするだろうとは思ってたんだよ、こっちは。
なんたってあの成瀬さんだからな。❭



《…その人は智の弁護士だと名乗ってる人ですよね?
もしかして山風さん達が紹介したんですか?》



 ❬…だったらなんだ?
“余計な事をするな” とでも言いたそうだな、お前は。❭



《!》



 ❬お前、何か勘違いしていないか?
罪に問われていたのも、被害を被っていたのもお前じゃない。
謂わばお前は部外者なんだよ。
そんなお前が誰に何を言えるって言うんだ?
というかお前はただ、何もできず、何も知らなかった自分が無力で悔しかったから、周りに痛い目をみせてやろうとしてるだけなんじゃないのか?❭



《っ!…それは……》



 ❬多野君の為にと自分では思っているかもしれないが、こっちから見れば、それはただ自分勝手に憂さ晴らししているようにしか見えないぞ。❭



《っ……》



 ❬ほら、違うなら反論してみせろよ。どうせ無理だろうけ__ ❭



スッ
『自分勝手をして誠二さんに怒られるなら…それなら僕も怒られなきゃいけないです。』



《…え?智…?》



 ❬あ!いや多野君は違うんだよ?多野君は何も__ ❭



『僕も同じです。違わないです。
翔さんを怒るなら僕にも怒って下さい。』



 ❬なっ!?いやいやいやいや!無理!!
可愛い多野君を怒るなんて俺のポリシーに反するから!
だからね?そんな事言わないで…ね?多野君?❭



〖もぉ誠ちゃんはちょっと黙ってて!〗



 ❬…は…い……❭



〖智君ごめんね?もう邪魔させないからね!〗














壱智さんが両手でガッツポーズをしてくれたから、僕は1度頷いて小さく息を吐き出してから翔さんの方を向き直した…









クルッ…
『翔さん。』



《え?あ、ああ…》



『成瀬さんという弁護士さんにお願いしたのは僕です。
僕が何とかして欲しいと頼んだんです。』



《…智……どうしてだ?
あんな事をされたのに、どうしてあいつ等を許すような真似をしたんだ?》



『……翔さん、僕、翔さんが好きです。』



《っ!今か!?
…あ、いやそれは……ありがとう。俺も智が好きだ。》



『…嬉しいです。
でも、僕と翔さんの好きは同じじゃないです。
だって、僕が翔さんを好きになってもう5年ですから。』



《え?》



『…僕の翔さんへの好きは重いんです。
だって翔さんにフラれてもそれでも想いはなくならなかったし、叶う訳ないと思っていても好きという気持ちを諦められなかったんですから。』



《…え?5年?……いや、その前に俺がいつ智をフッたんだ?嘘だろ…?》













…翔さんは覚えてないんだろうと思ってた。


その話しは一切してこなかったし…






あの時も真剣だったから、覚えてない事は悲しかった…だけど、今はその話しじゃない。













『…嘘じゃない事は和也が知っているので聞いてもらえれば分かります。』



《っ!マジか…》



『はい。凄くマジです。
あの時も今も翔さんを好きな気持ちは…ずっとマジなんです。
だって僕はあの日から翔さんさえいてくれれば、他はどうでもよかったから。』



《!》



『…だから、翔さんごめんなさい。
翔さんのお母さんだとしても、翔さんが昔から知っている親戚の人達であっても、僕にはどうでもいいんです。
翔さんさえ傷つけられなければ、他はどうだっていい…』



《っ…》



『だから成瀬さんにお願いしたんです。
翔さんに火の粉が飛んでこないようにして欲しい…って…。
翔さんが辛い思いをするのが僕は1番嫌だから…って。』



《…智……》



『どんな結果になるかは僕も知りませんでした。
成瀬さんにお任せしてたので…。
でもさっき成瀬さんからの伝言を壱智さんから聞いて、僕はとても嬉しかったんです。』



《……》



『ああ、これで余計な邪魔が入らないんだ…って。』



《え?》



『翔さんは僕に“何も心配しなくていい”、“安心してこれからも笑っててくれ”って言ってくれたけど、僕はあの時はそれは無理だと思いました。
だって、安心できるのも笑えるのも、僕の好きな翔さんが笑っていてくれないとできないから…』



《!》



『…だけど、これからは出来そうです。
翔さんが今まで通り過ごせそうだから…』



《っ!智、お前……》



『翔さん、僕が勝手にしたわがままを許してもらえますか?』



《許すも何も…》



『……』



《…そこまで言われて、もう俺が何か言える訳ないだろ?
……フッ、まさか智が自分で決着をつけてしまうとは思わなかったな…大人顔負けだ…》



『それは、弁護士の成瀬さんがよくしてくれただけで…
僕はただ、僕の所為で好きな人が傷つくのは嫌だっただけです。』



《っ!…アハハハ!
やべぇ!マジで格好いいなお前!》



『……え/////
か、格好いい……それは嬉しいです…////』



《あ、今のその顔は可愛い。》



『…僕、男なので“格好いい”がいいです……』



《ハハハ!なんだそれ!可愛いすぎるだろう!》











…格好いいって言われたいのに、また可愛いって……


しかも、壱智さんや誠二さん達も肩を震わせて笑ってるし……





男だもん、格好いいの方がいいに決まってるのに!












《ああ、悪い智…あまりにもお前が可愛くて……あ、いや。ゴホンッ。
あー、智の言う我儘っていうのも分かった。
それについては俺はもう何も言わない。
寧ろ、俺の事をそんなに想ってしてくれたんだって感動している。
ありがとな…俺の恋人は格好よくて最高だな。》



『っ!』



《ん?あれ?ちゃんと“格好いい”にしたよな俺?》



『…格好いい…は聞こえました。嬉しいです。でも、あの……』



《ん?》



『…こんなわがままな事したのに、僕…嫌われてないですか?』



《……は?》



『え、だって……翔さんの気持ちは無視しちゃって、勝手な事しちゃって__ゎっ!』



グイッ!
《嫌う訳ないだろ…余計好きになったっつうの。》



『…翔さん……本当に?』



《ああ。年数は埋まらないけど、智への好きの重さでいったら直ぐ追い越してやる。
というか、もう追い越してるかもな。》



『…あり得ないです。僕の好きは凄く重いですから。』



《言いきるなぁ…》



『はい、翔さんが凄く好きですから。』



《っ……ああ、やべぇな……》



『?』



《智が“好き”を連発してくるからだぞ?
俺はお前にキスしまくりたい。》



『っ/////』



《…でも、俺も学習はしている。
だから、次男におもいっきり叩かれる前に上の部屋に行くぞ。いいか?》














…あ、でも……















ガシッ!
《!!》



 ❬ほぉ~?誰と誰が上の部屋に行くって?❭














…誠二さん、翔さんの直ぐ後ろにいるんだよね……














 ❬この家でそんな事誰がさせるか!
おら佐倉井、お前が言った昼飯の蕎麦を何処で食うかさっさと調べろ!❭



《え?いや、でも…凄ぇいい感じだったので、もう少し智と一緒にいたいなぁ…と俺は思って___ 》



 ❬お前だけつまみ出してもう家に入れねぇぞ!?❭



《…はい、すみません。検索に勤しみます。》












翔さんが離れてしまい、いつものお約束みたいなやり取りをボーと聞いていると…











スッ
〖フフ♪おいで~♪〗











と、壱智さんが手を広げて僕を呼んでくれたから、僕はパタパタとその腕の中に入っていった。


そして壱智さんに抱きしめられながら…












〖よく頑張りました~♪
これからもいっぱい佐倉井君に好きって言って、好きって言われるんだよ~?〗



『…フフ。はい。』



〖あ~本当に可愛いなぁ♪〗











…うん、僕、壱智さんに可愛いと言われるのはいいんだよね。



なんでだろ?

この家ではお母さんだから…とか?














《え…あれは?あれはいいんですか?》



 ❬あれは目の保養。そして壱智は家の家長。どこに問題がある?というかお前は見てないでさっさと調べろ!
お前が見たら俺の癒しが減る!❭



《……はい。》














程なくして近くのお蕎麦屋さんに決まったらしく、僕達は4人で誠二さんの車に乗り向かった。





その後部座席に座った僕と翔さん。


でも座ったと同時に手を繋がれて…








コソッ
《…智、頼むから今度の休みは俺のマンションで過ごそう。》









と、言われた…

さっきの“キスしたい”と言われた事を思い出して赤くなってる僕に更に翔さんが…










《あ、泊まりで……な?》










そう言われて…違うかもしれないけど、違わないかもしれない事を想像したら僕の顔は熱くなっていって……




バッ!


僕は片方だけ自由になる腕で顔を隠した…


だってもう片方は翔さんと繋いでいたから、その手は離したくなくて…








《茹でダコ再び…クックック…》










もぉ!翔さん笑わないでよ/////!