※これは妄想腐小説です※
~間違われた方、苦手な方は戻って下さい~


















「…さて。櫻庭さん?よろしいですか?」


長世は慧翔を見て聞いた。
その目は鋭く冷たいままだったが慧翔はまだ放心状態なのか黙ったままだった






「…全く。だからあれ程抑えてくれって頼んだのに。はぁ~。
このままでは埒があかないので話を続けます!
聞こえていますか!?」


長世の声が一層大きくなり、ビクッとした慧翔とその他が漸く長世の方を見た






「あなた方の言う事件の事はこちらでも調べさせて頂きました」


「…し、調べた?」


「ええ。我が社の社員が犯人扱いを受けていると知って黙っていられるとでもお思いですか?」


「………。」


「勿論、大澤君は全く知りません。今日も無理矢理ここに連れて来ましたから」


そう言うと長世は智仁を見て眉をひそめた

その智仁は今度は松丘にピッタリとくっつかれるように小さく座っていた






「あなたが何度も我が社に連絡をしてくるので此方も動いたまでです。
まさか、会社まで乗り込んでくるとは思いませでしたが…。」


「っ!それは…情報を頂けないので仕方なく……」


「我々は大澤智仁は関係が無いと散々申しあげた筈ですが…?」


「そうですが!実際会って話を聞いて確かめなければと__」


「お前が犯人か…と?」


「違っ__」


「違いませんよね?現にあなたはそう大澤君に言った。
そう問い詰めた。
最初から決めつけて懸かっていた。
それが電話でも分かる程でしたから我々が一緒に同行したのです。
こんな所に、犯人だと決めつけている人間の前に大澤君を1人で行かせると思いますか?うちの大事な社員を?…おい?俺らを甘くみてんじゃねぇぞ?
………おっと。失礼しました。」


「お前も素が出てんじゃねぇかよ!」

松丘は鼻で笑いながら長世を横目で見た






「…社長?黙ってられますよね?」


「……スマン 」

長世の静かな圧が分かった松丘はシマッたとい顔をして俯いた






「…我々が再三言ってきた事が信じられないと言った感じでしたので今日はこちらをお持ちしました。」


「…これは?」

慧翔は長世が出してきたUSBを見て怪訝な顔をして聞いた






「大澤君のここ1ヶ月の勤務表です。それと担当先で働いている所が映っているカメラの映像です 」


「…映像?」


「所謂、あなた方が先程提示した証拠。というわけです。
もっともあなた方と違うのは、顔の判別もできますし、例の事件があった、その日その時間にそこに居たという承認が何人もいるという事です。」


「っ!いつの間に!?」


「おかしい事を聞きますね?
調べたと言いましたよね?
勿論、そのカメラに映った男がいる事も知っていました。
そして、そのカメラに映った時間にうちの大澤が何処に居たかも直ぐに調べました。

まぁ、大澤君がそんな事をするとは全く思っていなかったのですがね。
それを見せてくると思ったので、こちらも用意しときました。
それが分かった上での“関係ない”と言っていたのですから。」


「…ならどうして教えてくれなかったんですか!?直ぐに教えてくれればこんな事には__」


「教える…?
あなた方が我が社に連絡を寄こした時に事情を説明しましたか?…していませんよね?
我々もこの業界にいますから内密にしたい事なのだろうと察して言葉を選んだまでです。
あくまで、あなた方の会社の為にした事なのをお分かり頂いていないようですね。
だから、こんな大事にした。」


「大事にする気など全く__」


「我々の会社の人間を疑った。それだけで十分なんですよ?

櫻庭さんとうちは長いお付き合いだから、我が社がどれだけそういった事に厳しいかご存知でしょう?
信用第一の会社ですから社員にも当然厳しい。仕方ない事ですが、その分ケアや保障は群を抜いていますし個人との連絡も密にとっています。
その事を知っているから信頼されて今の会社があるのです。
知らないとは言わせませんよ?ね?櫻庭さん?」



「………」



「なぜ言わなかったのか、情報を与えなかったのか…分かりませんか?
我々はあなたに猶予を与えていたつもりです。

若いから暴走はする。それが分かっているからチャンスを与えてやりたいと勝手に思っていたのですが、私達の思い違いでしたね。」


「…チャンス?」


「大澤君が関係ないということはここで働いている人に聞けば直ぐに分かる筈ですよ?」


「それは…どういう意味ですか?」


「…例のカメラに映った男、庭園に入る前に従業員から声をかけられていましたよね?」


「_っ!そんな事も知っているんですか?」


「調べましたから。それで何を話していたか覚えていますか? 」


「確か、従業員は「雨が振りそうなので傘はいりませんか?」と聞いたそうです。」


「…それに男はなんと?」


「「必要ない」とだけ言ったそうです。参考にもならないから除外していましたが…」


「___っ!!」

そう言った慧翔の言葉に隣に座る支配人が勢いよく立ちあがった

それに驚いた慧翔はまじまじと支配人の顔覗き込んだ






「えっ!?どうしたんですか坂元支配人?」


「成る程。坂元支配人はこの事をご存知なかったんですね?」


「…し、知りませんでした。証拠の映像があるというのも知りませんでしたし、ましてや会話があったなどとは………本当に、本当に申し訳ありませんでした!」

坂元は青い顔をしたまま話始め、そして3人に頭を下げお詫びした。






「ど、どういう事ですか?支配人?」

慧翔は状況が飲み込めないのかオドオドと頭を下げたままの坂元に詰め寄った






「坂元支配人?どうぞ櫻庭さんに説明してあげて下さい。」

冷静に話す長世の言葉に漸く頭をあげた坂元が隣にいる慧翔に顔を向けて口を開いた






「……大澤君は…話せません。」


「…は?」


「…彼が話せない事は我々ホテルの従業員は知っております………」


「……な…んだっ…て?」