※これは妄想腐小説です※


















『………ハァ


「どないしたん?ため息なんて珍しい…」


智仁は心配そうに顔を覗き込んできた横川に首を振って応えた






「ほんまに?なんか顔色もパッとせえへんし大丈夫なん?」



『…コクッ


智仁は1度頷いた後、ニコッと微笑んだ






「っ!…大澤くんひと言ええかな?」





「…簡単にそんな顔したらあかんよ?世の中危ないんやから…」



??


「…分からんっちゅう顔やね。そのままでいて欲しい気もするねんけど…危なっかしいしなぁ…」



僕どこかおかしいの?直した方がいい?

智仁はメモ帳を取り出し書いたものを横川に見せた






「ちゃうちゃう!大澤くんは………。
うん、やめよう。はよぉ片して帰ろうか?」 



『………』


「ほんまどないしたん?帰りたくないん?」



何でもないよ 早く片付けよう』 

智仁はメモ帳をしまうとカートを再び押して前を歩きだした
だがその顔はどこか曇っているようだった…






お疲れ様でした

智仁はいつもの終了時間、いつものようにメモ帳を見せて頭を下げた






「お疲れ様~大澤くん」
「お疲れ~また来週ね~」
「ゆっくり休むんだよ~」
「気ぃつけて帰り~」

「大澤くん!ほんまに気をつけてな?ってか1人で帰れる?俺、送ってこか?」


次々に優しく声を掛けてくれる仕事仲間の声に頭を再度下げながら、最後の横川の言葉には頭を振って応え扉を開けて廊下へと出た






「…ほんま大丈夫やろか?1人で帰らせて…」


「確かに今日は特に元気なかったよね~」


「でも体調は悪くないってさっき言ってましたよ?」


「せやかて心配なもんは心配や!…やっぱ俺送ってく!!」

横川が急いで荷物を纏め、扉に向かおうとした時






「やめとき~社長に言われたやろ?」

城嶋が横川に声をかけた






「せやかて城嶋さん!?大澤くんどこか変とちゃいました?俺心配ですわ!」


「そんなん皆気ぃついとるよ?心配もしてる。けど社長の言葉忘れてへんよね?」


「…忘れてません。せやけど__」


「それでも一緒に帰りたい言うんなら社長にお許し貰ってからにし~」


「っ!!あの社長がくれるわけないですやん!」


「そぉいうことやね~諦めてさっさと帰りや~」


「……はい。」






休憩室という名の準備室でそんな会話が繰り広げられているとも知らない智仁は外に出る扉の前で立ち止まり、バックからスマホを取り出し先程きたメールを読み返していた






《お疲れ様。お前からメールを寄こすなんて珍しいな。
事情はよく分からんが、男たるもの頼られたら力をかせ。
それが年下なら尚更、年上のお前が守ってやらなければならない。》 


社長に送ったメールの返信を見て智仁はまた、ため息をついた。



漸く決心した智仁はスマホをしまい先程からこちらを覗っている守衛さんに頭を下げると、目の前の扉を開けた







「トモ君お疲れ様~!」


智仁が出てくるのを心待ちにしていた涼が走りより智仁に抱きついた






「智仁くんお疲れ様~待ってたよ~♪さっ!帰ろうか?」


『………』

涼の後ろからゆっくり歩いて付いてきていた清雅にカバンを取られ車の方に優しく背中を押された






「トモ君?帰ろう~?」

涼が腕を引きながら嬉しそうに笑っている



智仁は足が進まなかったが、社長のメールを思い返して大人しく付いて行くことに決めた…