※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます
~間違われて方、苦手な方はお戻り下さい~


















~♪~♪~♪~♪~

鳴り止まない着信音と振動。
智仁は両手に持ったままその場を動けずにいた


清雅はなかなか部屋から出て来ない智仁に気づき閉めてしまっていた部屋のドアを開け声をかけた






「智仁?何して____!!」

清雅がドアをを開けると自分の携帯が鳴っている事に気づき、そしてそれを持って座り込んでいる智仁の姿が見えた






『あ……これ…』

智仁は清雅が入ってきたことに気づき携帯を差し出した

清雅はうるさく鳴っている携帯を智仁から奪うように取ると、ディスプレイの表示を見て顔を顰めると、素早く電源を落とした






「智仁、何してるの?早くシャワー浴びて出掛けるよ?」


『…たて…なく…て……』


「あぁ、そういう事は早く言ってくれないと!」


『ごめん…なさ…い………ぁっ!』

清雅は智仁の声を聞き終わる前に、智仁を抱き上げお風呂場へと連れて行った


2人でシャワーを浴び軽く洗い流した後、漸く1人で歩けるようになった智仁はさっき脱いだ着替えを取りに清雅の部屋へと戻った


服を拾い集め着ようと持ち上げた時に、清雅が違う着替えを持って入ってきた






「そのシャツは着ないでって言ったでしょ?
はい、これ!こっち着て!」


『………はい』


「着替えたら、直ぐに出るから!」


『あ、あの…どこ…へ……?』


「ここじゃない処、当分の間此処には戻らないからそのつもりでいてね?」


『えっ…?…どう…し…て?』


「面倒な人が来てるんだよね…今、このマンションの下にいるらしいけど。最悪…。」


『……けい…ちゃん……?』


「!?どうして……あ!さっきの電話か~。
そっ!その慧ちゃん。章が来ても何とでも出来るんだけど、慧ちゃんはね…俺、苦手…なんだよね……」


『…あき…?………にが…て……?』


「う~ん。ま、その話はいいよ。それよりも今俺が思ってる事をしてくんない?」


『あ………。わか…った……』


「じゃ、10分後にここ出るから!」


『……は…い…』

清雅はそそくさと着替える智仁を確認してから、大きめのボストンバッグを取り出し、必要な物を詰め込み始めた


智仁も小さいバッグに着替えを数枚入れて、仕事用のバッグと共に玄関まで持っていった

その後に、ここには当分戻らないという清雅の言葉からベランダに出していた洗濯物を取り込み、洗濯機に入ったままだった物を上にある乾燥機へと移しスイッチを押した

身体がだるく、いつもよりも時間がかかってしまい、清雅の言う10分があっという間にきてしまった






「そんな事しなくていいのに 」

洗面所まで智仁を迎えにきた清雅が後から声をかけてきた






『で…も……』


「うん、分かってる。ありがとう。じゃ、時間だから行くよ?」


『…はい……』

清雅は智仁の腕を引き玄関まで行くと出してあった智仁の荷物を持って部屋を後にした。

智仁は不安な気持ちのまま、静かに聞こえるオートロックの音を確認してから先を歩く清雅の後に続いてエレベーターへと向かった



エレベーターは他の階で停まる事無く真っ直ぐ地下駐車場まで下降し、駐車スペースに停めてあった清雅の車へと2人は乗り込んだ


地下から地上へと出て、車道を走ると後をついてくる車を確認した。
勿論、清雅はつけられるであろう事は予想済だった為に色々と策は考えていた






「智仁……」

清雅はバックミラーで後部座席に乗る智仁を見て呼びかけた






『…………わかっ…た……』

智仁は、一言返事を返した。

そう、今、智仁は制御装置を外している為に清雅の考えが直ぐに分かる状態だった

でも、不安は拭いきれないのか首元に手を当て何度も触っていた。
それを見た清雅が…






「後でちゃんと付けてあげるから、それまで待ってて?」


『…はい』

智仁はそれが嘘じゃないと分かり、漸く首元から手を離し、窓の外へと視線を向けた

直ぐに清雅は誰かに連絡を取り始め、ミラーを気にしつつも運転に集中しながら電話の相手に何やら指示を出し始めた


電話の間、智仁は目を閉じ静かに先程の事を考えていた








清雅の電話に表示されていた名前。
そして、清雅から出た2人の名前。



(…“あき”。それと…“けいちゃん”。

“あき”って言った時は、怒っていた。
どうして邪魔をするのか…って次会った時はきつく突き放さないとって言った。
よく、分からないけど、計画の邪魔?にしかならないって……。
僕はその計画の全貌を知りたいのに。

でもこの人、隠すのが上手い。僕の前では下手な事は考えないようにしているんだ…。

それって、凄く難しい事だと思う。
自分を抑え込んで違う人格を演じていても本心は隠せない筈なのに……
この人は自分の気持ち事、蓋をしちゃう人なんだ……それは、やっぱり“あれ”の為?

どんなに恨んでいるか、伝わってきたから僕は分かったけど…だけど………………




それと、もう1人…けいちゃん。
電話で話している時もそうだった。
このけいちゃんっていう人には“怖い”って思ってる。

怖いから話したくない。怖いから会いたくない。

“あき”っていう人の事を想った時と全然違った。
何かに怯えているみたいに“怖い”ってこの人は言った……
何が怖いの?何に怯えているの?

その人に会って話をしたら何か変わってくるの……?




もしかして…この人の考えてる事を少しでも変えられるの…?


けいちゃん……。
貴方は誰?貴方ならこの人を止められるの……?)








「………智仁?」

清雅は後部座席で目を閉じ動かない智仁に声をかけた






『…ハッ』

智仁は急に呼ばれビクッとなり、目を開けると清雅とバックミラー越しに目が合った

清雅は無言で智仁を見つめた






「【何を考えてる?】」


『…な…にも……』


「本当に?【嘘は駄目だよ】」


『…は…い……。わかって…る……』


「それならいいよ。」


『………』


「じゃあ、これからの段取り説明すらから聞いてね~?」




清雅が説明を始めた。その間も車は停まる事なく走り続けた。

15分後、追いかけてくる車を気にしつつも清雅達が乗る車はあるホテルの地下駐車場へと入っていった

後を追いかけていた車も、直ぐに地下駐車場へと向かったが、入口にある駐車券の発行機の前で暫し足止めされた。
それでも、十数秒間だけだった

清雅の車は地下駐車場をゆっくり一周した後、徐に出口へと戻っていき、また車道へと出て行った

それを見つけた車もまたその後を追い掛け出口から出て行った











「じゃあ、智仁、行こうか?」


『…はい』


清雅は荷物を肩にかけ、智仁の腕を取ると待たせてあったタクシーへと歩いて向かった……