※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~






















窓から入る光で照らされただけのうす暗い部屋の中で智仁は気怠い身体をなんとか起こした

何も身に着けてはおらず寒さを感じた為にその場にあったシーツを掴み隠すように纏わらせた…
連日に渡り酷 使され睡眠も取れずに疲れ果てた身体は思うように動かない…
それでも今日は大事な日だと分かっていたためにシャワールームへと行こうとしていた


ベッド端から立ち上がろうとしたが降ろした脚に力が入らない
どうしようか悩んでいるといつもは施錠されているドアが音も無く開き足音が徐々に近付いてきた

智仁はビクッとなり身構えたが、歩いてきたのは土方だった…
土方にも嫌な気持ちしか湧かないが、現れたのが近藤ではないことに少しホッとしていた


土方は無言で近付き智仁の前に立って暫く見下ろして黙っていたが、スッと智仁の顎に手をかけ上を向かせると自分の唇を 重ねてきた…
唇 を 割って入って傍若無人に口 内を楽しむが、智仁は為れるがままで何の抵抗もしなかった
部屋には水 音 と土方の息 遣いだけは響いていた…

名残惜しそうに土方がぢゅっと音をたてて智仁から離れるが、智仁の目は相変わらず何も移していないように虚ろだった…
土方は、はぁ…とため息をついた






「…俺の前では相変わらずお前は人形のままなんだな 」

そう言うと智仁の身体を抱き上げシャワールームへと連れていった
頭から爪先まで洗われている間も、服を着せられ髪を乾かされている間も智仁は何の反応も見せなかった

勿論、智仁にだって意思はある
だが自分で何かをするよりは断然早い事が分かっているし、今日は人に会うという大切な予定がある…
その為に大人しく待っていたのだから、自分が原因で予定に遅れるという選択などなかったからだ


身支度を整えられ、軽食が置かれているテーブルへと座らされたが智仁は手をつけたいとは思わなかった
食欲などないし逆に気持ちが悪かった…
一向に手をつけない智仁に土方が痺れを切らし口を開いた






「何か食べろ。それじゃまともに歩けもしないだろ?先生の所までお前を抱えて連れていったら不審に思われる。お前だって穏便に今日を終わらせたいはず…違うか?」


『………』


「……それとも“近藤さん”を今呼ぶか…?」


『っ!』

土方のその言葉に智仁の肩がビクッと震えた

土方はその名前だけでも反応する智仁に苛立ったと同時に、これは使えると考えて言葉を選び話しだした






「近藤さんが嫌か?安心しろ。此処には居ない。先に、先生を迎えに行ってホテルまで連れてくる手筈になってる 」


『………』


「…でもお前に何かあれば直ぐに報告するようにも言われている。お前がもし先生に会う前に倒れでもしたら…近藤さんは何て言うだろうな?いや、何をされるだろうな…?」 


『………』


「…あぁ、何なら今すぐに電話して確認をとってみようか?」


『………や…めて…』


「フッ……なら食え。それ位出来るだろう?」


土方がそう言うと、智仁は震える手でコップに入った水を飲むと果物をほんの少し食べた

土方は口角を少しあげその姿をまじまじと見ていた
自分の言葉に従う智仁…
人形で無くなる智仁…
あれ程近藤にキツく言われたにも係わらず、もっと従わせたくなっていた…
それは近藤が此処に来てからお預けをくらっていた土方が智仁に触れられずに悶々としていたところが大きい…

近藤がいなくても、近藤の名を出せば人形では無くなる
人形じゃない智仁を___

そう考えただけで土方の顔はニヤけてしまっていた

ふと見ると智仁の手は既に止まっていた
他には手をつけず果物をほんの少ししか食べていなかった…






「もう食えないのか?」


『………コクッ 』


土方の声に頷いた智仁
自分の言葉に反応した……
それだけで土方は抑えていたものが我慢出来なくなっていた
智仁の手を掴み立ち上がらせると後ろにあったソファーへと強 引 に放り、上から抑えこんで口  づけた






『………ゃ…ぁ…』


智仁から漏 れた小さな声にすら土方には堪らなく無我夢中で貪 り折角整えたシャツの間から手を滑り込ませ智仁の反応を愉しんでいた…
後ろに指をかけようとした時、ドアをノックする音が聞こえた






「土方さん!車の用意が出来ました 」


「チッ!……あぁ分かった。あと5分で出る 」


「了解しました 」


部下が去っていくと、土方は改めて智仁を見下ろした
智仁は荒い息を整えながらシャツを握り顔を背けていた
細い首筋があらわになる
そこに土方は顔を埋めた






「ハァ…続きは終わってからだな…今日は近藤さんは此処には戻られないからな…寂しいだろう智仁坊ちゃん?だから…俺と愉しもうな?」


そう言って笑った後、智仁を起き上がらせると服を正した
一通り曲がっていないかチェックすると智仁の腕を掴み部屋から出た

智仁は支えられるようにフラフラと廊下を歩きながらも入口から見える久しぶりの外の光に嬉しくなった
だが隣の土方にグッと腕に力を入れられると、浮かれてはいけないのだと自分に言い聞かせ、また人形に徹しようと感情に蓋をして車に乗り込んだ…



車が発進して暫くたつと目的のホテルへと着いた


言われるままに降りて言われるままにロビーを歩く
智仁の腕を取り歩く土方とその前を誘導するように部下が1人…奥まった場所にあるエレベーターまで歩いて行く

3人が待ち合わせの8階までのエレベーターを待っていると土方と一緒に付いていた部下の携帯に連絡が入った

電話を受けた部下の表情か変わった…
それを見た土方は何事だと、智仁から手を離し部下の方へ向きを変えて聞いた
部下は焦りながらも電話を耳から離し小声で話し始めた






「問題発生です 」


「どうした?何があった?」


「それが______ 」


「何だと!どうして此処にいるんだ!?」


「分かりません…でも今、近藤さん達が必死で止めていると 」


「どうするんだ!このままじゃまずいだろう……今、まだ電話は繋がっているのか?」


「はい繋がっています!これを!」


「よし貸せ!お前はこいつを…………っ!」


土方は後ろに居る筈の智仁を見たが、そこには智仁の姿がなかった


土方は焦り辺りを見回した
だがここには隠れる場所など無い

智仁から手を離したのはほんの一瞬だ
幾ら動揺していたとしても、智仁が動けば必ず視界に入る
何故なら、智仁がいた直ぐ後ろは大理石の壁だ
その壁を背にしていた智仁の前に土方達は立っていた
だから何処にも逃げ場などない…からだ…

土方は焦った
智仁が逃げる筈はないと分かっていた…
だからこれは明らかに智仁の意志ではないということは……
それを考えた土方の脳内に暗雲が立ちこめていた…






「くそっ!」

土方の怒りが篭もった叫びがホテルのロビーに木霊した……














~※~※~※~※~※~※~※~※~※~※~※~※~








その頃、同じホテルの駐車場では……






バン!



「剛志!」


「おぅ晄一♪待っとったでぇ~」


剛志が既に乗って待っていた車の運転席に乗り込んだ晄一
直ぐに後部座席を確認すると呑気な剛志の声が聞こえてきた
そしてその腕の中には……






「上手くいったなぁ!」


「俺がミスるとでも思ってんの?」


「いや思う訳ないやろ!」


「せやろ~♪」


「しかし……」


「可愛いやろ~♪間近で寝顔見れてもぉ…堪らんわぁ~♡」


「寝顔って…それ…意識無くしてるんとちゃうの?」


「あ~そうとも言う~♪」


「だ、大丈夫なんか!?」


「ん~負荷がかかるんわ分かっとったけど…
たぶん体力が落ちてたんやと思うわ。だから意識飛ばしたんやろね~後で視てもらわんとね~♪」


「…そんなに軽くてええんか?」


「そうなんよ~!思っとった以上に軽いわぁ~」


「ちゃうわ!体重の話しじゃねぇわ!」


「えっ?ちゃうの?ま、どっちでもええけどそろそろ車ださへん?」


「く――!そんなん言うんやったら剛志が運転すればええやろ!」


「え~無理やわぁ~♪俺は大澤君の事抱いてんのやも~ん♪」


「言い方!!」


「ほんまやから仕方ないや~ん♪」


「……もうええわ!ほな行くで?」


「ええで~♪」


「…ご機嫌だな……」


「んっ?晄一なんか言った?」


「なんも!!あ、せや!剛志連絡しといてな?」


「え~俺~?」


「……運転代わるか?」


「やっときまぁ~す 」


「…ほんまご機嫌やわ………」






車が駐車場から出て行った

少しふて腐れた晄一とご機嫌の剛志…
そしてその腕の中には智仁が……


彼等が向かうのは……