※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~






















~章和side~




トモ君の涙が漸く止まった頃、慧さんが又もやあっ!と声を出して、一緒に来たという黒崎さん?から何か荷物を預かっていた…

というかその人は誰ですか?
と突っ込みたいけど慧さんが焦って紙袋をガサゴソとしているから聞くに聞けなかった…

もう少し落ち着いたらいいのに…。

何を焦って取り出したのかと思ったら、それは見覚えのある物だった
でも以前よりも大分小さくて隅の方に青い何かの模様がついていた…

それを良く見たいのに、慧さんがトモ君の前に差し出したからちゃんと見れなかった

…相変わらず憎たらしい程の満面の笑みで



「大澤君!はいコレ!」



……コレって言われてもね?
見てみなさいよ!トモ君も何の事だか分からなくて顔を傾げてるじゃないですか!?

いや、でも有りだな…
潤んだ目でそんな風に見上げられて……
うん。有りだな…

でもそれが慧さんに対してだなんて、なんか癪だからちゃんと説明しなさいよ!とまたひっぱたいてやろうとしたらトモ君が…



『これを…所長さんが……?』



なんて言うもんだから私の手は行き場を無くして慧さんの頭上で停まったままですよ?
でもそっか…。

そういえばトモ君が最初に着けていた装置は慧さんが外したんだった
それで今は心が詠める状態だという訳ね…?

あ…という事は、さっきから想ってた私の下心というか慧さんへの嫉妬も筒抜け…?

あちゃ~やっちゃった…
でもまっ、いっか?
慧さんのデレ顔がムカついたのは本心だし?

なんて想ってると慧さんが大きく頷きながら



「清雅からコレを大澤君に渡して欲しいと言われてたんだ。
君に受け取って欲しいって 」 



トモ君が持っている物を良く見ると、確かに相田さんが着けている物と同じに見えた…
今までは気付かなかったけど、たぶん造った人か同じなんだと思う…

相田さんのはお父さんが相田さんの為にって造った一点物。
じゃあこれも…?



『前のと…同じ…?』


「元々はそうだって。でも後からつけられてたいらない物を取っ払ってサイズを小さくする事に成功したって言ってたよ?
君の首にはゴツゴツした物は似合わないからって…。
清雅が手を加えて手首用にサイズは変わったけど、性能は変わらないって言ってた。
だから安心して着けて大丈夫だって!
大澤君はコレを着けていないと時々頭痛がしてしまうんでしょ?
それを清雅が心配していて、急いで造り直したらしいよ…」


『…所長さんが…僕の……為に…?』


「うん……複雑な気持ち…かな?
でも本当に君の事を心配している顔をしてた。清雅も言い方向にたぶん変わってきたんじゃないかと思うんだ…
俺は事情を知って、あいつも守りたいと思ってる。
あいつを支えてやりたいとも思ってる…。
そんな俺を許してくれる?」


『どうして…僕に聞くの…?』


「ごめん…。でも大澤君に取っても無関係じゃないだろ?
それに君は、清雅と……
だから…その……酷いことをした清雅の事を嫌なんじゃないかと思ったから…」


『そんな事ない!…所長さんは…本当は優しい人だよ?……傷ついてるだけ…なんだよ?』


「…そう思ってくれるの?」


『思うよ……だっていつも…心が…泣いているから……』


「…うん。有難う大澤君。
折を見て清雅とちゃんと話しをしようと思うんだ…その時は君も一緒にいてくれる?
あ、嫌なら__」


『嫌じゃないよ…僕もこれのお礼がしたいし…話さなきゃと…思っていたから…。でも……』


「でも?」


『その時は…章と一緒に…行きたい……』



トモ君はそう言って俺を見た

えっ?俺?なんで?
俺が一緒にいたら相田さんの方が嫌な顔するでしょ?
それに……


話は良く分からないけど、相田さんが何か事情を抱えているって事だけは分かった
内容は分からないけど、トモ君にも関係してくる事なんだろう……
だからあの時、トモ君が言いなりになって従っていた事と関係しているって事も分かった
分かったけど……

それを俺なんかが知っていいの?
俺が踏み込んでいい話?


あの時の相田さんだって正直怖かった
俺の知らない相田さんがそこにはいたから……
中学の時から一緒にいたけど、全然違った
いつもの優しくて、人を気遣って笑わせてくれる、ちょっとバカな相田さんがいなかったから…

怖かった…

俺が見てきた相田さんは偽者だったんじゃないかって、優しいのも俺に見せるあの笑顔も全部嘘で作り物だったんじゃないかって…
こっちが本当の相田さんなのかもって……

そんな訳は無いって…信じたい
信じたいけど……
でもまたあんな風に拒絶されて、俺の知らない相田さんをまた見てしまったら俺は……
俺はまた……


怖いんだよ…
相田さんを知るのが…
だから俺は会いたくない…
今のままでいいんだ…



「…トモ君。俺は一緒には行けない 」


ごめんトモ君…
でも会ってしまって、またあの時と同じになってしまったら今度こそ俺は___



『違うよ…章……』


「えっ?」


『もう章は……あんな事はしないよ……』


「……え?」


『章……変わったから…絶対にしない……』


「どうして?そんな事分からないじゃない!」


『分かるよ?……章は優しい…だから…誰かが苦しむ事は…しないよ?』


「はっ?何言って__」


『僕は…きっと苦しくなる……章が同じ事をしたら……でも…僕も同じ事をする……』


「え?同じ事って…俺をまた庇うって事!?
何考えてるの!危ない事しないで!」


『でも……仕方ないと思う…。身体が勝手に動くと思うから……』


「どうしてそんな他人事みたいに軽く言うの!?」


『軽いのかな……?でもやっぱり…仕方ないと思う…。僕も章を守りたいと思うから。
章は僕の友達だから…大事だから……身体が勝手に動くのは…仕方ないし当たり前だと…思う…』



何言ってるんだろうこの人……

一歩間違えれば自分の身が危なかったのにまたアレを平気でやろうとする?俺の為に?
仕方ない?
当たり前?
友達だから…?

トモ君の頭の中ってどうなってんの?
1回覗いてみたいわ……



『…どうやって…?』



あぁ……
俺が覗かれてるほうだったね?



『………ごめん…ね 』



あ、視線逸らして俯いちゃった…
そんな悲しい顔させる気はなかったんだけど…な……


トモ君はやっぱりトモ君なんだ
俺が変わったって言うならそれはトモ君のお陰なんだよ?
だってトモ君にそんな顔されると、ココが苦しくて痛くなるんだ…
こんなの前まで無かったのに、やっぱりトモ君に出会って大分変われたみたいだ……


俺、何を疑ってたんだろう?
トモ君は信用出来る人で、トモ君の言葉は無条件で信じてきてたのに今更何を迷っているんだろう?
トモ君が一緒に行きたいって言ったんだから行く以外の選択肢なんて端から無いはずなのに…

フッ…。俺何を怯えていたんだろう?

こんな優しい人が、俺を大事だと守るとまで言ってくれた人が俺を傷つける筈がないのに…


怖い…?
フフ。そうだった…俺は1人じゃなかった
俺の側にはトモ君かいるんだから……



「ねぇ、トモ君?こっち向いて?」


『………』


「向いてくれないの?」


トモ君は怖ず怖ずと俺を見てくれた
でも申し訳無さそうな顔は変わってない…



「ごめんねトモ君…」


『違う!……僕が悪いの!』


「ううん…トモ君は悪くないよ?…ねぇ……?」


俺はそう言ってトモ君を見続けて、心で思った事を伝えた…


だって言葉にするとやっぱり恥ずかしいし、俺の言葉に反応する人が1人、2人……。
うん。多いな…

ま、そんな人達から睨まれるのも嫌だし、今、トモ君の隣で俺とトモ君を交互に見てキョロキョロと焦った顔をしている慧さんに確実に邪魔されそうだしね?

あぁ、やっぱり心か詠めるって凄い良いよね?
内緒話は出来るし、俺だけを見てこんなに可愛く微笑んでくれるなんて……
最高じゃない?



「…トモ君分かった?」


『うん……章が望むなら…』


「良かった…じゃあ俺との約束ね?」


『うん……約束…』


あぁ。やっぱり可愛い…
フフフ…癒されるってこういう事なんだろうな~
あっ、ちょっと赤くなった?
えっ?それって照れてるの?
可愛い~!
そんな顔も可愛いなぁ~ねぇトモ君?
また写真撮ってもいい?



「おい章!何黙って2人だけの空気醸し出してんだよ!!」



あぁ……折角、トモ君のいい顔見れてたのに……



「うっさいわこのお邪魔虫!空気読んだのなら口出すんじゃないよ!」


「なっ!!お前が大澤君を独占してんのが悪いんだろ!」


「ほぉ~?さっきまであんなにトモ君を独占してたのによく言えますね?
自分を棚に上げて弱者に文句つかすんですか?」


「誰が弱者だ!?お前はどう見ても弱者なんかじゃない!」


「酷い!こんなに壊れやすいガラスの心を持っている健気なワタシなのに?」


「何がガラスの心だ!お前のは筋金入りの防弾ガラスだろ!?それに跳ね返って逆に痛い目をみるのはこっちだっつうの!!」


「はぁ―?本当に酷いわ慧さん。
私、凄く傷つきました……。
これじゃトモ君に見限られても文句言えないですね?」


「は?何でそこで大澤君が出てくるんだよ!
お前に言ってんだから大澤君は関係ないだろ?」


「チッチッチ!分かってないなぁ~慧さんわ。
さっきトモ君が言った事覚えてませんか?
私の事を、友達、大事、守るって言ったんですよ?
そんな私が慧さんの言葉で傷ついてるとしたら…
さて、トモ君はどんな対応を慧さんにするでしょう?」


はっ!!


「フフフ♪」


「大澤君!待って!違う!今のは章を決して傷つけようとかそんな事を思った訳ではなくて!
その間違っただけでして!だからお願いします!
俺を嫌わないで下さい!すみませんでした!!」


慧さんが必死でトモ君に頭を下げて謝っている…
土下座がそんなに好きだとは知らなかったよ?

ほら、トモ君がどうしていいか分からなくて、困ったように眉を下げて慧さんを見てるじゃない!
あっ、慧さん頭下げてるから気付かないのか…?

……プッ!フハハハハ♪

ダメだ……最高に面白すぎる!

このネタ使えるなぁ~
いいストレス発散方法見つけた♪
まっ、1番の解消法はトモ君の笑顔なんだけどね?
フフフ♪


でもそろそろあの土下座大好き人間を何とかしないと、トモ君も困ってるし、それにたぶん……






「   お前等いい加減にしろ💢 



…ほらね?
そろそろ堪忍袋の緒が切れると思ったんだよね?
でも、まぁ……



「私は悪くないですよ?悪いのはお邪魔虫の慧さんですから―!」


「章の裏切り者~~~!!!」



ちゃんと言っておかないと、とばっちりを食うのはご免ですからね?







ねぇ、トモ君?
あの約束忘れないでね?



トモ君が望むなら俺は一緒に何処にでも付いていくよ?
でも怖いのは嫌だから、トモ君が必ず俺の手を握っていて?

トモ君の左側は俺の定位置。
トモ君の左手は俺の手の中。
ずっと変わらずにいつまでも……



それが俺の…望み……