※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~





























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桃井さんをこき使う日……と、ニノさんが決めて本当に僕達を色々とお世話してくれたあの日から2週間が経った。






ニノさんは、嬉しい事によく笑ってると思う。




桃井さんとの言い合いも楽しそうだし、波多野先生とも桃井さんがなんと言おうと仲良くしてるから。


“仲良し”…は、いい事だよね?フフ。










他にもここ2週間で色々あった…かな…








キラッ



あ、うん。

この新しいブレスレットを惺史から貰ったのもそうだね。





…というか、僕から惺史にお願いしたって方が正しいかも。




だって、惺史のあのキラキラの青いベール…


惺史は“数時間持つ”って言って僕に貸してくれたベールだけど、実際は3日も続いたからね…?





3日……3日だよ?



3日もあんな風に桃井さんに積極的になっちゃって……////








もうどうにかしてって惺史に電話でお願いしたよね。



“そんな効果なんて無いから”って惺史には言われたけど、そんな訳ないから!って僕はちょっと怒ったよね。


怒るのはどうかと今は思うけど……僕、本当に大変な状態だったから、あの時は仕方なかったんだ。




…だってもう…本当に……色々ね………////










だから、惺史に“早く!”って急かしてこの新しいブレスレットを貰ったんだ。




でも、その時に惺史とマソラちゃん達とデートした事は桃井さんには内緒なんだ。

それが“羨ましがられるのは嫌なので”という一緒にいた成瀬先生からのお願いだから…









あ、前のも大事に保管はしてある。



あの割れちゃったけど、回収した透明になっちゃった石も一緒に。

…僕を守ってくれた大事な物だから。










そしてここ2週間で1番の出来事といえば…


桃井さんの事務所に、櫻田さんと夏さんが話をしに一緒に来た事だと思う……









桃井さんが話してくれた、2人が会いに来た理由は、あの人…双葉さんの事だった……








“本人から何があったか全てを聞いた”…夏さんは桃井さんにそう言ったらしい…




そして夏さんは、何も知らずにいた事を僕に謝りたいけど、会わす顔が無いし、会ったら僕が辛くなるだろうからと桃井さんに伝言をお願いしに来たんだと言ったらしい…





櫻田さんは夏さんからその話を聞いて、自分がいた方が桃井さんは会ってくれる可能性が高いからということで一緒に来たのと、改めて、何も事情を知らない自分が言った事を僕に謝りたいからと来てくれたのだという……










2人共、僕に謝るとか必要ないのに…






そう、僕は思っていたんだけど、桃井さんは違った…


桃井さんはその話を家に帰ってきて直ぐに僕にしてくれると、1本の電話を掛けた。




そして“話せ”と僕に言ってスマホをスピーカーにすると、向こうから聞こえる声は夏さんだった…







僕は驚いた…



勿論、僕が声を出した事で電話の向こうの夏さんも驚いていた…





そして、長い沈黙が続いた後…










〔春……何も知らなくてごめん……〕










と、そう言った…


そして、桃井さんからも聞いていた“もう僕に会わない”という話しもされた…






夏さんの話す声が震えていた……





夏さんは何も悪くないのに、“ごめん”とばかり言って、僕の事ばかり心配してくれる…

 
そんな夏さんの声を聞いていると、僕は辛くなって何も言えないでいると、桃井さんが僕を抱き締めて代わりに話をしてくれた……









《おい、アキを泣かせるな。
泣かせる奴は誰だろうと許さない。》



〔え……〕



《だが竹本夏生、お前には借りがあるから殴り込みには行かないでやる。
でも、次はないぞ。
だから、お前は2度とアキを悲しませるような事は言うな。》



〔っ…〕



《アキの髪型…悔しいが似合っていた。
そこだけは認めといてやる。
だが、いいか?“そこだけ”だからな。
髪を切りたいとアキが思ったら、行かせてやるだけだからな!
お前は自分の仕事だけをしろよ!》



〔…でも俺は__ 〕



《決めるのはアキだ。お前じゃない。》



〔っ!〕



《だからお前はお前に出来る事をしろ。
アイツがもう何も仕出かさないように監視するとか何かあるだろう!?
“会わない”という簡単な方法でお前が逃げるな!
お前には、アイツをアキに会わせた責任があるんだからな!》



〔…俺は……聖がした事を許せません……でも……
あんな聖を…友達を見捨てる事も……できないんです。〕



《…だからなんだ?》



〔…いいんですか?
こんな俺が春とまた会いたいと願ってもいいんですか?〕



《だからさっきからお前が決めるなと言ってる!
そもそも、そんなお前に会いに行った奴がいるだろう!
元気な姿を見せるという約束を頑張って守った奴がいるだろう!
アイツに何かされたのに、お前に感謝してた奴がいるだろう!》



〔!〕



《考えてからものを言え!
お前だってアキが律儀で素直で優しいのを知っているだろうが!》



〔っ…〕



《アイツを友達だとかぬかすなら、お前は全力でアキを守れ!
ついでに他の奴がアキと同じ事をされないように守っとけ!以上だ!》



〔…桃井社長……〕



《俺は以上だって言ってるだろうが💢》



〔春に……秋人に伝えて下さい。〕



《ああ💢?》



〔…さっきはああ言ったけど、俺は…本当はこれからも会いたいと。〕



《誰が必要以上に会わせるか💢!》



〔…元気で笑ってる…幸せな姿をこれからも俺は見ていきたいからと……〕



《……》



〔お願いします…どうか伝えて下さい。〕



《…仕方ないから伝えといてやる。》



〔ありがとうございます。…桃井社長……〕



《あ💢!まだあんのかよ!?》



〔…あたたかい言葉を言って下さりありがとうございました。
これからも…秋人を笑わせてあげて下さい。よろしくお願いします。〕



《っ!お前に言われなくても分かってるわ!
アキはこれからもずっと俺の側にいる!
俺の側にいれば笑えるんだからお前が余計な心配してんじゃねぇよ!じゃあな!》














……スピーカーにしていたから、全部、聞こえていた。


泣いて何も言えない僕の代わりに桃井さんが話してくれていたんだから……








桃井さんは電話を切ったあと、“もういいぞ” と、僕に言ってくれた。


僕が口に手を当てていたから、そう言ってくれたんだと思う……






…でも、そうじゃない。


悲しいんじゃない…僕は嬉しいんだ。




嬉しくて涙が出てるんだ……






夏さんが僕を救ってくれたように、あの人…傷を持ってる双葉さんも見捨てる事なく寄り添おうとしてくれてる事が嬉しい…


もう“春”である僕は側にいなのに、これからも僕に生きていて欲しいと願ってくれているのが嬉しい…





そして1番嬉しいのは……






ギュ…




強く僕を抱き締めてくれる、僕の大好きな恋人がとても優しい人なのが嬉しいんだ…







僕は“心広き人”ではないと思う…

でも、この“心深き人”とずっと一緒にいれたら、そうなれると思ってる…




僕の恋人は、僕の為に嫌な事でも丸ごと受け止めてくれる本当に優しい人だから……


























そんな色々な事があった2週間…



そして今日は、僕の落ち着ける場所の1つになっている此処に来ている。











カチッ
〈秋!凄いよ!今見たら100万回再生だって!〉



『え?……あ、はい…』



〈…なんでそんな反応なの?感動とかは?〉



『え?…えっと……わ、わぁ!嬉しい!』



〈………〉



『………』



〈…棒読みじゃん。全然嬉しくなさそうじゃん!
俺が舞い上がってるのがおかしいみたいじゃん!〉



『…ご、ごめんなさい……その、数字を言われてもよく分からなくて……』



〈それ、“ギフト”がダウンロード1位になった時にも聞いたから!〉



『……あの時は、桃井さんにも“感情をどこに落としてきた!”と言われました。』



〈言ってたね、確かに……〉



『…嬉しくない訳じゃないんです……ただ……』



〈秋は数字じゃないんだよね。
…分かってるよ。分かってるんだけどさ、なんか…〉



『ぼ、僕…嬉しい…です!』



〈………歌、録ろうか?〉



『ホッ……はい、お願いします。』











僕、1位になった事は…嬉しいというより驚きの方が強かったんだ。

“僕なんかがいいの…?”と思ったくらいだったから。





でも、嬉しくない訳じゃないんだ。




ただ、数字とかで言われると、どうしても分からなくなってしまうんだ…



そして不安にもなってくる…




その数字の中に、本当に僕の歌を求めてくれる人は何人いるんだろう?…って。

僕の歌声でガッカリさせたりしてないかな…って。







だから、思ってしまうんだ。


その人達が皆…









〈さあ秋、今日も俺に最高の音色を届けてね♪〉











ニノさんみたいに、僕の歌を本当に聞きたいと思ってくれる人ならいいのになって…










『はい、ニノさん。』










僕は、大勢の人に届くようにと歌わない…


ううん、歌えないんだ。





ガラスの向こうにいる人に届くように歌うのが今の僕の精一杯…




僕は本当の意味で歌を唄うという事を始めたばかりなんだから…。






でも、いつか……


そう、いつかは……きっと………










……あ、ガラスの向こうにもう1人僕の唄を聞いてくれる人が増えた。






また…抜け出してきたのかな?

その紙袋はおやつかな?今日はなんだろう?







……フフ。

あ、笑わないようにしなきゃ。







でも……



声は聞こえないけど、また2人が言い合ってるのが見て分かるからどうしても笑えてきちゃう……






フフ。

今日の歌も気持ちよく唄えそうだな♪