※これは妄想腐小説です※
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~






















~智仁side~



どうしてかな……?






午前中の担当先が終わるとあの人のマンションへと帰る
そして少し遅いお昼を2人か、3人で食べる
そして時間がきたら夕方から担当しているビルへと向かう
終わったらまたあのマンションへと帰る

これがここ最近の僕の行動範囲…


だから、あの図書館には行けてない…
あの絵が見たいのに…



自分のアパートにも帰れてない…
一度帰ったら怒られたからそれ以来行けてない



行くなと言われたから……仕方ないんだと思う…



でも、あの絵がある図書館だけは…今度お願いしたらダメ…かな……






そんな事考えてビルに向かって歩いていたからか…
気付くの遅れちゃった…






「智仁?ぶつかるぞ?」



………もう、ぶつかった後に言われても…

見上げると社長が立ってた。
その横には副社長まで…どうしたのかな?






「社長~今のは態とでしょ?位置調節して嬉しいに待ち構えてたじゃないですか~」



副社長が笑って言う。

態となの?……鼻痛かったけど…






「ほら!大澤君が痛がってるじゃないですか~可哀想に…大丈夫?見せて?」


「おい長世!気安く触るな!!」


「え~俺もダメなの?あの社長が勝手に決めた条例は社員に対してでしょ?」


「お前も社員だろうが!!」


「ブーブーブー」


「煩いぞ長世!そんな顔してもお前は可愛くない!歳を考えろ歳を!!
それとその髭も胡散臭い!!」


「髭は関係ないでしょう髭は!
結構人気あるんすよ?俺の髭~
大澤君は嫌?」



嫌?何がだろ…?でも嫌って思った事ないから首を振る






「ほら!大澤君も格好いいって言ってくれてる♪」


「言ってねぇだろうが!何を嬉しそうに言ってんだよ!」


「だって大澤君が格好いいって~ね?」



格好いい…。うん。似合ってると思う。






「ほらほら~頷いてくれたじゃん♪社長の負け~」



副社長は笑って社長を指さしてる。社長はその指を手で叩き落としてる。
仲良いんだな…昔から知ってるって言ってたし…
こんな2人を見るのも久々だ…


でも、どうしてここにいるんだろ…?何か用事?






「ん?どうした智仁?言ってみ?」



社長は僕の口の動きを読んで理解してくれる。

初めの頃、メモ帳に書いてやり取りしていたのに、それがもどかしいって言って読唇術の真似事みたいなものをし出した。
せっかちって言うって後で副社長が教えてくれた

ゲーム感覚で始まったそれは、今では完璧に理解してくれている。
凄い人だよね。社長って…






「ああ、今日はお前に用があって来た。
一緒に行って欲しい所があんだよ。じゃ、時間ねぇし行くぞ? 」



僕に…用?何かしちゃった僕?

……っ!待って!仕事が!






「あん?ああ、大丈夫だ!代わりの奴を入れたから!」



え…?そうなの?急に代わりの人って…そんなに大事な用事なの?僕、やっぱりなんか迷惑かけてるの…? 






「……社長。大澤君不安そうな顔してますよ?平気ですか?」


「あ~。参ったな…でも何て言うんだ?
そもそも智仁は彼処には近寄らないだろ?
今回だって何も言わず無理矢理連れて行くしかないぞ?」


「そうなんですけどね~あんな顔されたら…俺可哀想過ぎて直視出来ないよ~」


「耐えろ!俺だって我慢してんだ!そしてお前が上手く誤魔化せ!!」


「えー!俺ぇ!?」


「そうだ!車に乗ったらお前から言えよ!?
これ、命令な!」


「狡いよーそういう役回りばっかじゃん俺!」


「それが副社長の宿命だろ!」


「そんな宿命いらないよー!」






2人でコソコソ話してるから何言ってるか聞こえない…

それに身長差があるから2人の歩幅に追いつくのがやっとだし…

腕離してくれないかな?
何処に行くか分からないけどちゃんと付いていくのに…


結局そのまま車に乗せられた


乗って直ぐドアが閉まり社長が「出せ」と言ったら車は静かに走り出した




仕事…お休みしちゃった……迷惑かけてないかな?
窓の外を眺めてそんな事思ってたら副社長が僕の膝を優しく叩いてきた






「大澤君大丈夫だよ?心配しないで?
…ただね、これから俺達、大事な話し合いがあるんだ。
会社のこれからに係わってくる大事な話し合い。そこにね、行かなきゃ行けないんだけど…

社長がね?とっても嫌いな人が居るんだって。」


「おい長世?何言って__」


「嫌いな人が居るから行きたくないんだけど、どうしても話をしなきゃいけない。だって社長だからね!
それでもね、その場に行くと具合が悪くなるらしいんだ…社長がね。」


「おいっ!」


「ほら社長ってそういう神経質な所あるから~見た目こんななのに笑っちゃうよね?」


「長世~!!」


「だからね?大澤君に隣にいて欲しいんだって!大澤君が隣にいてくれるだけで具合もそこまで悪くならないらしいんだ!
お願い出来ないかな?社長の為だと思って 」



具合悪くなるの…?でも社長だから断れないから行くしかないの?

僕なんかが同席しても大丈夫なの?
というか僕なんかで具合良くなるの…?






「大丈夫だよ!?大澤君は何もせずに隣にさえいてくれれば~

ほら見て!今は大澤君が隣に居るから元気でしょ?
これがね~具合悪くなると、直ぐ怒りだしちゃうからね~。困ったもんだよね~」


「長世~!お前覚えとけよ!?」


「ああ!社長どうしたんですか!?
折角大澤君が一緒に来てくれるって言うのに既に具合悪くなってるんですかー!?」



え!?具合悪くなったの?
そんな…やっぱり僕が側にいるくらいじゃダメなんじゃ……






「っ!違うぞ智仁!全然そんな事はないぞ!
お前がいてくれて助かってる!というか助けてくれ!隣にいてくれるだけでいいんだ!この通り!」



社長が両手を顔の前で合わせて頭を下げてる。

そんな事をしなくても僕なんかで役にたつなら…お世話になっている社長の為なら一緒に行くのに…


僕は社長の腕に手をかけて降ろした






「本当か!?行ってくれるのか?」


僕はコクッと頷いた






「そうかそうか!それは良かった!」



社長はホッと胸をなで下ろす仕草をして笑った


それを見てた副社長はさっきから我慢してたのか急に大きな声で笑い出した


それに社長がムッとして足で副社長の脚を蹴っている

でも、副社長の笑いは収まらなくて…

諦めたのか社長はフンって鼻から息をだしてそっぽ向いちゃった



だから、僕も窓から外の景色を見た…






何処に行くか教えて貰っていないから分からない

でも、社長と一緒に行くって決めたのは僕

だけど…






ねぇ社長…?

これから何処に行くの…?

この車が走ってるこの道は…僕知ってるよ?

ついこの間まで通っていた道だよ…?






お願い…そっちに行かないで……






僕はどうしようもない不安が襲ってきて、左腕を強く握りしめて目を閉じていた……