※これは妄想腐小説です※






















~智仁side~


僕はいったいどうすればいいんだろう…?







いつもの時間、決まって僕は図書館にいる。


朝の仕事先から自分のアパートに戻る道の途中にあるここは、小さいからか人もそんなに居ないしとても静かだから落ち着く。


何も知らない僕だから、仕事をする上でも社会で生活するにも“知る事”は必要だって社長に言われてからここに通いだした。
だからもうここに来るのも日課みたいになった。
他にする事も無いし、ここに居ると時間が早く過ぎちゃって足りない位。


何を読んでいいか分からないから、色々なジャンルの本を選ぶ。小説から料理本まで…でも2、3冊選ぶ中に必ず画集が入ってる。


僕、絵が好きなのかな?…無意識で手に取っちゃう。
でも1番好きなのはロビーに飾ってあるこの絵…
その絵の前にある長椅子が僕の定位置。
この絵はずっと見てられる…どうしてかな……




そんな時、僕の携帯が振動した。

見ると、メールが入ってた。僕にメールを送ってくる人なんて社長くらいだから事務的な用件かと思って開いたら…知らないアドレス。


…内容が理解できなかった。

山中君を騙す?…僕が何故?
でも出るとこっ…て。会社に迷惑をかけるって事…?
僕なんかを雇ってくれた社長に迷惑をかけるの…?


それはダメ。
何も知らない僕でもそれくらい分かる…



返信をして図書館を出て、駅に急いだ。

昨日の場所だよね?
ここからだと少し遠い。でも快速1本で行ける。
電車の乗り方も教えてもらった。
時刻表の見方も勉強した。
まだ、数回しか乗った事ないから少し不安はあるけど今はそんな事言ってられない…

僕は急かされる思いで飛び乗った




謝らなきゃ…理由は分からないけど、きっと僕が何かをしちゃったんだ…

いつもそう。
僕のせい。…僕が悪いんだ。僕が……






目的の駅に着いた。降りる人は少ない。





確か、昨日の人が駅の外で待っているって言ってたけど…どこだろ?

あ、あの人だ。こっちに来てくれた…風見さんって言うんだ。あ!僕話せないって言わなきゃ__

ん?どこに行くの?こっち…って?


屈んだ人がいるけどその人も知り合いなのかな?具合悪い…のかな?


所長って呼んでるけど…やっぱり知り合いなんだ。
所長って偉い人だよね?じゃあこの人に謝ればいいのかな?…あ、顔をあげた。


 ?  どうして驚いてるのかな…驚いてる顔だよね?それと泣きそうな__


っ!!?


……え?どうして抱きつくの?……???取りあえずメモ帳を出して話せない事伝えなきゃ__
あ…腕動かない。
そっかそうだよね。あの、取りあえず離してほしいんだけど……


__!!…苦しい。痛い…痛いの嫌なんだけど……離し…て…息が……



はぁはぁ…はぁ。

やっと離してくれた。
この人凄い力の強い人だな…でもこれで漸く用件を伝えられる…





また腕を掴まれた…
だから…痛いから。離してほしいんだけど…

誤解って何?
メールをしてきたのはそっちなのに…
僕が悪いんだろうから謝ったのに…違うの?
よく分からない。こんな時どうすればいいのか本には書いて無かったし……




ん?誰?あ、涼君だ。……どうしたの?
昨日の涼君は笑ってたのに…

今はどうして怒った顔してるの…?










……あ。
体が勝手に動いちゃった。

涼君泣いてないのにこんな事して怒るかな…?



僕を呼ぶ声は怒ってない。良かった…。



取りあえず…さっきの会話で解ったのはあの2人に呼ばれた事は言わない方が良いって事かな。



会いに行くって言ったのは僕だし、そのつもりだった。まさか昨日の今日で会うとは思わなかったけど…



でも、涼君に会いたいって思ったのは本当だよ?

ちゃんと思った事を言って、これからどうしたいか話し合わなきゃ駄目だよ…って言ったのも僕。
でもそれで、また涼君が泣いちゃうんじゃないかって心配だったから…



…さっきは泣いてなくてちょっと安心したのに

今、泣いちゃうんだ……




クスクス   涼君は泣き虫さんだね?
僕、涼君の笑った顔が見たいのに…


ちゃんと覚えてるよ?どうすればいいか…こうやって抱きしめればいいんだよね?





涼君、落ち着いた顔してる。良かった。涼君には泣くことが必要…なんだね…







え?待って?
涼君に会えたのは嬉しいけど急だったから…僕、これからまた仕事に行かなきゃいけないからついて行く事できないんだけど…





用があるって伝えたのに、涼君は離れてくれないし、風見さんは困った顔してるし、所長さんは……どうしてそんな顔で僕を見るの?





えっと…涼君を家に招くのは分かるけど。
あそこには帰りたくないって言ってるし、怒った顔のままで話合いなんて出来そうにないだろうし…。
だからって放って置くことなんて出来ないのも分かるけど…

分かるけど、どうして僕も一緒に乗るの?

僕は電車で来たからちゃんと帰れるのに…送って貰わなくても平気なのに……



涼君には引っ張られるし、所長さんには背中を押されるし…メモ帳出す暇もない。


車に乗せられて、やっと書けると思ったら発進しちゃうし………何処に行くの?







涼君はずっと僕の腕を離さないし不安そうな目で見てくる。何に怯えているの…?


所長さんはニコニコ話ながら運転してる。
…でもバックミラーで目があうと、その目は笑ってなくて……。
どうしてそんな目をするのかな…?
やっぱり僕が怒らせるような事をしたんじゃないかな…










ねぇ?僕はどうしたらいいの?…正解が分からないよ……