※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます※
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~
智仁が気を失ってから1時間が過ぎた
その間、清雅は装置を調べたり誰かと連絡を取ったりと忙しそうにしていたが、漸く落ち着いたのか智仁が横になっているベッドの端に腰かけ、智仁を上から見下ろすように眺めていた…
それから少しして智仁が静かに目を覚ました
最初、ここが何処か分からずにぼうっとしていたが清雅を視界に捕らえると慌てて体を起こし、清雅とは反対側のベッド端まで後退っていった
清雅はそんな智仁を楽しそうに笑いながら見ていた
「フフ。大丈夫?まさかあんな風になるとは思わなくて…痛かった?ゴメンね?」
その清雅の言葉にハッとした智仁は首を左手で触り、あるはずの装置が無いことに気づき慌てて辺りをキョロキョロと探した
「これを探してるの?」
清雅は手に持っていた装置を見えるように上げて言った
『!』
「おっと!ダメだよ。まだ返せないんだな~これが…」
智仁が取り替えそうと手を伸ばしたが清雅はそれよりも高く手を上げ、智仁の手が届かない位置で意地悪くユラユラと動かしてみせた
「そんなにコレが大事なの?返してほしい?」
『コクッ』
智仁は頷いた
「返してあげてもいいよ?…でも俺の質問に答えてくれたら…だけど?」
『……』
智仁は清雅の一言一言に怯え身構えていた。
目の前のこの人が何を聞きたいのか?
自分が答えられる事なら答えるが、答えられる方が圧倒的に少ない事を自分でも分かっていた。
特にその装置に関しては全く知らない。
それに、さっきの行動。
この人は明らかに、その装置がどういう物で、どう機能しているかも知っていた。
そして簡単に取り外した。
怖い。
今日初めて会った時と、涼と3人でいた時の彼とは全く違った表情をするこの人が…怖かった。
そして、彼から聞こえるもう一つの声が智仁を更に怯えさせていた……
智仁が身構えるのが分かったのか清雅は、薄ら笑いを浮かべたまま智仁に話かけた
「そんなに身構えなくても……簡単な質問だからさぁ~気軽に答えてくれない?」
『………』
「なんなら、はい。か、いいえ。だけでもいいよ?」
『………』
「困ったね~。
あっ!じゃあ、先に俺の話をしようか?そしたら打ち解けてくれるでしょ?」
『………』
「フフ。じゃあね~まずは何から話そうか?
う~ん……あっ!コレからにしようか?」
そういうと清雅は手に持っていた智仁の装置を持ち上げて言った
「コレの取り外し方を俺が何故知ってるのか気になったでしょ?
それはね~俺も同じの着けているからだよ!
ほら、これ!ね?同じでしょ?」
清雅がそういうと左手のシャツを捲り、手首についている装置を智仁に見せた
「これはね~俺の父さんが、俺の為に作ってくれた物なんだ~」
『!』
「そう!君がつけてたコレも俺の父さんの作品なんだよ~。
そして、俺のを改良して何度も試行錯誤して出来上がった唯一無二の物なんだよね…。
俺もその作品作りに協力?というか設計の段階から見てきた物だから、どうすれば外れるとか知ってたって訳!分かった!?」
『………コクッ』
「……父さんはね、あ!勿論母さんもだけど…
俺の能力で俺が苦しんでるのを知っていたからどうにかしたいって何年もかかって俺にこの装置を作ってくれたんだ。
失敗もしたけど俺の為なら…て。
それで出来上がって、俺、本当に助けられたんだ。コレに。
それでね?その噂を聞きつけた人から頼まれたんだって…俺のより強力な装置を作ってくれないか?って。
その子供は、何でも、人の心が分かるらしくて、苦しんでるから、能力を抑えたいんだ…って。
父さんは俺が苦しんでるのを知っていたから、その子供の助けになればって、寝る間を惜しんでまで開発に没頭してたよ?俺で試したりして、その子の為に…って。
で、漸く完成したのがコレ。
強力にする為に俺のより大きくなっちゃって、どうしようかと相談したら、首に着けるから心配無いって言われたって父さんが話してた。
……それが君でしょ?」
『………。』
「というか君なんだよね。父さんのコレをつけてるんだから…。
でも、不思議なんだよね~
こんな電気が流れる機能つけた筈ないからね。
俺は出来上がるまで側で見てたし、試しにつけてもみた。
ま、俺の場合、1、2分で気持ち悪くなって直ぐに外してたけど…それを君はずっとつけてるんだもんね~凄いよね~。
それだけ君の力は凄いって事なのかな…?
ねぇ?どうなの?」
『………。』
「まだ、だんまり?
そろそろ打ち解けてくると思ったんだけどなぁ~あとは何話そうか~?」
清雅は腕を組み何を話そうか考えていると、智仁が辺りを見回して何かを探していた
「んっ?何探してるの?…ああ、メモ帳?」
『コクッ』
「フフ。メモ帳なんて必要無いでしょ?今は…」
『!』
「ああ、なんで知ってるかって?
コレをね…少し調べたからね~。父さんの作品にどんな手を加えたのか気になったからさぁ~。
酷いよね~このやり方。君も外した時の衝撃半端なかったでしょ?
気を失うくらいだし、首に火傷のような2つの跡もついてるよ?
相当な電気が流れてたんだね~。
それで、本来なら出せるものを無理矢理出せなくしてたんだろうけど……。
それもほら!この通り、ここにある。
今の君は何も制限されてないよね?
……じゃあ、そろそろ…いいんじゃない?」
清雅は智仁を見て話しかけるが、当の本人は俯いたまま顔を上げれなかった
『………』
「大丈夫だよ?今、ここには俺と君しかいないんだから……。」
清雅の言葉に観念したのか、智仁は意を決して軽く息を吸い、お腹に力を入れた
『………あっ……』
「……」
『…あ…なた…は………だ…れ…?』
か細く、弱々しい声だったが、確かに智仁から発せられた言葉だった
「フフフ。漸く…喋ったね…?」
清雅はその声を聞き静かに笑いながら言った……