※これは妄想腐小説ですBL要素が含まれます※
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~
「…どうしたの?俺の言った事聞こえたよね?」
清雅が一度躰を離し、智仁の顔を覗き込んで言った。
しかし、両腕を掴み動けないようにしているのはそのままだった
智仁は唇を噛みしめ俯いたまま顔を挙げる事ができずにいた
「…俺、君が最初にここに来た時に言ったよね?もう、忘れちゃった…?」
『っ!』
「フフ。その顔は忘れてないよね?じゃあ分かるよね…どうすればいいか……?」
『………………コクッ』
智仁に拒否権はなく頷くしかなかった…
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清雅が言う最初とは、ここに涼と一緒に連れて来られたまさにその日まで遡る…
その日、智仁の仕事が終わる頃に迎えにきていた清雅と涼。
智仁は仕事に行く前に、当分の間3人で一緒に暮らす事を告げられていた。
最初、断っていた智仁だったが、涼から泣きながら懇願された事と社長からメールで言われた事で、少しの間ならと承諾してしまった。
自分のアパートに涼を連れて行く事も考えたが、あそこは狭いし、安全…とは到底言える筈もなく、涼のこれからの事も考えて所長の側が1番いいのではないかと考えた結果でもあった…。
そこで寝起きする為に必要な物を取りに、1度自分のアパートに戻りたいと言った智仁だったが、清雅が必要ないと言い切り、真っ直ぐ清雅のマンションへと車で帰っていった。
部屋に入ると本当に必要な物が全て揃っている状態だった。
服から、歯ブラシやらの日用品と雑貨など。
涼の分と智仁の分。合わせるとかなりの量になっていた。
智仁の物だと渡された沢山の衣類は、自分のアパートに置いてある倍以上の数だった。
智仁は申し訳ないから代金を請求して欲しいとお願いしたが、清雅は「無理矢理連れてきたんだからこんなの当たり前だよ?」と言って一切受け取ってはくれなかった。
だから智仁は食費と家事全般を受け持つと提案するが清雅は首を縦には振ってくれなかった。
智仁はどうすればいいか分からず、呆然としていると清雅が小さい声で話かけてきた…
「そんなに困った顔しないで?
…じゃあこれからの事を一緒に考えよう?山中君が寝たら俺の部屋で少し話さない?
…大丈夫。山中君は直ぐ寝ちゃうと思うから、そしたら来てね♪」
智仁はこれからの事をちゃんと話さなくてはいけないと考えていたから、その提案には賛成だった。
しかし、涼は気持ちが高ぶっている為か、嬉しそうに智仁に纏わり付いていて、直ぐに寝るとは考えられなかった。
それでも清雅が「大丈夫、大丈夫♪」と言うから一応、頷いて見せた。
順番でシャワーを浴び、智仁がバスルームから出て来ると、涼はダイニングテーブルでお茶を飲んで待っていた。
「トモ君♪やっぱりそのパジャマ可愛い♪僕と色違いなんだよ~!一緒だね~♪」
涼は嬉しそうに、腕を拡げ立ち上がってクルクル回って見せた。
それを微笑みながら見てた智仁の前で涼が、ガタッとバランスを崩して転びそうになった。
智仁は慌てて涼の体を支えようと手を伸ばした
「あっれ~?…僕、はしゃぎ過ぎちゃったかな?
ふぁ~ぁ。なんか眠くなってきたぁ~」
涼の体を支えていた智仁は部屋の方を指差して涼に視線を合わせた
「あ~。うん…そうしようかなぁ~。
トモ君僕が眠るまで側にいてくれる?」
智仁は頷いて、涼を部屋まで支えながら連れて行った
ベッドに横になった涼は智仁の手を握りながら嬉しそうに瞼を閉じていった。
暫くすると握っていた手から力が抜け、規則正しい寝息も聞こえ始めた
智仁は、緊張からくる疲れだと思い直ぐに寝入っても何も違和感を感じないまま、涼の手を布団の中に入れ、整えてから灯りを消して部屋を後にした
清雅から言われた通りに、部屋に向かう。その前に自分の仕事用のバッグからメモ帳とペンだけを持って清雅の部屋をノックした
「はい、どうぞ~」
清雅はノックの音が聞こえたのか、態々部屋のドアを開けて智仁を招き入れてくれた
智仁は清雅に1度頭を下げてから、促されるようにソファーへと座った
「どう?山中君、直ぐ寝たでしょ?」
清雅は智仁の隣に座ると智仁の方に身体を向けて笑って話かけた
智仁は返事をする為に持ってきたメモ帳を開いて書き出した
『はい 所長さんの言った通りでした』
「でしょ~?……ところでさ、その所長さんって辞めない?」
『では何とお呼びしたらいいですか?』
「清雅って呼んで?」
『きよまさ?』
「清雅はこう書くの~。覚えてね?
それと…敬語もやだな~距離を感じるから、普通に話して?」
『これじゃダメですか?』
「うん。俺が嫌なんだよね~それに智仁君の方が年上だし、おかしいでしょ?」
『おかしい?』
「うん。ま、その見た目じゃ歳聞いた方がビックリするよね~」
『…………』
「実年齢言ったら皆にビックリされるでしょ?」
『すみません』
「アハハ!俺に謝らなくても~。
でもホント……不思議だよね~?
10年位見た目変わらないんじゃない?」
『……。』
「10代にしか見えないもんね?よくて…20歳?ギリギリ見えるか見えないかだね~」
『……。』
「…ねぇ?どうして見た目変わらないの?
あの頃と同じだったから俺驚いちゃったよ!?
ま、だから直ぐに君だって分かったんだけどね?」
『あの頃?』
「うん。13年前に俺は君と遭ってるんだよ?
覚えてない?……俺の事?」
『____!?』