※これは妄想腐小説です※
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~














~智仁side~




この椅子に座ってから時間はそれ程たっていない筈…

それなのに…もう帰りたい






櫻庭さんの話す事が本当なら…いや、事実なんだと思う。
これだけ怒っているんだから…



会社のこれからについて…そう聞いて来たから、僕は社長の付き添いって思ってた

でも実際は僕が当事者だったんだ…

だから、僕への視線も痛かったのか


副社長が話す

社長は話さず怖い顔のまま

僕はどうすればいいの?








声は違うと思う。
鎮守様はいつも穏やかだったから…その聲しか知らないだけかもしれないけど、でもその顔は同じだから…

その顔で言われたら…



違う。

鎮守様は違う。

僕にそんな事言わない。

僕を愛しいと言ってくれた聲を憶えてる。

優しく笑いかけてくれた顔も覚えてる。

違う筈なのに…

どうしても、この人と鎮守様を重ねてしまう…

だから見れない。

錯覚を起こしそうで…

見たくない。






見ないように俯いてたら、更に声が強くなった


僕はそんな事してはいない。するはず無い。
僕にとっても大切な場所なのに…
傷つけたりしないのに…



疑われてる。



でも、言えない。

副社長に何も言わなくていいと事前に言われていたから、それもあるけど…


理由は…言えない。

きっと言ったとしても理解して貰えない…

だから何だ?と思われる…

僕には絶対でも他の人には理解されない…はず…




僕はあの時、選んだ…

鎮守様達がいるあの庭か、自分の今の立場か…




そして僕は今の生活を望んだ

あの庭を放り出したんだ…自分の為に…

それで罰が当たったの?
僕なんかには烏滸がましい事だったの?

…なら、疑われても仕方ないのかもしれない…






社長か急に大きい音をたてたから驚いて顔をあげた


凄く怒っているのが分かった
社長を見たまま固まっていた僕の背中に副社長が手を当てて大丈夫。と小声で言ってくれたけど、心配でずっと見てしまっていた






分かってる。
社長が僕に言ってないのは分かってる。
だから首を振った。
僕に謝らなくても大丈夫。
僕はただ、社長の具合が心配なだけだから…






今度は副社長の大きい声。荒げてはいない。
でも、怒ってるのは分かる声。

それでも社長は何も言わず僕の横に座ってるから僕も黙ってる

副社長が僕をチラっと見たけど話を続けた

辛そうな顔…

そんな顔させてるのは…僕?






僕のシフト表と…映像?仕事中の?

あ…だからこの前、書類に署名するように言われたのかな?
これに使うためだったんだ……



僕が当事者で、でも話さないから代わりに説明してくれてるんだ…

また…迷惑かけちゃった……

どうしよう……






僕が話せたら変わってた?

そもそも僕が此処で働いて無ければ…

誰にも迷惑かけずに済んだ?

坂元支配人が謝ってる…そんな事させたくないのに…僕なんかにも優しく接してくれた人なのに…



全部…僕のせい…?






社長が手を引いてる

帰るの…?


でも…でも…




僕は立ち止まった。
それと同時に社長も止まってくれてこっちを見てくれた






僕は社長に聞いた


僕のせい?僕が話さないから、こんな事になったの?

社長は関係ない、会社の為って言った



じゃあ、皆いなくなったら庭はどうなるの?
今、大変なのに、誰もいなくなったら庭は……

社長にそんなに大事か?と聞かれた



勿論だよ。僕にとってはとても大切な場所だから…そう思って頷いて社長を見上げた



その後社長は期間を延ばすって言ったけど、それでも僕は安心できなくて…これでいいか?と聞かれたけど僕の頭の中は庭の事しか考えられなくなってて…



副社長が、ね?って言ったけど何の事か分からなかった


でも漸く、社長が気分が悪いと言った言葉でハッとした。


具合が悪いんだ。
具合が悪くなると怒ってしまうって言われてたのに…
だから早く帰りたいのに僕が足止めしてるんだって気付いた。






腕を引かれ扉まで来た。



社長は関係ないって言ってたけど、きっと僕のせいだよね?
僕がここで仕事してたから、僕が話さないから…だから…ここにいる人達にも迷惑をかけたんだよね?

昔から、僕は______






迷惑をかけてしまってごめんなさい

そう思って扉の前で室内にいる人達に頭を下げた



それと同時に社長か僕を呼んで、腕を引っ張られて会議室を後にした






社長に腕を引かれたまま廊下を歩きエレベーターの前に来た


直ぐに開いたエレベーターに社長は乗り込む
腕を引かれているから、僕も後に続く
副社長達がこないのに社長はボタンを押して、エレベーターが閉まった



その微かな下降の衝撃でさえも僕はフラついて立っていられなかった

倒れる前に、社長が支えてくれたからどこも痛くないんだけど…

どうしてかな?

息が苦しい…

上手く呼吸ができないみたいで苦しい…



社長が背中を擦ってくれる

でも苦しいのは変わらなくて…




社長にもそんな顔させたくないのに…




僕はなんでこんなに迷惑しかかけれないのかな…







僕は、僕はやっぱり_________。