※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~
章和は時計の針を見ながら祈るようにその時を待っていた
落ち着かなくては…と考えるものの、居ても立ってもいられずウロウロと部屋の中を歩き回ってはソファーへと座り、また立ち上がりと何度も繰り返していた
そこへ漸く…
ピンポ~ン♪
来客のベルが鳴った
章和はその音が聞こえると直ぐにリビングから玄関へと掛けだしていた…
鍵を外し勢いよくドアを開けると
「お~二條君♪帰ったで~」
剛志が楽しそうに笑いながら立っていた
その腕の中には目を閉じた智仁の姿が…
「トモ君!…………えっ!?トモ君!?」
章和は剛志に抱きかかえられた智仁の顔を覗き込んだ
明らかに様子がおかしい智仁を心配し何度も呼びかけるが返事はない
「ちょっ!二條君落ち着いてや?」
「でも!」
「ちょっと無理させてしまってなぁ意識失ったみたいや~。他は大丈夫やと思うんやけど、視てくれるか?」
「はい直ぐに!」
「じゃあ、寝かせたいからベッド連れてくれで?」
剛志はそういうとリビングを素通りし、長世が智仁の部屋として用意しておいた1番奥の部屋に向かった
その後を章和は心配そうにしながらも付いていった
剛志が智仁を優しくそっと寝かせると、章和は片手を智仁の額に当てもう一方を胸へと当ててじっと見つめた…
頭から足先までゆっくり順番に見ていくと章和は眼を閉じフゥと一つ息を吐いた…
「どないなん?」
「大丈夫です。これといって怪我等はしていません。脈も……うん。落ち着いていますし、寝ているだけだと思います 」
「良かったわぁ~♪二條君もこれで安心したやろ?」
「はい……本当に…良かった……」
「あ、泣くん?」
「……泣きません 」
「俺、部屋出よか?」
「何言ってるんですか!泣きませんって!
それより無茶って何の事ですか!?
さっき言ってましたよね?何か問題でも?」
「いや~?問題はなかったと思うで?」
「じゃあ何を無茶したんですか?
その所為でトモ君が意識を無くしたんですよね?何故そんな事になったんです?
此処にトモ君がいるという事は上手くいったんですよね?どうやったんですか?」
「う~ん。質問多いね~?それ…説明いる?」
「いります!何があったか教えて下さい!」
「う~ん……」
剛志は困ったような表情を浮かべ腕を組んでどうしようか考えていると…
「お前ら!大澤君が寝とんのに脇でごちゃごちゃと何騒いでんねん!!」
晄一が怒りながら部屋にずかずかと入ってきた
「おっ!晄一遅かったなぁ~♪
丁度良かったわ~二條君への説明任せた!」
「俺は車を移動させてきたの!
……ってか説明?…はぁ?」
「だからセ・ツ・メ・イ!
俺殆ど待機やったから詳しい事は教えられへんから晄一から教えとって!任せたわ♪」
「だからって何で俺や!?」
「晄一の方が分かるやろ?その場にいて指示だしたんやし!」
「そんなん剛志も聞いとったから分かるやろ!?」
「でも俺はその場にいんかったし、晄一の方が説明出来るいやろ?」
「だからって俺が?此奴に…?」
「あ~なんなん?嫌なん?」
「嫌や!此奴なんか嫌やねん!」
「なんでぇ?エエ子やで?」
「それはお前が此奴から大澤君の画像を貰っとったからやろ!?」
「あ~♪それな~♪お陰で俺のスマホは潤ってるわぁ♡待ち受けも大澤君やで?見る?」
「そんなん毎日お前が俺に見せてきとったやろ!
そんで飽きもせずにずぅーっとヘラヘラ見とったやん!!」
「なんや晄一、大澤君の事飽きる言うんか?」
「飽きるかボケェ!羨まく見とったわ!」
「ならエエやん!何が不満なん?」
「俺にもよこせ言うてるやろ!それなのにお前は “ダメや~大澤君が減る~”言うて俺には画像1枚くれんかったやんか!」
「だって減るやん♪」
「減らんわ!!しまいには車ん中でもずぅーっと大澤君とこ見てヘラヘラしっぱなしで__」
「だって俺が抱いてたんやもん♪」
「だ、か、ら!言い方!!」
「だって俺がずっと抱っこしてたんやもん♡」
「変わっとらんわ!そんでもって語尾に♡つけんなや!」
「仕方ないやん!大澤君が可愛いんが悪いわぁ♪」
「開き直るなや!大澤君は悪ぅないわ!」
ゴホンッ!
章和は大きく咳払いをし、呆れた目で2人を見て言った…
「そろそろコントやめて貰えます?」
「「 コントちゃうわ (よ♪)!!」」
「晄一さん煩いです…トモ君が寝てるんですよ?」
「…何で俺だけ__」
「何か文句でもあります?それとも晄一さんはトモ君を起こしたいんですか?」
「………いいえ…」
「じゃ場所を移動しましょうか?…説明してくれますよね?」
「…………チッ 」
「…まだ何か?」
「…いいえ!行きます!行かせて頂きますぅ!!」
「だから…煩いですって!」
「くっそぉ〰〰〰〰〰〰」
章和はため息を吐きながら先に部屋を出た
その後に晄一が悔しそうに唇を噛みしめながら後に続く
剛志は …“俺は此処で大澤君を見守ってるわぁ♪” と1人残ろうとしたのを、晄一が後ろ襟を掴みリビングへと引き摺るように連れて行った…
そしてリビングのソファーへと3人が座ると賺さず章和に説明を求められた
晄一は仕方なく話し始めた…
「___という訳や!」
晄一は “どや!” と言う顔で話し終わるが、章和の顔は険しかった
と言うのも、説明が1分も無かったからだ…
「……さっぱり分かりませけど?」
「はぁ?どこがや!?ちゃんと説明しとったやろ!」
「…トモ君がホテルに来た。エレベーターを待っている間に隙が出来たから、今だと思って剛志さんにGOサイン出して、剛志さんがトモ君を連れ出して、車に戻り此処に来た……と?」
「そうや!ちゃんと覚えとるやんお前!」
「……これが説明…ですか?」
「そうや?」
「………これが?」
「なんや、文句あるんか?分かりやすいやろ?
あ!さてはお前バカやろ!?」
「 あ゙?」
章和は眉間に皺を寄せ睨むように晄一を見た
「っ! 目つき悪っ!!」
「晄一さぁ~今のは俺でもどうかと思うで?」
「なんでぇ!?」
「説明ってもっと…こう、ちゃんとせなあかんと違うの?」
「ちゃんとしたやん!」
「…今のが?」
「そうや?……え?間違っとる俺?」
「たぶんなぁ~。見てみぃ?二條君の眉間の皺ゴッツ深ぁなってるやん…」
「はぁ?……えっ?なんで彼奴キレとんの?」
「言葉足りんと違うの?二條君は長世とちゃうんやから俺達の事もなんも知らんはずやで?」
「は?そっからなん?」
「そっからやと思うわ……」
「面倒いわぁ…」
「仕方ないなぁ~。二條君?晄一の代わりに俺が答えるから質問してや?」
剛志がそう切り出すと章和は待ってましたと言わんばかりに柔やかに笑い、いろいろと聞き出した
その章和の変わりように晄一は文句をつけだが章和の一睨みで大人しく黙ってしまった…
その後も章和が質問し、剛志が答える
剛志の分からない所を晄一が付け足すという感じで話は続き、漸く章和は納得がいったようだった…
「成る程ね…。剛志さんの持つ能力が“瞬間移動”で、晄一さんが“3秒だけ時間を止めれる”と……」
「そうなんよ~♪でもいろいろと規制があって万能とまではいかんから、そこが難点っちゃあ難点やね~。それでも上手い事使えば俺大活躍やで~♪」
「確かに…。晄一さんとの相性は良さそうですよね 」
「俺には3秒でも十分やからね~♪」
「だからトモ君を誰にも見つかる事無くその場から連れ出せたと…。
でも晄一さんの能力は剛志さんに影響しないんですか?」
「それはなぁ~、晄一が3秒間止めれるのはある一定の空間だけなんよ。
あの時はホテルの1階部分だけの時間を止めたから、その場にいない人には普通に時間が流れてるって事になるんやわ~。
だから駐車場の車の中におった俺には、影響無し!っちゅうことやね~」
「…へぇ……いろいろあるんですね~
じゃあ剛志さんは?そこから真っ直ぐ此処まで帰ってくる事は出来なかったんですか?」
「それは、無理やな~。
さっきも言ったやろ?規制かあるって…
俺は移動出来る距離に限りがあるんよ。
だから遠いと無理やわ…それに1度自分の足で行った場所にしか跳べんしね。
今回は下見であのホテルの中を歩き回ったから言われた場所にも行けたってだけやで?
二條君も分かるやろ?
君の眼にも限界はあるやろ?
人間は脆く出来てるから、その位の規制が無いと簡単に壊れてしまうんやと思う…
特に俺の能力は身体に負担がかかってしまうんやろね……
それの所為で大澤君は意識を無くした…。
ほんま、大澤君に申し訳ない事したわ…」
「そんな!剛志さんの所為じゃありません!
剛志さんと晄一さんのお陰でトモ君は無事に此処まで来れたんですから!」
「…ありがとう。申し訳ない気持ちもあるけど、俺もほんまに嬉しいんよ?
大澤君を助け出せたし、大澤君の側にもおれたし!生で寝顔も見れた!!
もう俺はほんまに最高やったわ♪
………はぁ。
でもな二條君……大澤君、ほんまはどう思ってるんやろ?
俺らが大澤君にした事は…正しいんやろか?
これは俺らが勝手にした事であって、大澤君がほんまに望んでる事ともし違ったら………」
「…剛志さん………それは……」
剛志は弱気になっていた
長世に依頼され、智仁がどういう状況にいるかを知り、助けたい一心で協力した
計画だって無事に成功したし、今の所、剛志達が関与した事がバレた形跡は無い…
智仁を連れ出せた時、剛志は本当に嬉しかった
依頼をやり遂げた感でいっぱいだったし、そして何よりやっと智仁を救えたと思った…
思いを寄せる智仁を、かけがえのない智仁を自分の手で救えた事に嬉しさが込み上げていた…
でも、智仁が目覚めていない今、直接、智仁の気持ちを聞く事は出来ない…
本当に智仁は自分達が思っている事と同じで、嬉しく思ってくれているのか、これで良かったのか……
聞きたい
智仁から聞きたい…
でも…もし間違っていたら?
智仁に否定されたら自分はどうすれば…
剛志はそんな考えが駆け巡っていた…
そして、静な時間が経つにつれ余計に不安が押し寄せてきていた…
それは隣で黙って俯いている晄一も同じだった…
章和はその2人の表情を見た時、言葉に出来なかった
長世はどこまで知らせているのか…
もしかしたら全てを教えていないのかもしれない…
そうだとしたら何故?
そして、本当の事を知ったらこの2人は…
特に剛志さんはどうなってしまうのか……
章和は急に不安になってきた
一刻も早く長世に連絡を取りたいと思っているその時…
ガチャ…
リビングに繋がる1番奥の部屋の扉が開いた…
「トモ君!!」
章和のその声に、剛志も晄一も一斉に後ろを振り返った…
その先には智仁が困惑した表情で立っていた……