※これは妄想腐小説です※
「………マヂか…」
「そんな事があったんだ…」
「私も驚きですね…というかその出会った人というのは?」
章和の言葉に2人も風見を見た
「それが…山中君を送ってきて貰ったのでお礼がしたいと言ったのですが、帰られてしまって…」
「帰った?」
「はい。引き止めたんですけど…」
風見は残念そうに顔を歪めて言った
「これはお礼するべき…だよな?」
慧翔は潤哉と章和を交互に見て確認をとるように聞いた
「それは相田さんの仕事ですね。あの人が代表ですから。
風見君?その人の連絡先とか分かりますか?」
「…いえ。山中君の方ばかり気にしていたので名前も聞いてません。すみません…」
「風見君は悪くないでしょ?まさか自分で帰ってきてくれるなんて思わなかっただろうし…」
「潤哉君の言うとおりですね。普通だったんですよね?彼…?」
「はい!外のゲートの前で私達が出ていくまで待っていました。
いつもの山中君なら…壊していてもおかしくないんですけど、さっきは何もおきなくて……本当に人が変わったようで…」
「それも全て、その送ってきてくれた名無しさんのお陰って事か?」
慧翔は本当に?と言いたげな顔で風見を見た
「そう…だと思います。
山中君が言ったんです「迷惑かけてゴメンなさい」って…
僕、それだけで嬉しくなってしまって涙ぐんじゃって。
でも、それも彼が促していたみたいで…言い終わった後に山中君は彼を見て笑ったんです。彼の方も優しく微笑んでいて…
そんな2人を見て確信しました。彼が山中君を変えてくれたんだって__いや、あれが山中君の素だとすると、彼が本来の山中君に戻してくれたんだって!そう僕は思いました」
風見は一気に話した
「なんか感動する話だね」
「俺は未だに信じらんないけどな!つうか、そんな簡単に解決する話じゃなかっただろ!?
この前までは手に負えないって話してたじゃないか!?だからここから____」
「櫻庭さん止めて下さい!!」
風見は慧翔の言葉を遮って声を荒げた
「な、なんだよ!本当の事だろ!?」
「止めて下さい!…それを聞いたんです山中君は!!
うちの職員の誰かが口走った「あの子は迷惑でしかない。早く他所にいってほしい」って会話を…だから!だから山中君は……」
「…それで自分から出て行った…という訳ですか」
「そうです…。我々大人が、しかもここで働く者が言ってはいけない言葉なんです。
それを彼に聞かせてしまった…僕達が悪いんです。
彼を追いつめた…僕達が追い出した。ここは守る場所なのに。彼の居場所を僕達は……」
風見は罪悪感でいっぱいだったのだろう。
自分が言った事ではないのにまるで自分が悪いと感じているように涙を流していた。
「風見君。我々は何もいえません。事実、そう考えていましたから。ここの為にも、そしてここにいる人の為にも…
正直、解決策なんて見つからないだろうとも思っていました。
でも、まさか…彼が自分で見つけてくるとは…驚きました。」
「あのさ…?」
「何です潤哉君?」
「うん。ごめんね、話割って入って」
「構いませんよ?何ですか?」
章和はどうぞ。というように話の続きを促した
「その、山中君だけど…本当にここに戻ってきたの?」
「は?何言ってんだ潤哉?」
慧翔はここにいるだろ?と言いたげに潤哉にかえした
「あ、うん。今、ここに居るのは知ってるけど…その、本当にここに戻ってきたかったのかなって…。」
「潤哉君?どういう意味ですか?」
章和も潤哉の意図が分からずに聞き返した
「俺だったら、そんな事言われた場所には戻りたくないな…って思っちゃって。だって、これからもここにいるならまた何言われるか分からないでしょ?
だれも言ってなくても、1度あった事だから、皆そう思ってるんじゃないか?って疑心暗鬼になるなって思っちゃったんだ…
ごめん!余計な心配ならいいんだ。惑わせたくて言った訳じゃないんだ!」
潤哉のその言葉にいち早く反応した章和が風見を見た。
そう。彼と話をしたのは風見だけだ。
清雅は話しもせずに顔を見ただけで安心して倒れたと聞いた。そして、今も鼾を掻いて爆睡中だ…。
「どうなんです?風見君?」
3人はバッと風見を見たが、風見は黙って俯いている
「風見君?山中君は何か言っていたんですね?」
「…はい。所長と話したい…と。」
「清雅と?何を?」
「迷惑をかけてしまった事を直接謝りたいと…
それと……」
「「「それと?」」」
「それと……ここを出て行く許可が欲しい…と」
「…はっ!?」 「……」 「…やっぱり」
慧翔は驚き、章和は黙り、潤哉は苦い顔をして呟いた…