※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~
惺史さんには素直に答える成瀬さんが、惺史さんに白状した。
俺が関係しているのに、話すのは惺史さんにだから黙ってその話しを聞いていて本当に成瀬さんは“策士”だと思った…。
実は成瀬さんは殿居達に言われていたそうだ。
パートナーになるのはウサギが望めば仕方ないが、今のウサギの戸籍をどうこうしようとしたら黙っていないと…。
それなのに俺が言い出したものだから、成瀬さんは考えたそうだ。
〔陽太君がちゃんと考えてウサギちゃんと籍を一緒にしたいと言っているのは理解できたけど、あちらの機嫌を損なう方が被害が大きそうだと思ったから惺史君に託したんだ。〕
〘…また勝手に俺を巻き込んで…〙
〔それはごめんね…。
でも、陽太君は惺史君の話には必ず耳を貸すでしょ?
それに惺史君なら姫乃さん達の気持ちも理解してあげられると思ったからなんだよ。〕
〘…まぁ、恨みたい気持ちになるのは分からなくもないけど。〙
でた……恨んでる発言。
〔でしょう?
2人が離されでもしたらそれこそウサギちゃんが泣くと思ったから、それは回避してあげたかったんだよ。〕
〘…もう分かったから。〙
〔ありがとう惺史君。〕
策士の成瀬さん。
それと、その成瀬さんの策に気づける惺史さん…。
《…兄弟だから、そういう事も分かるもんなんですね。》
〘…え?〙
〔“考え”という事?〕
《はい。》
〘…赤井さんにどんな説明したの?〙
〔ん?惺史君は俺の弟だって言っただけだよ?
あ、俺達の…だったかな?〕
《あ、それは一止さんが強調されてただけで、成瀬さんは“俺の”とだけでした。》
〔よく覚えてるね?
だ、そうだよ惺史君。〕
〘……〙
ん?なんか変なこと言ったか?
〘…俺、養子だったといいましたよね?〙
《あ、はい聞きました。》
〘……天然ですか?〙
《はい?》
〔アハハハ!〕
え?なんで笑われたんだ?
それに、天然って何の事だ?
〘…赤井さんはもっと疑い深いタイプの方かと思っていました。〙
《そうですか?
あ、でも…俺は人と関わるのが嫌だし、簡単に他人を信用したりできないのでそういう所があるかもしれません。
ウサギや、惺史さんは別でしたけど。》
〘……〙
〔アハハハ!ウサギちゃんと一緒に名前があがる惺史君って凄いね?〕
惺史さんは不思議な人だが、それを受け入れられたのは信頼に値すると初めてあったあの日から思えていたからだった。
常にウサギを1番に考えてくれる、惺史さんに…
《…何か変でしょうか?》
〔いや、全然。
逆に、君に頼られている惺史君は誇らしいね。
俺も嬉しくなるよ。〕
《…成瀬さんは本当に弟さんの事になると嬉しそうにされますよね。》
〔当然だよ。自慢の弟だからね。〕
《…そんな風に言える兄弟仲が羨ましいです。
俺は一人っ子だったので。》
〘…領さんもだけどね。〙
《…え?》
〔まあ、それはどっちでもいいんじゃないかな。〕
《?》
〘……〙
〔それにしても陽太君は変わったよね。
あんなに常識人!って感じだったのにパートナーシップ制度の事を“結婚”なんて言い出すんだから。〕
《え?あ、はあ。
ウサギに理解してもらうにはその言葉が1番分かりやすいと思ったんです。》
〔確かに分かりやすいだろうけど、ウサギちゃんの反応はどうだった?
惺史君は電話もらったんだったよね?〕
〘…嬉しそうに報告してくれたね。〙
《…なんかすみません。》
〘いいえ。〙
そう、ウサギは俺の言葉に答えると最初にお袋達に連絡した。
“陽太さんに結婚してって言われたよ” と嬉しそうに。
そしてお袋達の次に誰にかけるのかと思っていたら、惺史さんだった。
惺史さんもそうだったが、どうやら黒猫に知らせておきたかったみたいだ。
電話をスピーカにしてもらう程にな…
〔と、いう事はすんなり分かってくれたのかい?〕
《あ、いえ…。最初は__ 》
。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。
『…陽太さんが僕にお願い?』
《ああ。公正証書を一緒に作ってくれないか?》
『こうせい……えっと…それなぁに?』
《ああ…よく分からないよなすまない。
分かりやすく言えば俺と結婚してくれって事だな。》
『……え?結婚?
でも、僕、赤ちゃん産めないよ?女の人じゃないよ?』
《分かってる。
日本じゃ同性の結婚は認められていないが、俺はウサギとそんな関係になりたいと強く思っているんだ。》
『……僕と結婚?』
《ああ。生涯を共にしたいんだ。
俺の傍にはウサギが…そしてウサギの傍には俺が。
離れないし、放さない。》
『!』
《いつもウサギを想う。
そしてウサギにも俺を想っていてほしい。
それが俺の言う結婚だ。
女性じゃなくても、子供などできなくても俺はウサギがいいんだ。
ウサギとじゃないと、俺はもう笑っていられない。
俺はもう…ウサギを笑顔にする事しか考えられない。》
『陽太…さん…』
《愛してるウサギ。》
『!』
《ウサギもこんな俺をこの先もずっと愛して一緒にいてくれるか…?》
『…うん……うん!
好き…僕は陽太さんが大好き!
だから、僕が陽太さんをずっとずーっと、愛してあげる!』
《っ…ハハ!ありがとうウサギ…》
『うん♪』
。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。
《……》
〔…え?最初は……何?〕
《…辞めます。》
〔は…?〕
《なんか…言うのが勿体ないと思ってきてしまったので。》
〔は?〕
〘…フフ。それでいいんじゃないですか?
2人の大切な言葉とその時の事は、2人だけが憶えていればいいと思いますよ。
“特別で大切”な事なら尚更ね。〙
《っ!ありがとうございます惺史さん。》
惺史さんが優しく笑い、膝で寝ている2人を見ている一方、成瀬さんの視線は俺に突き刺さっていた。
ウサギが嬉しそうに、その時の話しを周りに言うのを止めようとは思わない。
だが、俺からは言わない。
俺だけが知ってるあの時のウサギの表情。
泣きながら、それでも可愛く笑い俺を見たあのウサギが、言えば薄くなる気がして…。
きっと、そんな事はないだろう。
俺は一生忘れないだろうから。
だけど、惺史さんが言うように“特別で大切”なモノだから俺からは誰にも教えてやらない。
勿体ないからな…。
〘あ…〙
《?》
〘…領さん、玄関開けて?〙
〔……〕
…まだ、俺を見てるな。
〘領さん。〙
〔…え?あ、ごめん!何?〕
〘…気になるならウサギちゃんから聞かせてもらえばいい。〙
〔え?…あ、そうか。〕
〘それより玄関のロック解除して。〙
〔…という事は彼が来たんだね?〕
〘うん。〙
〔これで全員揃ったね。
じゃあ迎えに行ってくるよ。〕
〘うん、ありがとう。〙
…彼?
〘真空…起きて?ミー君が来たよ?〙
…ミー君?
ファァ……ミャ…ゥ…?
…惺史さんが呼びかけたら黒猫が起きた。
〘フフ…。本当にミー君だよ。〙
ミャッ!?
パタパタパタ
〈どうもこんにちは。遅くなりすみません。〉
そう言ってやって来たのは…櫻井さんだった。
惺史さんが言ったミー君とは櫻井さんの事だったのか…。
だが…彼は仕事で海外だったんじゃ?
ミャァー♪
〈真空!ただいま!会いたかったよー♡〉
ミャ〜♪
黒猫を抱き上げ回ったかと思ったら、今度は腹の辺りの匂いを嗅いでいる…
ミャフッフ♪
〈はぁ〜真空の匂いだ〜〉
…あれは、いつもしている事っぽいな。
〘騒がしくてすみません。〙
《あ、いえ…。
しかし、櫻井さんは仕事で都合がつかないと聞いていたんですが…》
〘それは___ 〙
〈2人のお祝いと聞けば仕事を片付けてくるに決まってますよ。〉
《あ…櫻井さん。お久しぶりです。》
〈こちらこそ。
今日は遅くなってしまってすみません。〉
《いえ…》
〈ウサギちゃんは気持ちよさそうにお休みですね。〉
《え?》
〈そろそろ起こして欲しいと、綾野君に頼まれたんですよね。
…でも、可哀想だなこれは。〉
《あ、じゃあ俺が__ 》
〈いえ、たぶん無理です。〉
《は…い?》
〈惺史君、ただいま。〉
〘うん。〙
〈ウサギ君を起こしてもらえますか?〉
〘うん、分かった。〙
〈あ、でもその前に…〉
〘?〙
〈……〉
ミャァー!
〘え?あ…そっか。
お帰り渉羽君。〙
ミャゥ〜ゥ〜!
〘え?あ……はいはい。渉羽君屈んで?〙
〈うん♡〉
チュ…
〘お帰りなさい。〙
〈ただいま惺史君♡〉
ミャア〜♡
…何を見せられているんだ?
いや何かは分かっているが、人前だぞ?恥ずかしくはなかったのか?
それに、あの惺史さんだぞ…?
それも黒猫に指示されているように見えたぞ?
〘…ウサギちゃん、起きて?
赤井さんが待ってるよ?〙
『…ぅん……ふぁ〜…サトちゃんおはよう…』
〘フフ。うん、おはよう。〙
『ん…?あれ?サクちゃんだぁ〜』
〈はい、こんにちはウサギ君。〉
『うん、こんにちは〜』
〈いい挨拶をありがとう。〉
『えへへ~♪…あれ?陽太さん…どこ?』
〘すぐ後ろにいるよ。〙
『?…あ♪陽太さんいたぁ〜♪』
…ああ、あまり他の人には見せたくない寝起きのウサギだな。
ミャアー?
『え?』
なんだ?
『うん♪するぅ〜♪』
《は?》
〘…真空が…“おはようのチュウはしないの?”だ、そうです。〙
《っ!?》
『するぅ〜♪』
いや!ちょっと待てウサギ!
俺のはいいが、お前のトロンとした顔は見せられないだろ!
『…陽太さん…しないの?』
いや、待て待て!そんな悲しそうな顔をするな!