※これは妄想腐小説です※
~間違われた方、苦手な方は戻って下さい~



















ドカッと睨むように前を見て椅子に座る松丘社長
その後に続き、長世副社長が智仁の為に椅子を引き座るように促した。
2人の間に挟まれ大人しく座った智仁は現状が分からずに連れてこられたのか、その表情は困惑しているようだった

その智仁を見つめる好奇な視線は一つや二つではなかった。

ホテル内にあるこの会議室には、楕円を描くように30人程度の人が座れれようになっていたが、集められたのは10人にもみたない。
内密の話し合いだという事だ。

それでもその殆どの視線が智仁に集まっていた。


先程までは来るはずのない人が現れた事により、驚きと少しの恐怖があり口を閉ざした者達も、智仁が入った瞬間にどよめきと探るような視線を向けていた
勿論、その中に鋭い視線が1つ雑ざっているのは確かだった






重苦しい空気の中、漸く自分がしなくてはいけない事に気づいた慧翔が机を挟んだ3人の前に立つと口を開いた



「…今日はお時間のない中___」


「挨拶はいい。さっさと本題に入って貰おうか?」


慧翔の言葉に割って入ってきた松丘の声は静かだが強い圧があり慧翔の口を閉ざさせた






「…分かりました 」


慧翔がそう言い、支配人とホテルの警備担当者に目線を向けた。
それに気付いた2人は慧翔の側に寄ると3人にお辞儀をしそれぞれに名乗った後、慧翔の両隣に一緒に腰を降ろした。






「…では、早速本題に入らせて頂きます」


慧翔が松丘社長を見て、それから自分の真正面にいる智仁に視線をずらした






「…あなたが……“大澤 智仁”さん…ですか?」


智仁は慧翔の声にビクッと反応し俯いていた顔を上げ躊躇いがちに頷いた。






「…これから幾つか質問をさせて頂きます。宜しいですか?」


何が始まるのか分からないという顔をした智仁が松丘の方を見た。

松丘はそんな智仁を見つめ一度頷いた。

その後に長世が耳元に何かを話しかけ、振り返った智仁が長世にコクッと頷いた






「続けて」


応えたのは長世副社長だった




なぜ本人ではなく副社長が応えるのか疑問を持った慧翔だったがここは大人しく従おうと質問を続ける事にした






「以前ここに派遣されていましたよね?」


「コクッ。」智仁は頷いた。


「…その時に主に庭園の清掃も任されていた」


「コクッ。」


「……だが、急に辞められた」


「………コクッ」


「何故です?」


「それは個人の理由です。
ホテル側にも了承を得ました。引継ぎも問題ないと伺ってましたが?」


慧翔は智仁に聞いていたのに長世が話に割って入ってきた。
またか…と思った慧翔は徐々に苛立ち始め怪訝な顔で長世を見てこたえた






「引継ぎは問題なかったと聞いています。
しかし違う問題が発生したんです。」


「?」


「質問を続けます…

ホテルの従業員はあなたが真面目だったと言っています。
あなたが来てからどこか庭園も明るく感じたと…そう言っていますが正直私には分かりません。

でも、真剣に仕事をしてくれたという事でしょう?
あなた方の会社に手抜きなど考えられませんからね。
やるからには最後まで手を抜かない。
確かそんな会社方針がありましたよね?

そこで疑問です。
そんな方針を掲げておいてあなたは短期間で辞めた。
それもこちらが担当か代わると聞いた翌日に!
…急ぎすぎですよね?
そして会社の対応も早かった。まるで何かから逃げているような…そうとられてもおかしくない。そう思いませか?
違うなら理由がありますよね!?」



「だからそれは個人の__」

熱くなってきた慧翔の問いに長世は再度口を挟んだが、お構いなしに慧翔は智仁に話を続けた






「ここで働けなくなった理由はなんです!?
…何かをしたからじゃないのですか?
だからここで働けなくなった!
違いますか!?答えて下さい!!」


「…………」


「…無言ですか?それは肯定していると捉えてもよいと?」


「慧翔様!お待ち下さい!大澤君は___」


熱くなっている慧翔を止めようと坂元支配人が立ち上がり声をかけたが…






「支配人。今、俺達は話を聞いている。邪魔をするな 」


松丘社長が睨むように坂元支配人に声をかけた






「っ!ですがこれでは…」

坂元支配人は憐れむような顔で智仁を見た





「だが、俺達には言っている意味が分からない。何かをしたというなら何があったのか説明為べきではないのか?」


長世副社長がそんな坂元の言葉を無視し慧翔をじっと見て言った





慧翔は松丘と長世の冷たく鋭い視線にビクッとなったが、今、やっと解決の糸口であると思われる人間が目の前にいるのにそう易々と引き下がれる筈もなかった。

そして何より松丘や長世の視線よりも無言を貫き通そうとしている目の前の奴に苛々がおさまらなかった


何かを隠している。それは間違いない。と確信した慧翔は、暴いて曝け出してやると息巻いていたからだった。






「事が発覚したのは数週間前____」



慧翔は鼻息荒く、何があったのかを話始めた…