※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~























その日は家に帰るなり本当に爆睡してしまったウサギ…。


だが、俺にしがみついて泣きながらだがな。








仕方ない…。

生きている鬼壬嶋…いや殿居に会えて、抱えていた悲しみのようなものからやっと解放されたのだから、安堵や喜びが押し寄せてきただろう。



それに、気を張っていると姫乃が言ったとおり、あまり泣かないようにウサギは頑張ったのかもしれない。


殿居をもっと困らせてしまうとウサギは考えて……







馬鹿だな。


困りはするだろうが、嬉しくて泣いている相手を誰も責めないのにな…。







でも俺の前では素直に泣けるのだからよしとしよう。


2号にじゃなく、俺に抱きついてきたのもよしとしよう。

















その日、本当に見計らったかのように届いた姫乃からの贈り物は、ウサギも知っているらしく躊躇わずに自分で風呂上がりの身体に塗り始めた。


驚いた事に、本当にウサギに合っているようでものの2日で乾燥肌がみるみる良くなっているのが俺にも分かった。



赤ちゃんの肌のような触り心地になったウサギを、俺はずっと撫でていたいくらいだからな。



…まぁ、俺の事情がありそれはできないが。










そして驚いた事と言えば、俺の実家に二人揃って挨拶に来たとお袋に教えられた事もだ。



仕事中にその知らせが来て、慌てて昼に折り返し電話すると興奮冷めやらないお袋が電話口で納得できない言葉を俺に言った…。








「陽太、あなた確実に負けてるのね?
顔も性格もそうだけど、よくウサギちゃんは殿居さんじゃなく陽太を選んでくれたものだわ〜って、お母さんおもわずウサギちゃんに確認しちゃったわ!
“本当に陽太でいいの?”ってね。」








…このお袋は自分の息子を擁護するとかは無いらしい。








「それにお姫様よ!お姫様!!
もう名前に負けてないくらい美人でお母さん化粧水は何を使ってるのか聞いちゃったわ!
それに聞いてよ陽太!
急に挨拶に来てしまいすみませんって、沢山のお土産とお母さんの欲しかったブランドの限定バッグに、お父さんには前に美味しいって言ってた幻の日本酒を持ってきてくれたの!
好みも欲しい物も把握しているなんて凄くない!?
本当に非の打ち所がないわよね!」








…凄いというか、少しは知られすぎていて怖いと思った方がいいと思うぞ?








「もぉ、本当にどうしましょう?
お母さん、あのイケメン2人のうちどちらかなんて選べないわ。」







…選ぶなよ。

息子に向かって何言ってんだ。



それに、親父が聞いたらどう思うんだよ…







「あら、お父さんには陽太より先に電話したわよ?
そうしたら“良かったな” “俺も見たかった” って言ってたわよ?」







…そんなんでいいのかよ、親父。







「それでね?
陽太と全然違うと思ったのが、姫乃さんが仰った事なのよ。
“弦月に母親の愛を教えてあげて下さい、お願いします”ですって!」







……。








「だから私聞き返したのよ。
という事は今まで以上に可愛がってもいいんですか?ってね。
そうしたら“いっぱい甘えさせて下さい”だそうよ〜♪」







……。







「だから私はこれからはもっとウサギちゃんとイチャイチャしますからね?
もうあなたの顔色を窺って抱きしめるのを躊躇いませんからね?
あ、そうそう。
もしあなたが何か文句があるなら姫乃さん達に“どうぞ”だそうよ♪」








…文句を言える相手じゃないだろうよ。


絶対分かってて言ってるよな、お袋は…。






結局、お袋が一方的に話しをして終わる結果になったが、もしかして…と思って一止さんに電話すると、殿居達は一止さんの所にも挨拶に来たらしい。



そして、惺史さんの所はというと成瀬さんに頼んで付き添ってもらって行ったらしいと一止さんから聞いた…。



態々あの2人が、成瀬さんに付き添ってもらわないと会えないと思う惺史さんって…





どれだけの恩があるんだ?



どんな感じて会うのか見てみたいが、それをしたら俺の方が会ってもらえなくなる可能性が高いからしないがな。



しかし…



本当に惺史さんは謎だよな…。

















…先を越された気がして少し悔しくはなったが、俺達はいつでも世話になった人達には会いにいける距離にいるんだから、焦らずゆっくりでいいんだと思えた。


ウサギは来週から惺史さんの所で仕事をする事にもなっているから、その時に一緒に行って少し話しが出来ればと……







だが…





正直、こっちはゆっくりはしたくはなかったんだよな…。


ウサギと一緒に風呂に入り、自分を抑えるのもそろそろキツいと感じ始めていたからだ。





だが、俺だけがそんな気になっても駄目だと分かっているから“ウサギ待ち”をしているんだが…いつまで待てるか自信がないぞ。







そして、問題がまだある。




今もこうして、このベッドに横になっている2号だ…。


殿居達が帰った事で寂しいのかもしれない…そう思って最初に許したら、今でもこうしてリビングから移動されてくるようになってしまった。









《…お前のせいで、俺はウサギの背中側しか見れずに寝ないといけないんだぞ?
邪魔をしているのが分からないのか?》







…返事なんてしない奴に虚しく呟く機会が増えた気がするな。









ガチャ…

『陽太さん?お風呂の準備できたよ?』



《…ああ、今日はウサギ1人で入ってくれるか?》



『…え?』



《ドライヤーとクリームは準備しておくからな。》



『…どうして?』



《…まぁ、ちょっとな。》



『……』



《余り長くは入るなよ?
のぼせたら大変だからな。》



『…陽太さん……』



《ん?どうした?》



『僕のからだ…さわるだけじゃなく見るのも嫌になっちゃった…?』










……嫌って…どこから出てきたんだ?