※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~





























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桃井さんを…しかも顔を足で遠ざけてしまってから一夜が経った今日。



…僕は、ニノさんに言われるまで自分の行動がおかしいとは思わなかった。











〈秋、取り敢えず落ち着こう?
お風呂掃除とか、ほんの数十分前にしたばかりだよ?〉



『…え?……あれ?』



〈秋はしてたよ。〉



『じゃ…じゃあトイレの掃除を___ 』



〈それも廊下を掃除しながら、済ませてたの見たよ。
というか俺が後ろにくっついて見てたのにも気づいてない?〉



『………え?』



〈その顔は気づいてないね……アハハ!
どんだけ心ここにあらずなのよ!
でも…そんな秋も可愛いけどさ♪〉



『………』



〈ま、座ろうか?
俺がココアでも作ってあげるよ。〉



『あ、それは僕が___ 』



〈俺がするの。
掃除代わるよって言ったのに、聞いてくれなかった秋は大人しく座ってなさい。〉



『…すみません……』



〈うん。〉












そう言ってキッチンの方に歩いていったニノさん。


そんなニノさんの後ろ姿を見ながら、僕は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。








それは今日の朝、僕が寝坊をしてしまって朝ご飯を作れなかったからだ。



いや、昨日の夜も作れなかった…

そっちは寝坊とかじゃなくて違う意味で……








自分の頭の中が“どうしよう”という考えばかりで、何も手につかないって感じだったのに、直ぐそこにいる桃井さんから離れようとキッチンに逃げたんだけど…


頭の中が夜ご飯の準備じゃなくて、違う方にばかり気を取られていたから全然集中できなくて、手を滑らせてしまって持っていた包丁を床に落としてしまったんだ…。


僕の足と足の間に……






柄の部分から落ちたからなんの問題もなかったんだけど、危なかった…とぼぉーっと落ちてる包丁を見ていたら、僕の横に来たニノさんが叫んだ。



“ギャアー”と……






それでハッ!として、その包丁を拾い上げようとしたら、勢いよく腰を抱かれて担ぎ上げられた…

そう、桃井さんに……







今は触らないで欲しいとも、今は僕に構わないでとも言えず、ソファーに座らせられスリッパを取られ、ズボンを脱がせられて色々見られて、あちこち触られて……


それで僕は恥ずかしくなって……






たぶん、気を失った。


たぶんっていうのは、目の前が暗くなってしまいそこから覚えてないから。

そして、次に目を覚ましたのが朝の9時だったから…









…ある意味桃井さんから逃げられたけど、2人に凄く申し訳なかった。


だって、夜ご飯も朝ご飯も作らずに僕は寝てしまっていたんだから……








でも、目を覚ました僕にニノさんは“良かった”と言って話をしてくれた…


何も良くないのに、僕がしなきゃいけない事をしなかったのに…








だから僕は掃除だったり、ニノさんのお昼ご飯の準備を黙々としていた。

ただ、黙々とし過ぎていて同じ事をしようとしていたみたいだけど……








コトッ

〈はい、お待たせ。
熱いから気をつけて。〉



『…ありがとうございます。』



〈どういたしまして。…って、また何か考えてるでしょ?〉



『……だって…』



〈もう…だから秋は気にしすぎなんだって。
秋が寝れて良かったって俺言ったよね?
ソファーに倒れこむように寝た時は驚いたけど、その後は本当に1回だけ起きて、卓巳先生がくれたお茶を飲ませたらまた寝たんだから。〉









…そうらしいけど……昨日は1回くらいしか迷惑かけなかったみたいだけど……










〈その後9時間は寝息しか聞こえなくて俺達も嬉しかったんだって。
秋がちゃんと寝れてるってね。
卓巳先生にも嬉しくて俺、朝から連絡しちゃったよ。〉











…その連絡する事に桃井さんは怒らなかったのかな?





いや、そこじゃない。

ニノさん達に迷惑をかけなかったのは本当に良かったと思う。



でも反省すべきは、その“9時間”の方なんだ……




ううん。

その前から意識が無かったんだから合わせたら14時間以上にもなる…





何もしないでただ寝ていたなんて…











〈秋、本当に気にしすぎ!
ご飯なんて食べようと思えばどうとでもなるんだよ?
俺だって簡単な物なら作るには作れるし、レトルトなんて温めれば終わり。
デリバリーなんて注文すれば届く。
それこそ俺達は1人暮らしが長いんだから。〉












…分かってるんだけど、なんか凄く申し訳ないって思ってしまう。


だって、この家に置いてもらってるんだからそれ位は役にたたないとって思っているから…












〈…もう…本当にその遠慮しいはどうにかならない?
まぁ、さ?秋の作ってくれるご飯には本当に感謝してる。
美味しいし、リクエストした物を作ってくれるしもう毎日が大満足!
でも、俺達は秋に甘えすぎてるなって反省はした。〉



『…そんな事は___ 』



〈あるんだよ。〉



『……』



〈…あるんだけどさ、やっぱり朝から秋を見て、出される珈琲を飲むと1日頑張ろうと思えたりするんだよね。
無いとやっぱり調子狂う…っていうかね。〉



『僕、ちゃんとご飯作ります。もう…寝坊なんてしません。』



〈そうじゃないんだよ。〉



『え…?』



〈ご飯なんて手抜きでいいんだ。
だからそんなに頑張って気負わなくていいって事を言いたいんだ。
ただ、朝から秋の顔を見て珈琲を飲めたら最高だなって話しなんだから。〉



『珈琲…』




〈味噌汁でもいいけどね?
要は秋が見える所にいてくれればいいって事。
そうすれば朝の憂鬱さもなくなるんだよ不思議とね。
今日だって冬司さんはあの無い肩を更に落として仕事に行ったからさ。〉



『……』



〈“俺の体はもうアキで出来ているのにどうんすんだよ…今日はやる気おきねぇ…”とか言ってたけど、俺に “静かにしろ!可愛く寝てる秋を絶対に起こすな!” って言ったのは自分の方なのにね~〉



『……』



〈ま、俺も起こすつもりはなかったし分かってますよって言ったんだけど、ずっと隣で寝顔を見てた俺にとうとう腹が立ったみたいで引き離されたけどね?〉



『……』



〈本当にあそこまで器が小さくなると、ため息しか出てこないよ。
“今日は仕事に行かない”とまで言い出す始末でさ?
迎えに来たブッキーの方に蹴飛ばして追い出してやったよね。〉



『……』



〈それでも文句たらたらで、ドアが閉まるまで“秋を触って起こすなよ!”とか色々言ってたな…。
ホントに朝からうるさいったらありゃしない。〉



『……』



〈…秋?秋、聞いてる?〉



『…え?あ、はい……聞いてます。』



〈本当?でもまた心ここにあらずって感じだよ?
ああ、話題が冬司さんの事だったからそれしか考えられなくなってるって感じか…〉



『っ!』



〈図星だね。
確かに話しに出してるのは冬司さんの事だけど、話してるのは俺なんだからさ、たまにはこっち見てよ?
って言っても、ま、無理か~〉



『……どうして…』



〈ん?〉



『どうして…そう思ったんですか…?』



〈秋の顔がそう言ってるから。〉



『…僕……そんなに顔に出してますか?』



〈ん?うん、出てるよ。
でも好きな相手の事を考えるのを止めろとは俺は言わないよ。
ただちょっと寂しいなっては思っているけどね。〉



『っ……』



〈…秋?〉











…確かに桃井さんの事を考えていた。


朝ご飯の事でがっかりさせちゃって、今、仕事は捗っているんだろうか?とか、お詫びに今日の夜は桃井さんの好物を作るべきなのかな?とか……






でもそれはお詫びであって、他の何かじゃない…


ニノさんが言うような“好きな人”だからっていう訳じゃない……







違う…


うん…違うよ…。





僕は桃井さんを好き…なんかじゃない。




僕に好きな人は…いない…








だから、早くニノさんの誤解をとかなきゃダメだ。
















〈秋、もしかして___ 〉



『ニノさんは誤解してます!』



〈!?〉



『ぼ、僕は桃井さんを好きじゃ…好きじゃありませんから!』



〈…え?〉



『だっておかしいでしょう?
男の僕が男の桃井さんを好きになるなんて!
だから……だから誤解しないで下さい!』













こうしてお世話になってるのに、ニノさんに僕が変な奴だと思われたくない。

それに桃井さんの迷惑にもなりたくない。







だから、これは違うんだ…






決して……




“好き”なんていう気持ちじゃ…ないんだ…………