※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~
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「はい、俺だ。どうだった?」
「慧翔様、やはりこちらはダミーでした。あのホテルの駐車場で入れ替わったものと考えられます 」
「やはりそうか……」
「いかが致しますか?」
「1人はマンション前に残してあるんだな?」
「はい。こちらには今、3人おります」
「…では、1人その場で待機して、あと2人は俺が言う場所に向かって欲しい。…できるか?」
「かしこまりました」
「では、場所は______」
「了解しました。至急向かいます。確認次第またご報告致しす 」
「ああ、頼む 」
慧翔は指示をだし、通話を切ると溜め息を吐きながら車の座席に深く凭れた
「はぁ……」
「……相田さんもバカじゃなかったって事ですね…。」
「……そうだな。でもここまでされるとは正直思っていなかったけどな…」
「そう…ですね……。」
「章、巻き込んで悪かった…」
「……いいえ。慧さんが俺を頼る時は切羽詰まっている時でしょうから、覚悟はしてましたよ?
…でも、正直なところ……」
「複雑…か?」
「…はい。俺が調べたのなんて相田さんにはバレバレなんでしょ?」
「…すまない。俺が無理矢理頼んだから…」
「仕方ない……でしょ?それしか手が無かったんだから…
会社の命運が懸かってるのに、松丘社長達には会う事すらできない。
それなら居場所が分かる方から当たっていくのは当然でしょ?
それに、今、あの人達が何処に居るかも分からないんでしょ?」
「ああ。捜させているが足取りは掴めないんだ…海外という噂まででている…」
「海外…。私なら捜しだせるかもしれないけど、あの長世副社長が関係してくると、たぶん…数日。いや、もっとかかるかもしれませんね……」
「…章よりも凄いのか?長世副社長は?」
「明らかに。本来は裏で動く人ですから、使える人材も半端ないでしょうしね…
この前のホテルでの一件の時も分かったでしょう?あの人の凄さが…」
「ああ…あれには驚いた 」
「慧さんが表立って動けないのは仕方の無いことでしょうけど、色々調べてきた上を超えてきましたよね?」
「…遙かにな。それも、調べてる俺達にさえ気付かれないように完璧にな…」
「ね?怖い人でしょ?」
「ああ、今回の事で、兄貴達にも釘を刺されたよ…」
「お兄さん達に?」
「そう。既にこの一件は知っていたよ。
ただ、親父同様、終わるまで事の成り行きをただ見てた…ってだけだな 」
「…自分で解決してみろと?」
「それが自業自得だそうだ…」
「厳しいね?」
「いや、その言葉通りだよ。俺が勝手に蒔いた種だからな…俺が焦ってたんだ。
いや、俺にも出来るって1人で息巻いてただけだった。こんな結果になるなんて……
自分は出来るんだって…甘っちょろい考えで行動した。ただの俺の驕りだよ……
自業自得だから、何でも罰は受けると言ったんだけど……」
「親父さんに?」
「ああ。そしたら、お前1人でどうにか出来る問題では無くなったと言われた……」
「………。」
「当たり前だよな…。いくら、自分が担当した場所だと言っても大元は櫻庭なんだ…。
その皺寄せは会社全体にくるって俺は考えてもなかった…。俺個人の勝手な行動でこんな事に……。
俺は責任も、櫻庭の重さもさっぱり理解していない駄目な奴だった。
あの時言われた通りだった…。櫻庭の名を名乗る資格が俺にはないって……分かってる…。
今更だけどな……。」
慧翔は額に手を当て、悔しそうにそれでも自分に呆れているように自嘲した
その姿を初めて見た章和は驚きと戸惑いを隠せなかった
今まで、慧翔は幾度となく自分自身を律してきた。その姿を小さい頃から側で見続けてきた章和はそんな慧翔に尊敬を感じてもいたからだ。
そして、櫻庭の名に恥じぬようにと人一倍努力してきたのもこの目で見てきたから、今、隣で座席に頭を凭れ掛けている慧翔に何て言葉をかけていいか分からなかった…。
「………。」
「ああ、悪い。章にそんな顔をさせたくて話した訳じゃ無いんだ?
お前も兄貴達みたくこんな俺を笑ってくれていいぞ?」
「笑えないよ!!」
「そ、そうか…?」
「…というか、お兄さん’sは笑ったの!?」
「お兄さん’sって…アハハ!相変わらずの言い方だな!」
「だって昔からお兄さん’sなんだから今更変わりようがないでしょ?」
「そうだな…。お前も潤哉も、清雅も…皆そう呼んでいたっけな…」
「そう…だよ。それで?笑ってたの?この一大事に?」
「ああ、あの天使のような名前を持った悪魔の双子は笑ったよ!それも…爆笑だった。」
「爆笑!?」
「ああ、会社で今回の報告とこれからについてテレビ会議してる時に、最初から爆笑だった…」
「う、わぁ……悪魔ぶりは健在なんだ?」
「いや、海外に行って更に拍車がかかったんじゃね?…終始うざかった。」
「さすが、櫻庭のW副社長達だね……あの人達には怖いものとか無いんじゃない?」
「さすがに有るみたいよ?」
「え!?何?」
「その一つが、長世副社長が怒った時だって…」
「……あぁ。なんか納得…かも…」
「まず、1人では絶対、対峙しないって言ってた。2人でなら何とか大丈夫らしいけど、怒らせたら終わりだって考えてるらしい。
…その人に俺が容赦しないって言われたっていうのを聞きつけたらしく、爆笑よ爆笑!腹押さえて苦しそうに笑い転げてたよ…」
「…やっぱり健在なんだ 」
「聞いてた親父も呆れてた。でも、あれであの双子は立派な副社長だからな…親父も何も言わなかったし…」
「有名だし、評判は凄いよね。今、櫻庭の海外支社にいるんでしょ?業績も好調だって聞いたよ
?」
「……そうだな。だから余計に焦ったのかもな…」
「…お兄さん’sがいるから?」
「良くも悪くも、昔からの俺の目標だったからなあの2人は…。
少しでも近づきたいって思うんだ…中身はどうであれ、仕事は完璧だから。まさに櫻庭の人間って感じだろ?」
「……慧さんも櫻庭の1人…だよ?」
「フッ。ありがとうな章…。これからどうなるのか分かんないけど、お前には本当に感謝してる。」
「……幼馴染みでしょ?」
「ああ。…ありがとう。」
「………。」
慧翔の儚く笑った顔。何も言えなかった……
誰にでも直ぐにお礼なんて言わないのに、章和を含め、3人には素の部分を見せる慧翔。
それでも、こんなに静かに感謝される事なんてなかった…
章和は近くで見てきたから、だから余計にこんな時こそ慧翔の力になりたいとも思っていた。
しかし、そこに清雅が絡んでくると内心は複雑だった。
明らかに、怒りを表した清雅…
それは、今までの長い付き合いの中で初めてではないかと思える程のものだった。
それまではどんなに怒っててもアヒャヒャと笑って流してくれたり、仲が拗れるような事はしなかった。
それが今回はまるで違った。
人が変わったように、怒りを前面に出してきた。その変わりように今までと何が違うのか、章和は考えても考えても結局は1人の人間に行きつく…
直ぐにでも清雅から離したい…
しかし、慧翔の為には自分が動いて居場所が分からなくなる事だけは避けたい…
章和はもどかしい気持ちのまま手をこまねいて見ているしかないこの状況が耐えられなかった…
慧翔の為に我慢してはいるが、本来の性格上、大人しく傍観しているのは気にくわない質だから、少しでもチャンスがあればその隙にと狙って、今、慧翔と行動を共にしていたからだ…
それを慧翔は分かって一緒に居るのかは章和には分からなかったが、行動を共にする事を拒否はされていないから、深くは考えなかった…
ただ、その時を待つだけ…章和にはそれだけだった…
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慧翔の電話が鳴った
「はい。」
「慧翔様、言われた場所で2人を確認しました 」
「…分かった。では予定通り決行するから出てきたら気付かれずに尾行してくれ。
何かあれば直ぐに連絡を!」
「了解しました」
慧翔は電話を切ると運転手にその場所に向かうように言ってから章和の方を見た
「章の言った通りの場所に入っていったと連絡がきたよ。章の情報はやっぱり凄いな?」
「……バイト代弾んで下さいね?」
「ハハハ。ああ、分かってる。」
慧翔はそう言うと今度は違うところへと電話をし始めた
「ああ、俺だ。今から5分後に頼んでいた事をしてくれ___」
慧翔の電話の声を側で聞きながら、章和も徐に携帯を取りだしメールを打ち始めた
上手くいくかは分からないが、それでも、自分に巡ってきたチャンスを逃がさない為に……