※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~
ー相思相愛ー
ドーン
『ぅおっ…』
ドーン!
『ぐっ……』
パラパラパラ…
《アハハハ♪さっきから花火が挙がる度に声出てますよ?》
『だってな…凄ぇ腹に__ 』
ドーン
『ぐぁっ!』
《アハハハ!》
今日は “花火大会があるから2人で楽しんできなよ♪” と俺の親友でもあり雇い主の相葉 緑太に言われ、この会場にきた。
そして勿論隣にいるのが、314歳の元“半妖の鬼”だったのに、今は人として生きている俺の愛しいランだ。
シーン…
『や、やっと終わりか?』
《今は次の花火の打ち上げの為の準備時間ですよ。》
『…うぅ…まだ続くのか……』
《まだまだ始まったばかりですよ。ハハハ。》
『お前…笑ってるけど平気なのか?』
《花火と共に生きてきましたから。》
『…マジか……』
《アハハハ♪
嘘です。ただの慣れです。》
『嘘かよ…。つうか慣れって……これ慣れるか?
雷に撃たれた時みたいじゃんか。』
《ハハハ、そこまでの衝撃は……え?今撃たれた時って言いました?
え?あるんですか?》
『んあ?あるけど?』
《はぁぁ!?》
『風神と遊んでたら、雷神が妬きやがってドーン…ってな。』
《…マジで?》
『おう、マジマジ。
でも雷神の時はあの一発ですんだけど、ここの花火は何回もだろ?
しんどいわ…ってか、俺の腹大丈夫かこれ?』
いや!雷よりは断然大丈夫でしょうよ!
さっきから花火の音にお腹を押さえながら声をあげているから笑ってしまったが、一瞬で笑えなくなったな。
ってか、その仕草が可愛いかったから笑ってしまったが、笑うのも失礼だよな。
聞けば、ランは産まれてこの方こんな間近で花火を見た事はないらしい。
そりゃそうだよな…。
“鬼”だからと人に忌み嫌われ、産まれた地から逃げるように辿り着いた安息の場所は東北の山の中。
あんな森の近くで花火なんて打ち上げられないだろうし…
ただランは花火という物を流石に知っていた。
なんでも、あの森で1番高い木の上に登った時に小さくだが見た事があるとか…
その話を聞いた時俺は勿論足が震えたな…
あ、想像しただけで今も……ブルッ!
『ん?震えてどうしたんだヒロ?寒いのか?』
《…真夏なのに寒くはないですよ。》
『あん?あ、まぁそうか。』
《…寒いと言ったら暖めてくれました?》
『ああ、勿論。こうぎゅっとヒロをな___ 』
ギュ!
《スゥーハァ~…》
『……いやヒロ、今暑いって言ったよな?
それに俺がするんじゃなくて、ヒロに擁かれてるのはなんでだ?』
《俺がしたかったからです。ラン、暑いですか?》
『いや、俺は問題ないぞ?』
《こんなに人目がある所では恥ずかしいですか?》
『全く気にしないな。見たければ見ればいい。』
《…本当に男前ですよね。》
『そうか?俺はヒロしか見ていないから周りは気にならないだけだ。』
《っ…》
相変わらず嬉しい事を言ってくれる…
そうランは周りに人がいても気にしない。
ハグもそうだがキスも…そして実践はした事はないけど外でセックスもできるそうだ。
ま、それは俺がさせないけどな。
当然だろう?
ランの裸を見せるなんてそんな勿体ない事を誰がするか。
それじゃなくてもランは、この“麗しい”という表現がびったりな見た目だから注目を集めるっていうのに…
注目…
チラッ
クルッ… チラッ
…やっぱり今も見られてるな。
それに今日はこんな格好してるしな……はぁ…
鬼の頃のランを覚えている人間は俺以外にいなかった。
俺はランの真名を知っていたから記憶は消えずにすんだが、一緒に暮らしていた緑太や、“なんでも屋”の事務所でよく顔を会わせていた大家さん達も一切覚えていなかった。
だけど、そこは人を見る目に優れている緑太が直ぐにランを受け入れ、大家さん達も新たな入居者でもあるランを気に入り、俺の恋人だというのに今では俺以上にランと一緒にいる気さえする。
そして今日も、“ちょいと借りるよ?”と出かける前に大家さんに言われて、戻ってきたランは……
《はぁ……》
『お?今度はどうしたんだ?』
《エロい…》
『は?』
この浴衣を着せられていた。
おじいさんの為に昔あつらえた物だそうだが、着る機会がなかったそうだ。
そして今日、ランによって日の目を見る事になって大家のおばあさんはとても喜んでいた。
そう、大家さんは喜んでいた。
そしてランは着物系は着慣れているからか、渡された浴衣も自分で着付たらしい。
だからこそ、俺は反対できずにいたんだ。
この格好で花火を見に来る事を…
…チラッ。
ほら、またランを見る目が増えている。
一緒に歩いてここまでくるだけでも振り返ってランを見る人だらけだったから、この会場では更にヤバいとは思っていたけど…
おいおい、あんたら花火見ろよ。
ちょっとそこの彼氏さん?
隣の彼女さんがこっちばかり見てますけどいいんですかね?
…おい、そこの野郎数人はこっち見てんじゃねぇよ。
浴衣で肌がチラチラ見えるランはそれはそれは更にエロさが増したと俺でも感じる。
しかも着慣れているからか、雪駄ですたすた歩いていても裾の動きすら計算されているように美しい…
だから、美しいものを見るなっていう方が確かに無理な話しなのは分かってる。
分かってるが……
《見てんじゃねぇよ…》
これは、俺のだ。
俺が必死に追いかけて、俺の命をかけてでも取り戻したかった俺だけの…愛しい半妖の鬼なんだから……
ス…
《!》
『悪い…抑えてたつもりなんだけどやっぱ駄目だな。
俺はどうしても好きなヒロを見ちまうわ…嫌な気分にさせて悪かったな。』
《っ…》
ランは俺を真っ直ぐに見て、俺に好きだと毎日何度も伝えてくれる。
“呪い”なんてものの所為で、それすらもできないもどかしい時間を過ごしたその反動もあるのかもしれないが、1番はランがとんでもなく優しいからだと思っている。
だってそうだろ?
人間に父親を殺されて、人間を恨んでもいいはずなのに、人間の俺を助けてくれて俺をこんなにも好きになってくれたんだから。
《…嵐……愛してます……あなたにはいつまでも俺の隣で俺だけを見てて欲しい…》
『っ…ヒロ……嬉しいけどまたこんな所でその名を……』
ランの真名は嵐。
その真名を教える事は伴侶だったり、本当に全てを捧げりと決めた相手だけらしい。
というのはその真名を教えた者は隷属…命すら自由にできるらしいからだ。
そして俺はその真名を教えられた特別な相手…
だからこうして……
《嵐、行きましょうか。》
『…ピクッ…また簡単に名を……で?何処に行くんだ?
花火は続くんだろ?』
《ええ。でも、ランのお腹が可哀想なのでもう行きましょう。》
『いいのか…?
俺は助かるけど、ヒロはもっと見ていたいんじゃないか?
俺、付き合うぞ?』
本当にこの元半妖の鬼は優しすぎる…
だけど……
《大丈夫です。花火より見たいのができましたから。》
『そうなのか?』
《はい。勿論付き合ってくれますよね?》
『おう。ヒロが行く所なら何処にでも行くぞ。』
《ありがとうございます。じゃあ2人でイきましょうか。》
『……ん?』
《あ、ある意味花火ですね。
ランの中に打ち上げる花火…フフ。
まぁ、ランはお腹の衝撃だけじゃ済まなくなるでしょうけどね。》
『……ヒロ?どういう事だ?』
《でも勿論最後までランは付き合ってくれますよね?俺の火種が鎮火するまで…ね?》
『???』
ああ、分かりにくかったか……
《ラン、俺の子種……欲しいですよね?》
『あ、そういう事か。
おお、勿論だ。今ここでか?脱ぐか?』
ブッ…本当に最高だな俺の愛しいこの元半妖の鬼は。
でも、ここでは無し。
ランに魅力される奴をこれ以上増やす訳にはいかないからな。
ヒュ~
ドンッ!
『ぅぉっ!』
《アハハハ♪また始まりましたね。
じゃあ急ぎましょう。
あ、そうそうラン?そういう時は “や~まや”と言ってるといいですよ? 》
『や…やまや?……それで腹に衝撃こなくなんの?マジで?』
《アハハハ♪
はい、マジですマジ。》
『分かった…“や~まや~”!』
ヒュ~
ドンッ!
『ぐへっ……俺…言ったのに…なんで?』
《アハハハ♪》
本当に最高だよ♪
相思相愛
(そうしそうあい)
互いに慕い合い、愛し合っていること