※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~






















「…うわぁ~止めろよその顔!章がそういう顔する時って本当にどうしようもない事を考えてるだろ!?」


「失礼ですね?可愛い顔でしょうが!」


「何考えてるんだよ!?あっ!また仮面がどうとか言うんだろ!俺は嫌だからな?」


「えぇえぇ、分かってますよ?
もうそんな事は言いませんからどうぞそのままでいたらいいと思います 」


「あ、そう?………うん?なんかおかしくない?お前さっきまで散々___」


「ああ、あれは私の間違いです。
スミマセンね?煩わせて…。
さて、じゃあ話合いを続けましょうかね?」


「はぁぁ?だから俺は直接大澤君に伝えたいからもう言うことはないって言ってるだろ?
話聞いてるか?」


「いや~私は途中参加なので聞いてませんでした!
慧さんもう1回、慧さんが言った事教えて貰えますか?」


「…なんで?」


「なんでって、トモ君に伝える為ですよ?」


「だからそれは俺が__」


「あぁ、慧さんが直接言いたいんでしたっけ?
でも、慧さん、ここに味方いないじゃないですか?
だから私がそれとな~く慧さんの話を擁護してあげればトモ君も首を縦に振ってくれると思いませんか?」


「……た、確かに…」


「でしょ?悪い話じゃないでしょ?
なんせ私はトモ君から認められている“特別な友達”ですからね?
私もそうした方が良いと思うよ?…なんて言ったらトモ君も納得してくれそうじゃないですか?」


「そ、そうか…。章は俺に協力してくれるんだな?」


「えぇ。トモ君の為になる事なら何でもしますよ?だからさっき松丘社長に言ったように私にも話して下さい。慧さんの言葉で…」


「あ?…う、うん。
俺が大澤君に言いたいのは__ 」



慧翔はまた一から章和に説明を始めた。


その内容は、“家に来ないか” という事だった。

勿論、慧翔との2人暮らしではない。
慧翔は最初そう夢見ていてそのつもりだったが、母親に大反対され当分の間は櫻庭家で暮らすという事だった…。


今回の智仁の件で、どうしても智仁を守る為には後ろ盾が必要になると考えた慧翔は、母親の実家である“御村”の祖父を頼ったのだ……

事情が事情なだけに、慧翔は智仁の事を話し、そして自分の智仁への気持も包み隠さず話した…。
そしてこれからどうしていきたいかも……

御村の祖父は最初は険しい顔で話を聞いていたが、慧翔から初めて出た愛という言葉に、目を潤ませ最後には手放しで喜んでいた。
そして勿論何でも協力すると買ってでてくれたのだ。
慧翔はその事に感謝し、随時報告すると言って御村の家を後にしたのだった。






「“櫻庭”ではなく“御村”を後ろ盾にするとは、やっぱり慧さんは凄いですね?」


「いや、御村じゃないと駄目だと単純に思ったからだよ。
潤哉の母親…。あの人は今、実家である道明寺家に身を寄せているらしい。
その道明寺家と渡り合えるのは御村だけだったからな……。」


「実家に帰られたっていう事は……」


「あぁ。潤哉の父親である、松永氏が怒り心頭で離婚調停に動いているらしい 」


「あの優しい感じの潤哉君のお父さんが?」


「無理もないよ…。あの人も潤哉と一緒で何年も隠し事をされていたんだから。
特に今回は自分の子供の事だろ?
その事に心を痛めて一切笑わなくなったらしい…
潤哉も心配してた…。
そんな潤哉も父親を支えながら積極的に動いているらしいけど…
でも相手が……」


「…あの道明寺ですもんね?」


「あぁ。相当厄介らしい…。
弁護士ものらりくらり躱されてるって言ってた。

御村の祖父も、その名前を出したらより険しい表情になってたよ。
でも前からやり方が気に食わないって言ってたな…色んな方面にも手を出してるらしいし、最近また新しく病院も建設してた。
ほら、潤哉が入院してたあの病院。あそこだよ…」


「…やっぱり今回の事にがっつり絡んでますね道明寺家は…」


「それだけじゃない…けどな……」


慧翔は遠くを見るような目で言った…
章和は慧翔のその横顔が不安で仕方なかった。

事情を知っている長世達も同じ顔をして智仁の話をしていた事があったからだ…。


でも章和には不安と同時に剛志のあの言葉が頭を過ぎった…
そして自分で納得して、決めた事があるという事も思い出した…
“智仁の笑顔を守る” その為には今は知らないままでいいということを……

ふぅ~。と息を吐いて気持ちを切り替えてから






「でも御村がついているのでしょ?」


「ん?あぁ。祖父は大澤君の為というなら何でも頼ってくれと言っていたよ」


「……御村さんにとってトモ君って…。
話を聞いてると、大分身内寄りな気がするんですけど?」


「ん?あぁ、孫が増えたって喜んでたなぁ~」


「えっ!そこまでいってんの!?だってまだトモ君にも会った事すらないでしょ?」


「勿論ないぞ?でも俺が知ってる情報は祖父の耳にも必然的に入ってるから、既に他人じゃないんだろう。というかもしかすると俺より大澤君の事に詳しいかもな?」


「え…?どうして……?」


「後ろにいる黒崎さんな?」


「あ、私には初めましての黒崎さんがどうしました?」


「俺も最初紹介された時は知らなかったんだけど、御村お抱えの探偵兼情報屋だそうだ…。
だから俺が与えて貰っていた情報は、御村の方にも入ってるって訳だ…」


「………はっ?」


章和は素っ頓狂な返しをしてしまった。

慧翔の後ろで章和に対して“黒崎です” と深々とお辞儀をする姿は、探偵などには見えなかったからだ…。

ビシッと決まった黒系のスーツにネクタイ姿で、髪型もセットされており、銀縁の眼鏡は知的さを醸し出していた…。
慧翔と並べば、まるで秘書にしか見えないその姿に章和はマジマジと見てしまい、思わず疑問を投げかけていた…。






「…それは…変装ですか?」


「いや、黒崎さんはいつもこんな感じだよ?」


「秘書にしか見えないよ?さっきだって慧さんの荷物持ちさせられてたじゃん!」


「あ~。あれは違う。俺が荷物の存在を忘れてて放り投げたから、後ろにいた黒崎さんが拾ってくれただけ 」


「……あれ、一応壊れ物じゃない?」


「ハハハ確かに。でも壊れてなくて良かったよな?壊れてたら大澤君に申し訳ない事する所だったわ…」


「……預けた相田さんの事はいいの?」


「…あ。うん。そっちは全然考えてなかった 」


「……慧さんは本当にトモ君しか見えてないんだね。えっと…黒崎さん?お疲れ様です 」


章和は黒崎に軽く頭を下げ労をねぎらうと、黒崎も“恐縮です” と苦笑いしながら頭を下げた…

そして章和は1人なんの事か分かっていない慧翔に対し向き直ると…






「慧さん、さっきの話しよく分かりました。
でも0点です 」

そう言い放った。






「………は?え?俺、説明したよな?」


「してました。してましたけど、説明不足です。
慧さんの話しだと、ここでトモ君が過ごしても別に問題ないと感じました。
なぜ、櫻庭家に移らないといけないのか、そして慧さんのお母さんが大反対したのか…そこの説明がなっていないから、松丘社長は断ると仰ったんだと思いますよ?」


「え…?そこなの?」


「そりゃそうでしょう?トモ君を守りたいなら御村の後ろ盾なんて願ったり叶ったりじゃないですか!
慧さん良くやった!って誰でも思いますよ?」


「は…?そうなの?」


「ええ勿論。でもネックになったのがお母さんの大反対の部分ですよ。
そんなに反対されている家に、傷ついているトモ君をわざわざ行かせたいと思いますか?
ここにはトモ君を心配して大切にしている人達しかいないんですから、トモ君が余計に気付くような所へ行かせる訳ないでしょ?
だから、そんな申し出だったら断る!って事です  」


「あれ…?まさかの……」


「そうです。慧さんの一方的な勘違いです。
あと、0点の意味は他にもあります。」


「まだ…あんの?」


「私、さっき言いましたよね?
松丘社長に言ったみたいに話して下さいって。
そこが全然なってないじゃないですか!」


「は?そこ重要なの?」


「えぇ。とっても重要です。私はトモ君に伝えたいからと言いましたよね?
だからそっくりそのまま伝えたいと思いましてね?
その言葉を再現して欲しいんですよ?」


「えっ!?」


「おや?どうしました慧さん?
そんなに驚かなくてもいいじゃないですか?
ま、私が覚えている感じでトモ君には伝えときますからご心配なく。
確か…

“貴方に断られる意味が分からない”
“貴方の返事はいらない”
とかでしたよね?

終いには開き直るように、
“それの何がいけない訳?”
とも言ってましたね?」


「あ………あれ?…章?」


「いや~慧さんの性格、私は知ってますけど、初めてこんな言葉を聞くトモ君はどう感じるんでしょうかね?」


「あ、章?…ま、待とうか?」


「辛辣な塩対応をトモ君がお世話になった会社の社長さんに対してやったと分かったら、トモ君は慧さんをどう思うんでしょうかね?」


「章さん?ちょっと…待って頂けますか?」


「あ、慧さん心配しないで下さいね?
慧さんの態度や仏頂面も事細かく伝えますから!そして、それを聞かされた時のトモ君の表情も慧さんに詳し~く説明してあげますので、安心してここで待っていて下さいね♪」



章和さん!お願いします!お待ち頂けないでしょうか!!




「……なぜです?私喜んで協力すると言ったでしょう?
いや~こんな話し聞かされてトモ君首を縦に振ってくれるんですかね?
ドキドキしますね?慧さん♪」


「いや、本当に違う意味でドキドキしてますから!
今、半端なくドキドキ煩い状態ですから!」



「だから?私の忠告を何度も無視して暴走した慧さんが悪いですよね?
俺、悪ぃの?なんて言ってましたけど、明らかに勘違いした慧さんが悪いですよね?」


「はい!その通りです。俺が全面的に悪いです!だから大澤君にはどうか……」


「言わないで欲しいですか?
ま、そうですよね?慧さんのイメージが愕然と下がりますし、そんな態度をした慧さんを
“好き”になんてなって貰えないですよね?
いや、“好き“どころか”嫌い”って言われるのがオチかもしれませんね?フフフ 」


な!何で知ってんの!?


「私は慧さんと違って、本当に優し~い性格なので、今回の事はトモ君に黙っていてあげてもいいですよ?
でも、これからは俺の言う事をちゃんと聞くっていうのが条件ですけどね?」


「分かった!何でも聞く!章の言うとおりにするから!」


「フフフ。言いましたね?ここには証人が沢山いますからもう戻れないですからね?」


「うん!…………あ、あれ?」


「フフハハハハハハ!
いや~楽しいですね慧さん♪」


「あ、あの章?俺、今の言葉___」


「前言撤回なんて認めてませんから。
ま、トモ君に比べれば私のほんの些細な一言なんて慧さんには安いでしょ?」


「………俺、確実に墓穴掘った…よな?」


「流石♪空回りの慧さんですね♪」


「………穴があったら入りたい…」


「どうぞ?自分で作ってきたらいかがです?
誰も止めませんから♪」


「俺はお前を止めて欲しいよ……」


「何か言いました?」


「…イイエ……」


「アハハハハ!いや~楽しいなぁ~ね?慧さん?さて、先ずはね~~~」



章和は思い通りに事が運んだ事に喜びと、ストレスが減った事に満面の笑みを見せていた。

慧翔はさっきまでみせていた態度とは打って変わり、今は肩を落とし項垂れて座って溜め息をついていた。
その肩に手を起き、苦笑いで接している黒崎は何とか慰めているようだった…。


その対面に位置して成り行きをみていた松丘、長世、晄一、剛志は2人の顔を交互に見て、余りの表情の違いに唖然とするも、思う事は一緒のようだった…






「…悪魔だな 」
「悪魔か!」
「悪魔やね~♪」
「上出来だぞ!」


「「「 …ん? 」」」



訂正…。
長世以外の3人は同じ気持ちだったようだ……