※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~





























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〈秋…助言するとか…何しちゃってくれてんのよ…〉









そう言って、困ったように…それでも仕方なさそうに僕に笑ったニノさん。



あの日から2週間が経った……
















あの日、もう1度櫻田さんに頭から歌わせたニノさんは、曲が終わった後に暫し沈黙した後、櫻田さんの歌声を認めた。








〈仕方ないか。
ちゃんと曲を…歌詞の意味を理解したみたいでこっちに届いたからな。〉 












と、言って。



でも、不本意というか悔しそうな顔…してたかな。









後で聞いた話しでは、ニノさんは櫻田さんが泣いて頼んでくるのを待っていたんだって…。


そして、ネチネチ?と沢山ダメ出しをして、鼻っ柱を折りたかったんだって…桃井さんがそう僕に教えてくれた。





だから、その事を知ってた桃井さんはあの日“逃げるなら今の内だぞ?”と言ってくれたみたい。


僕がニノさんに怒られないようにって…。








ニノさんに怒られはしなかったよ?





でも……凄く長いため息はつかれた。


櫻田さんがニノさんの曲を歌うって事に単純に喜んだ時に。







だって、本当に素敵だったから。



だから手を叩いて喜んでたら…桃井さんにがっちり押さえ込まれた。


“俺に八つ当たりがくるから今はやめてくれ” と、言われて。














この2週間の間に、僕はもう1度レコーディングをした。


今度は、同じ曲だけどメインキーじゃなくて、高音のハモリの方。






そう…。


櫻田さんが歌う事になった“Rolling days”にバックコーラスという事で参加させてもらったんだ。








…言われた時に驚いたよね。



でもこれはニノさんの意見じゃなくて、櫻田さん側から言われた事らしい。


提案してくれたのは東山社長だそうだけど……








東山社長には、桃井さん達が何かを言ってくれたみたい。

だから、その後はあの話しはしてこなかった。





でも、もしかすると大城さんが僕の側にいてくれた事が大きいのかもしれないと僕は思ってる。

東山社長とチラチラと目が合っていたけど、僕には話しかけてはこなかったから…








それに、桃井さんもいつもと違ったんだ。




桃井さんがニノさんに怒る時のようにはならなかったんだよね。





なんていうか……楽しそう?



ニノさんと櫻田さん達が話している間も僕の左側にピタッと大城さんがいてくれたんだけど、桃井さんは態々2、3歩離れた所からじっとこっちを見てたりもして…


そしてそれも優しい顔というか、嬉しそうな……







もしかしたら桃井さんは、大城さんの事が___












「ん?秋君?検査ばかりで疲れちゃったかな?
もう少しで終わるから我慢してね?」










…あ、波多野先生。



…今、医院で検査中だってちょっと忘れてた。











「それとも桃井さんがいなくて寂しいのかな?クフフ。」



『あ、いえ…』



「大丈夫、待合室で待っててくれてるからね。
早く終わらせて戻ろうね。」



『…はい。』



「うん。
ん~、やっぱり数値が良くなってるね!
虹也君からよく寝れてるという話しも聞いていたから今日は期待して待ってたけど…期待以上だよ。
顔色もいいしね。
これなら、手術の日を決められそうだね♪」



『…あの先生?』



「はい、なんでしょう?」



『…あの話し本当なんですか?』



「あ、手術代の事?」



『……はい。』



「うん、手術代はかからないよ。
ただ、その前とか経過とかを記録に残さなきゃいけないから、検査や病院に定期的に来て貰わなくちゃいけなくなるみたい。」



『……いいんでしょうか?』



「いいも何も、逆に秋君にお願いしなきゃいけない事だから、こちらからいいですか?って聞かなきゃいけないんだよ。
なにせ、初めての治療…言い方は悪いけど実験体になって貰う訳だから、何が起こるか分からない。
勿論、考えられる対処は完璧にする。
その為に手術後は普通より長く入院してもらう事になるし、最初の通院も多く予定してる。
だけど…僕達は手術後の秋君の精神的負担が相当大変になると考えてる。
そこは秋君に一緒に頑張ってもらうしかないんだけど…」



『……』



「あ!でも、勿論そこのケアも忘れないよ?
行く行くはここの医院に来て貰うだけにしようと思ってるし、僕はいつでも秋君の元に駆けつけられるようにするからね!」



『……』



「秋君、どうか宜しくお願いします。
今後の医療の為にも、秋君と同じ痛みを持つ人達の希望になって下さい。」










…僕が誰かの希望になれるなんて……










『…よろしくお願いします…波多野先生。』



「っ!ありがとう!!
今度、あっちの病院に行って古牧先生を紹介するね?
と、言ってもあの先生も2年前の秋君を知ってるんだけどね。
あ、ちょっと…いや結構変わった先生だけど偉大な先生だから安心してね!」



『はい。』



「で、次回はあっちの病院に行ってもらう訳だけど…」



『…?』



「付き添いはまた桃井さんなのかな?」



『……』



「あ、いや…その虹也君は来ないのかなぁ~と思ってね。」



『……先生。』



「忙しい?やっぱり忙しい?
連絡しても、余り返ってこないから忙しいんだろうと思ってはいるんだけど…その久しぶりに会えればなぁ…と。」



『先生はニノさんが好きなんですか?』



「そんな直球にくる!?」



『え?…ダメでしたか?』



「っ…いや、うん…駄目じゃないよ。
そうだね、僕は彼を初めて見た時から惹かれているね。
誰もいない公園のベンチに座ってる彼を見た時から…。」



『…ベンチ?』



「うん、最初は医者と患者の出会いじゃないんだよ。
でも彼となんとか話したいって思って、顔色の悪い彼に、僕は医者だからって言って近づいたんだ。
そうすればもっと彼と一緒にいれると思ったから…って、医者としては駄目な発想だよね。」



『…ニノさんが好きなんですね。』



「…秋君には敵わないな~。
うん、好きだね。
だから彼が僕の患者じゃなければって思うんだ。
でも、彼が頼れるのは僕なんだって喜びもあるから困ってる。
それに、彼が苦しんでる時に1番に駆けつけるのは僕でありたいとも思うから…やっぱり困るんだよね。」



『…フフ。』



「え?秋君?」



『何も困らないと思います。
お医者さんが誰かを好きになっちゃいけないって、僕は聞いた事がないですから。』



「秋君…」



『ニノさんは今日は忙しいです。
でも、明日はお休みだと言ってました。
久しぶりのお休みだから、いっぱい寝てやるって。』



「…え?」



『でも、そう言っててもニノさんはお昼過ぎには起きます。
それからの予定は、僕は知りません。』



「…それは、僕がお誘いしてもいい…という事かな?」



『僕は分かりません。
でも、連絡するのは波多野先生の自由なんだと思います。』



「…秋君は僕を応援してくれる?」



『それはできません。』



「!」



『僕はニノさんの応援しかしません。』



「…そう、だよね。」



『でも、ニノさんがいないなら僕は桃井さんと2人でご飯を食べます。
桃井さんと一緒にいます。』



「っ!
それは、1番の援護射撃だね!
ありがとう!早速今日仕事が終わったら虹也君に連絡してみるね♪
秋君の検査結果も知りたいと思うから、その報告も兼ねてね。」



『はい。』



「じゃあ手術の事はこちらで進めていくね?
先ずは来週あっちの病院に行く事で、その後の予定は決まり次第連絡します。
秋君、一緒に頑張りましょう!」



『はい、よろしくお願いします。』



「長い時間お疲れ様でした。
では、お待ちかねの桃井さんの元へどうぞ。」









お待ちかねって…










「あれ?違った?
秋君は桃井さんの隣が1番安心するよね?
気疲れしただろうから、いっぱい癒してもらってね?」



『……ありがとうございました。』



「は~い。
また、秋君にも調子どうか連絡するからね。」



『……はい。失礼します。』









…ガチャン









診察室から出て待合室に戻ると、この空間には場違いなんじゃないかと思う程に、ビシッとスーツを着て足を組んで背凭れにもたれ掛かる桃井さんがいた…。


そして僕が歩いてきたのが分かったのか、座ったまま手を広げている……






桃井さん、流石に待合室で膝の上には乗れません…





でも、その腕の中に吸い込まれるように僕は歩いていってしまうんだ……


良かった…午前中の診察の最後にしてもらっておいて。












『…お待たせしてすみません。』



《何を言ってる。
それよりも疲れただろう?
どこかでご飯を食べて帰れるか?》



『…桃井さん、お仕事が……』



《アキがいるのに、俺が仕事を優先するとでも思うか?
午後からは休みだ休み。
だからアキ、デートできるぞ?嬉しいだろう?》



『……』



《嬉しいよな。な?》



『…はい。』







(小野さーん。お待たせしました。)












…取り敢えずお会計をしたいから、その僕の腰に回した腕を外してくれませんか?