※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~





























~No.2~





“お休みの所申し訳ありません”



そう電話越しから聞こえてきた柳田さんの声は静かだが、どこか緊張しているような声だった。


一瞬にしてマズイと思った俺は直ぐにスピーカーにして横にいる海にも聞かせた。







”陸都様……海寧様のお加減はいかがでしょうか?“



《…大丈夫だ。》



“…陸都様。我々に上階に行く許可を下さい。”








さっきはイレギュラーだったからボディーガード達も階段を上ったが、本来なら立ち入りを許していないんだ。

俺達の邪魔をされたくないから…





それなのに柳田さんは許可を取ろうとしている。





…これは___






”よろしいですか?“



《…なぜ?》



“…気になる事がございまして、その確認を致したく思っております。”








マズイな…どうする?



こいつらは不法侵入だ。

海が気を許していると言っても、柳田さんは許すか分からない。




俺達の安全しか考えていないのだから、もしこいつらが見つかったら…




なにせ海にあの鉄の塊を渡したのは柳田さんなんだ。



違法だとしても勿論本人も持っているだろう…。







こいつらをまたセーフルームに入れるか?

いや、しかしそんな事を続けていてもいずれ…

 


じゃあどうする?




難破したという事は船が無いからこの島を出れないという事だ。


俺達のクルザーでこの島から追い出すか?

…だが、鍵は操縦した柳田さんが持っている。





奪う?

あいつなら奪えそうだが…。






それに、船が動けば…いや、そこまで行くまでに見つかったら____







”陸都様?……やはり何かあったのですね?
先程の物音といい…許可を頂かずに向かう事をどうかお許し下さい。“







しまった!


俺が黙った事で柳田さんの中で疑念が確信に変わってしまった。




こいつらをどうやって逃がすか考えていたらこんな事に!


どうする…どうすれば___








『…ンフッ♪』







え?海?







『柳田さん、ごめんね?音がうるさかった?』



”海寧様!ご無事ですか!?“



『無事?なんの事?
あ~でも困ってる事はあるかな~』



《!》






ピクッ

固まっているそこの5人が反応したのが分かった。




俺は思わず海の肩を抱き引き寄せた。







『え?…もぉ~陸~♪
今、柳田さんと電話中だからちょっと待ってて♡』



《いや、でも…》



『チュッ♡』



《っ!》



”………“



『で、なんだっけ?
あ、そうそう!音だね♪
ごめんね~陸とやっと二人っきりになれたから我慢できなくて僕が陸を押し倒しちゃったの♪』



“…海寧様?”



『さっきの船酔いも嘘なんだ~
早く陸と二人っきりになりたくてつい…ごめんね?』



“では…困ると言うのは……”



『うん。
陸と楽しんでたのに柳田さんが電話してくるから~僕、ちょっとムッとしちゃったぁ~』



”申し訳ありません。“



『ンフッ♪
いいよ~僕こそごめんね~?
じゃあもういい?』



“いえ、もう少しだけよろしいでしょうか?”



『ん?なぁに?』



“…この家に誰かいます。”








っ!!


柳田さんが言いきるという事はその証拠があるという事。



おい!誰だよ!?





俺は5人の方を無言で睨んだが、5人とも手を顔の前で横に振っている。


……揃えてる場合じゃねぇんだぞ?






でも、焦る俺とは違い海は…








『ンフッ♪そうだろうね~人がいるもん♪』



《!?》



「「「「!!!!」」」」



【……】







“…どういう事ですか?いえ…それは排除対象でよろしいのですね?”



《っ!》



『フフッ♪ダメだよぉ~。僕のお友達なんだから♪』







…海?

友達ってこいつらか?



こんな事をした奴等を“友達”と言うか!?








“……それは大変失礼な事を申しました。
ソーラー発電の消費がありましたので気付いたのですが…。
しかし海寧様のお友達がいらっしゃるとは伺っていませんでしたが?”



『うん、僕も驚いてる~。
来るのはもっと先だと思ってたから~』



“…最初からいらっしゃる予定だったと?”



『そう。
この家の管理人をお願いしてるお友達だからね~。』



“…管理人…ですか?”



『そう。
こんな無人島でもこの家が傷まないように住んでもいいよ~って言ってくれた変わったお友達♪ニコッ』







あっ!また!!




ペチン!

『ぅにゃ!』



“海寧様!どうされました!?”



『ぅぅ…陸が……余所見するなって怒る~』



《海が悪い。》



『…ぅぅ~』







怒ってはいない。


ただ、あいつらにウィンクする必要なんてどこにもないと判断しただけだ。





クスクス  クスクス




…おい、笑ってんなよ!聞こえるだろうが!








“それは大変失礼致しました。
お二人のお邪魔をしてしまいました私をどうかお許し下さい。”



《柳田さんは仕事をしてくれているだけです。杞憂…でしたが、伝え忘れていた俺達が悪い。すみません。》



“陸都様。とんでもございません。
海寧様のお友達を疑ってしまった事を深くお詫びします。”













柳田さんも海が“友達”と言う事の重大さが分かっているからの発言だろうと思った。


簡単に友達を作らない、いや一ノ護だからと敢えて作ろうとしない海の“友達”がどれだけ貴重な人物かを……








『柳田さん、本当にごめんね?
5人はたぶん島を探検でもしてると思うの。
その内帰ってくると思うから出迎えお願いします。』



“5人…かしこまりました。
海寧様のお友達とあれば。”



『うん、お願いします。』



“失礼致します。”








タッ…

海が通話を終わらせると、頬を膨らませて俺を見た。








『もう陸!どうしてペチンってするのぉ!』



《ウィンクをする必要なんてないからだ。》



『だからってペチンはひどいよぉ!
僕、痛かったもん!』



《ハッ!海!大丈夫か!?》



『…今なの?』



《悪かった海!そうだった!
あまりにも可愛い海を見せたくなくて隠したくて…俺は考えなしにやってしまった…すまない…本当にすまない…
痛むか?冷やすか?俺はどうすればいい?どうしたら許してくれる?》



『……陸~♡
大丈夫、もう痛くないから。
それに陸を許さない訳ないよ?だって僕の大好きな…』



《海……》







俺を見つめる海。


その唇にもう少しで触れそうな時に___








「あ、あのさぁ?」
「ちょっといいですか?」
「これからって時に悪いんだけどね?」
「いや、見てて微笑ましいよ?」




《…チッ。
じゃあ邪魔すんなよ、おっさん共。》



「「「「だからお兄さんな!」」」」



《うるせぇ!揃えて言うな!》



『ンフッ♪5人仲いいんだね~♪』



「え?あ、いやまぁ?」
「結構長い付き合いですからね?」
「同じ釜の飯食ってるし?」
「でも、1人を取り合いしてるような仲だけどな?」



「「「確かに!」」」







だから、声を揃えるなよ。

それにその取り合ってるっていう奴を皆で見んなよ。バレバレじゃねぇか。



…そいつは真ん中で他の視線など気にせずに海をじっと見てるし。







『なぁに?』



【…いつから友達になったの?】



『3分前からだよ~♪』



【…やめた方がいいんじゃない?】



『でも決めたし言っちゃったからね~♪』



【…僕達を助ける見返りはなに?】



『アナタ達を助けたつもりはないよ?
どちらかと言えば柳田さん達が怪我をしちゃうのが困るんだよね。
だってアナタ強いんでしょ?』



【……】



『ほら、あの人達が怪我したら僕達強制的にお迎えが来ちゃうから。
それは嫌なの。』



【…二人で楽しめなくなるから?】



『当たり~♪
あ、見返りあったかも~。』



【…なに?】



『…ンフッ♪
この家の管理人よろしくね?そこの人の怪我が治るまででいいから♪
早く治るといいね~』



「「「「!!!!」」」」



【……変な子って言われない?】



『え?言われた事ないよ~?』



《当たり前だ!海に何言ってるんだ!》



【…じゃあ……おかしい子?】



《はぁ!?》



「ちょっと!助けてもらってそれは失礼でしょ!」
「俺の怪我心配してくれた…」
「いい子!優しい子!」
「でも…こんな見ず知らずの不審な俺達なのに、恐れずに見逃す所か助けるって…」



「「「…ああ…うん…」」」



【…ね?変な子でしょ?】



「「「「…うん。」」」」



《おい!さっきから黙って聞いてれば!》



『アハハハ♪』



《…え?なんでそこで笑う?変とか言われてるんだぞ?》



『だって~“変な子”って初めて言われたんだもん♪
僕に変な子って…アハハハ♪』







あ…そうだ。

俺達に…ましてや一ノ護の海に“変”なんて面と向かって言える奴なんていなかった。



そんな言葉を口に出すのも憚られるし、一ノ護海寧を知る奴は決してそんな事を思ったりしない。


一ノ護の完璧なご子息の印象しかないからだ…。






どっちも海に違いはない。




でも海がこんなに楽しそうに笑えるのは、一ノ護を考えなくていい相手だから。



構えなくていい相手…


だから“友達”か……。







仕方ないか。


気を許してるし、可愛い顔は惜しみ無く見せるし、本音で話しはするし、笑うから…




こいつらを海の友達だと俺も認識してやる。







《…仕方ないよな。》



『ハハハ……え?なぁに陸?』



《友達…なんだろ?》

 

『陸~♡』



《海が笑うから、そいつらを認めてやる。》



『ありがとぉ~』



「…凄い上から言われてる。」
「彼はちょっと可愛くないよね~」
「俺、断然そっちの子派!」
「俺も!つうか…似てるんだから結局皆同じ意見じゃね?」



「「「異議なし!」」」



《だから!聞こえてんだよおっさん!》









少しは黙ってらんねぇのかよ!


それに俺は可愛いとも思われたくないし、選ばれても嬉しくもなんともない!  



だからって海を見せ物にするつもりもないからな!






グイッ


俺は海を背中に隠した。



なんかブーブー言ってる奴等がいるが、黙れって話だ!



    



【…で、さぁ?
僕達が君の友達で少しの間の管理人の話しは分かったんだけど、外にいる設定なのはどうするの?
下には当然…いるんでしょ?】



『あ、それわぁ~』

   

グッ!

《隠し通路がある。
そこを使えばクルザーが着岸してる場所とは反対に出る。
つまり、この建物の裏手だ。
海が“迎えるように”と言ったから玄関側しかあの人達は注意して見ないだろう。
だからさっさと行ってくれ。》

  

【…隠し通路なんて物もあるの?
見つけられなかったけど?】



『それはね~?』



グ!

『……』



《セーフルームがあるのに、無い方が変だろう?
今から案内する…というか開くから付いてこい。
でも、俺達から2mは離れろよ。》



【…フッ。皆のせいで警戒しちゃってるじゃん。】



「あからさまにその子を背中に隠してるね?」
「そういう所は可愛いですね。」
「俺達が手を出すって思ってんの?」
「この人、1人にも苦戦してんのに?ああ…でも…」



「「「「…5年後とかなら……」」」」








っ!


だから見せないように海を隠してんだろうが!


この変態のおっさん共が!!