※これは妄想腐小説です※
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~
ここはあるホテルの一室。
書類が無造作に置かれた台を整理しようとため息をつく男。
その脇には真剣な顔でPCを睨むように見る男がソファーに胡座を掻いて座っていた
「…社長~?そろそろさぁ~会社に戻んない?」
「煩いぞ長世!何度も言わせるな!」
「だってさぁ~、これじゃ秘書の子が可哀想じゃん?
印鑑貰う為に、会社とここを何往復してると思ってんの?社員をもっと労ろうよ~」
「だ・か・ら!順番で来るようにしてあるだろうが!伊達に多く雇ってねぇよ!」
「それは、社長がよく出払って会社に居ないから仕方なく繫ぎが必要だからでしょ?
こんな近くにいてもそれを押しつけるのはどうかと思うけどね~」
「これも仕事だろ!彼奴らは若くて体力があるから平気だ!
…秘書がどうとか言うが、実際はお前がここから離れたいだけじゃねぇの?」
「そう!俺はこんな所から早く帰りたいよ!?
だって俺、いつも裏方よ?
こんな真っ昼間から、こんな豪勢な部屋で、社長と一緒にいるなんて耐えられないから!!」
「はぁ~?よく言うよ!
お前、窓辺に座ってずっと外の景色ばっか見てんじゃねぇかよ!
少しは仕事しろっつうの!」
「してるから!やる気がおきないけどちゃんと仕事してるから!
……はぁ。もう早くここから離れたい…何で此処にしたのさ~気が滅入るよ、ほんと…帰りたい。大澤君に会いたい~」
長世は集めていた書類を一纏めにし、片付けると松丘の隣にグッタリと座った
「文句はあいつに言え!
誰が好き好んでこんな所選ぶっつうんだよ!?
それと、智仁は関係ないだろ!
いいか?勝手に会うなよ!?
今は療養期間って言い聞かせて仕事休ませてるんだからな!!
会いにいくなよ?分かったか!?」
「はぁ~~~大澤君に会いたかったのになぁ~
それにしても、想像以上にしつこいんだね?あの三男坊…。お陰で俺達がこんな場所にいるハメになるとはね~」
「全くだ!会社はおろか、家にまで押し掛けやがって!!一日、何回来れば気が済むんだあいつは?暇なのか!?」
「…必死なんでしょ?あの後、直ぐに会社に連絡して態々来たし、社長は居ないっていくら言っても帰らないから、どうしたらいいですか?って秘書が俺の所に連絡寄こすくらいだもんね~」
「それでも遅ぇだろぉが!!
あの時、あの場所で気付かない奴は既に駄目なんだよ!人としてな!!」
「…でも、行動力は流石だよね。夜には松丘邸の場所を探り当てたんだから。
でも、それは彼の力じゃなくて、誰かを頼ったっぽいけどね~」
「くそっ!!思い出しただけで腹が立つ!
あいつのせいで智仁を帰すハメになっちまったじゃねぇかよ!
あの電話も何だよ!?智仁が取り乱してたじゃねぇかよ!あ゛~イライラする!!」
「仕方ないよ~大澤君をあのまま松丘邸においておけない状況になっちゃったしね~」
「…どっちの奴の事言ってんだ?
家に押し掛けて来た奴か?それとも電話をかけてきた奴の方か?」
「う~ん……両方だね。」
長世は腕組みをして考えるように上を向いて言った
「…あの時、智仁が焦って帰るって言った時の電話の相手は分かったのか?」
「ああ、相田 清雅(あいだ きよまさ)っていう奴。知ってるでしょ?“グリーンハート”の若き所長さん! 」
「…“グリーンハート”…名前だけは知ってるな 」
「いやいや、うちの会社からも資金提供してるから!」
「はぁ?」
「まさか忘れたの!?櫻庭社長絡みで創設に一枚噛んでるから!うちの会社!」
「…おい、待てよ?そこで櫻庭って事は……
係わってんのか?…あの三男坊と?」
「ガッチリね!2人は従兄弟で中学からの同級生、確か高校も一緒だったはず。大学はバラバラだったって言ってたな~」
「…マジかよ。
__っ!待てよ!
おいそれってヤベぇんじゃねぇのかよ!?」
「まぁ~良くはないよね。
でも社長が、帰っていいって大澤君を送り出したよね?俺、あの時頑張って止めてたよね?」
「っ!!事情を知らねぇからだよ!
早く言えってそういう事は!くそっ!!」
松丘は立ち上がりポケットからスマホを出すとウロウロと動き回った
「なに?どこに電話すんの?」
「智仁にだよ!早くそこから離れさせねぇと__」
「止めた方がいいと思うけど?」
「何でだよ!!」
「今は複雑な状況だからさぁ~」
長世の一言に松丘はスマホを握りしめながら、ピタッと停まり振り返った
「お前さぁ………俺に言ってねぇ事多くね…?」
「う~ん。多いかな~。えっ?聞きたいの…?」
「言えよ!全部!」
「はぁ?全部?全部って全部言うの?何もかも!?」
「…いや、智仁に係わる事だけ全部言えって事…お前がやってる他の事はどうでもいいから!」
「ああ、そこだけね!
えっとじゃあ、今、彼の周りでおきてる事説明するけど…ショック受けないでね?」
「は…?」
「じゃあまずは___」
「はい!ざっとこんなもんかなぁ~」
長世が一通り話し終わると、それを黙って聞いていた松丘が項垂れていた
「………………。
がっつり俺が絡んでんじゃねぇかよ…はぁ~~」
「だから、ショック受けないでね?って先に言ったのになぁ~」
「確かに言ったな。あの時…珍しく智仁の方からメール寄こしたから、俺調子に乗って言ったな…最悪だ……」
「漢なら年下を守れ!…的な感じで言ったの?」
「………はぁ~」
松丘は大きなため息と共に力無く頷いた
「原因をつくった張本人が今更、見捨てて帰ってこい!なんて言えないよね?
この先、漢が…なんて言えなくなるよね?だから、止めた方がいいよって言ったんだよ俺~ 」
「…最悪だ。俺が送り出してんじゃねぇかよ… 」
「でも、大澤君が側にいる事で助かっている子が居る事も事実なんだよね。
未だに不安定らしいけど、それでも前よりは良くなってきてるって。
積極的に頑張ろうとしてるみたいだし。
それもこれも全て大澤君のお陰~やっぱり彼は凄い子だね~」
「…複雑だ 」
「社長はそうだろうね。あっ、でもちゃんと監視は付けてるから何かあったら連絡寄こすと思うよ?」
「…いつから?」
「え~とね~あの、ひよっ子が探り入れてきた当たりからだね~」
「ひよっ子って、あの会議室にもいた奴か?」
「そう!二條 章和(にじょう あきかず)。
彼奴の出方次第で俺も動くかも~。
でも今ん所、目立った動きが無くてさぁ~。やっぱり警戒させたかもなぁ~」
「…俺よ~お前が怖くなる時がたま~にあるんだけどさ…」
「なんで?俺変わってないよね?」
「あぁ。昔からお前はそんな奴だったよ…。
隠し事が上手い所とかさぁ~よく騙したりさぁ~挙げだしたらキリがねぇよ…」
「隠し事?社長に~?しないよ~社長を信頼してるからちゃんと報告入れてるでしょ?」
「…いや、既にあったよな?俺に言ってない事あったよな?」
「それは社長が傷つくかと思ってスルーしてあげたんだよ?酷いね~社長を思ってした事なのに……」
「…じゃあ、もう無いんだな?俺に言ってない事無いんだな?」
「えっ?……どれの事?」
「どれって何だよ!?あんのか?まだあんのか?」
「え~??
相田君が、施設の子云々では無くて大澤君と何か接点がありそうな事?
その相田君のせいで二條君が大澤君を目の敵みたいにしてる事?
その二條君を必死になって止めたいと思っている松永君って子がいる事?
その松永君を心配しつつも、自分の事で今手一杯になってる櫻庭君が俺達を捜し回ってる事?
その4人が幼馴染みで同級生って事?
分っかんないな~。
ねぇ社長?どれの事言ってんの…?」
「___っ!おま、おま、おま……!」
「はっ?何?おま…?」
「ふざけんなよーお前はーー!」
「えー!?なんで怒ってんのーー?」
「ありすぎだーバカヤローー!」
松丘は長世の胸ぐらを掴み思いっきり揺さぶって声を荒げた
その時、窓辺に置き忘れていた長世の携帯が震えたが、2人の喧騒にかき消され着信のランプだけが点滅していた…