※これは妄想腐小説です※





















「ありえないでしょーー!!」

所長室には清雅の怒号が響いた






清雅は外から戻ってきた風見から、今回の一件の原因となる出来事を聞いていた



「…気持ちはわかります。ですが悲しいことに事実です。確認もとりました 」


「…あり得ない! なんでそんな事言ったの!?」


「…最初は些細な事だったらしいです。山中君の影響で携帯が壊れたと…」


「っ!そんな事で!?たったそれだけで!?補償金だってこっちで出したよね!?」


「…はい。でも、それから鬱憤が溜まっていったと…それでつい同僚に愚痴ってしまったらしいです 」


「それを山中君が偶々聞いちゃったと!?
信じられない!!
ここで働いてくれてる人なら分かってくれてると思ってた!
ここは_この場所は救いの場なんだって…彼達みたいな人の“安心できる家”なんだって!

…俺の考えがあまかったの?

ここで働きたいって言ってくれる人は皆、俺の考えに賛同してくれてると思ってたのに……」


「違います!他の皆は所長に賛同しています!彼女らはほんの一部でしかありません!!」


「……何人?」


「…3人です。その場にいて否定しなかった者も含めて依願退職というかたちにしました。」


「風見君が取り仕切ってくれたの?」


「いえ…。僕ではなく二條さんが…。」


「章?」


「はい…。僕のシフトが終わる時間にここにいらっしゃって、つき合ってほしいと言われまして…彼女達の家に行って話をしてきました。」


「家に?章と?」


「…はい。辞めさせるにも証拠が必要だから…と、その…監視カメラの映像を見せてました。昨日、探しだしたと仰ってましたが…

僕、カメラで撮られてるのは知ってましたが…まさか音声まで入っているとは知らなくて_」


「…あ~。うん。俺も知らなかった……」


「所長もですか?……やっぱり怖い方ですね。二條さんは…」


「…敵に回したくないよね?」


「…はい。改めて思いました。」


「…そっか。ごめんね?本当は俺が行って話つけなきゃいけなかったのに任せちゃって…」


「いえ!二條さんも言ってました。「相田さんに任せると情にながされかねないから、こういう時の役回りは私でいいんです」って…」


「俺だって言うことはちゃんと言うよ!?」


「でも「相田さんは優しいからたぶん途中で泣いちゃって話がまとまらなくなるから使えない」とも仰っていて…」


「…それ褒めてるの?貶してるの?どっち?」


「いやぁ~どっちでしょう…?でも納得しちゃって…。」


「あ、納得したんだ?」


「…はい。すみません所長……」


「いや、いいよ。それでスムーズにいったの?」


「はい。彼女達にひと言も喋らせる事無く終わりました 」


「怖いよ!なにそれ?章はどんな手をつかったの!?」


「えっと…まず二條さんが説明して、音声入りの動画を見せて、また二條さんが話をして、書類に署名させて、退職願は郵便で送って下さいと言って終わりました。
だから、1人に10分もかかってません。
それも3人とも玄関先での話だったので、終わったら直ぐに帰っての繰り返しでした。
いやぁ~早かった…僕、それを隣で黙って見ていただけですけど 」


「……文句とか何もでなかったの?」


「二條さんが言わせない…というかそんな隙も与えない程に淡々と話をしてましたし、二條さんの顔が__」


「顔?」


「優しい口調なんですけど、目は笑ってなくて…」


「あ~。分かる!俺、そういう顔よくされるから!」


「所長は慣れているかもしれませんが、僕は慣れていないので冷や汗が出てきましたよ…
それにけっこうな額の退職金も出ますから彼女達は文句も言えなかったと思いますよ?」


「章が!?あの章がお金出すって言ったの?」


「やっぱり意外ですよね?
僕もそう思って聞いたんですよ。そしたら…「署名に書かせたとしても後々面倒にならない為には必要なんですよ。それに…相田さんの“グリーンハート”のこれからに繋がるのなら安い出費でしょ?」って言ってました 」


「…そんな事言ってくれたんだ……」


「あ、でも…「これで“グリーンハート”の情報を他所に話してくれると面白いんだけどな~。えっ?何でかって?
さっき名前書かせた書類あるでしょ?
あれにね~もし情報漏洩した場合は退職金の10倍の慰謝料と裁判沙汰にしてあげますからね~って書いてあんのよ!
あの子達読むかな?ちゃんと読まなそうじゃない?フフフッそうなったら楽しそうだよね?風見君?」とも仰っていて…」


「!!!」


「はい。たぶん僕も同じ顔していたと思います…」


「…章はやっぱり……章だった…」



「ええ。やっぱり二條さんでした。
それで3人いなくなりましたので人員を募集しますが宜しいですか?」


「…う~ん。なんかちょっと嫌かも。もしまたそんな人達が入っちゃったらって思うし…」


「あ、それは大丈夫かと…。」


「どうして言いきれるの?分かんないじゃん!」


「面接には二條さんが立ち会ってくれると仰って下さいました」


「章が?でも大丈夫なの?章は容赦なく切り捨てそうだけど…」


「あと、松永さんもご一緒だとか 」


「えっ?潤哉君も?じゃあ安心だ♪良かった~♪」


「…所長?」


「なに?」


「この部屋にはカメラとか無い…ですよね?」


「無いよ!ないない!怖いな~何でそんな事聞くの?」


「いや、あったら怖いな~と思いまして…二條さんが……」


「っ!!」

清雅は勢いよく立ち上がると部屋の天井や隅、それから置物の後ろ等を確認しはじめた






「…無かった!大丈夫だった!やめてよもう!本当に焦ったじゃんか!」

清雅は所長室と、扉で区切られている自室の二部屋を一通り調べ終わってから安堵した顔で風見の前に戻ってきた






「良かったです。僕もホッとしました。
では募集はしておきます。それまではシフト調整をして何とかします。僕もなるべくサポートしますので所長も宜しくお願いします。」


「はい了解しました。宜しくね 」


「それで…ここからが本題なんですが__」

清雅は、ん?と風見を見たが風見はどこか悲しそうにでも真剣な目で章和達3人にも言った事を話し始めた






「山中君の事ですが_______」