※これは妄想腐小説です※
この公園はちょっとした遊具と砂場、ベンチが数個、所々に並べられている小さな公園だった。
街灯も間隔をあけて設置されてはいるものの、薄暗さが人を寄せ付けないのか訪れる人は半分寝ているような酔っ払いだけだった。
他のベンチの近くに設置されている街灯は全て点いていたが、このベンチの上の街灯は消えていた。
智仁はその消えた街灯を首を傾げてて不思議そうに見ていた。
横に座る涼は黙ったまま俯いている
その沈黙を破ったのは弱々しく呟いた涼のひと言だった…
「___どうして…?」
智仁は見ていた街灯から涼に目線を移した
だが、涼はその後の言葉が続かなかった。
また沈黙が流れたが、智仁は彼が話してくれるのをただ待った…
「どうして…。どうして___。」
漸く話した涼だったが、聞きたいことが多いのか口をパクパクして声が出なかった
『大丈夫だよ』
智仁はメモ帳に書いた紙を涼の前に出して見せた
「えっ?」
『僕は待てるからゆっくりでいいよ』
メモ帳を持ったまま智仁は優しく微笑んでコクッと頷いた
涼はその顔を真っ直ぐ見れずに目を逸らしてしまった
それでも、その優しい雰囲気を感じ取ったのか涼は落ちつくことができたようで再び話し始めた。
「あ、あなたに…聞きたいことがあって…」
涼はチラッと智仁の方を見ると、智仁はニコッと笑って頷いた。
「え…っと。あなたは僕が見える 」 コクッ
「僕の声も聞こえる 」 コクッ
「僕に……触れる…?」 クスッ
智仁はクスッと笑うと涼の前に手を出した
「…え?」
涼はビックリして出された手を見て、それから智仁を見ると頷いて手を更にだしてきた。
「ダメだよ!!__ごめん!言ったのは僕だけど、僕に触らない方がいい!怪我するかも__」
智仁はフルフルと首を振った後、また手を出した
「…………。」
涼は手を引っ込めたり出したり、何度も迷いながら、それでもおずおずと智仁の手に触れた。
「っあ!!触れた!……い、痛くない!?バチッてなったりしない?」
涼は喜んだ顔をした後直ぐに心配そうに智仁を見て聞いた。
智仁は微笑んだまま首を振って、ギュッと涼の手を優しく握った
「あ……… 暖かい… 」
涼は握られた手を見つめ動かなくなった。
智仁はどうしたのか不思議に思い、涼の顔を覗き込んだ
涼は目に涙を溜め、それを必死に堪えようと唇を強く噛んでいた
強く噛みすぎているのか唇の端に血が滲んでいる
智仁は涼の頬にもう片方の手をおいて自分の目線に合わせた
その顔は哀しげに、そして心配しているように眉毛を下げていた…
その顔を見た涼は…
「…う゛ぅぅ う゛ぅぅぅ……」
声をだして泣き出した…
( 僕は1人だ…1人を選んだ。…自分で
だから、平気なんだ…誰かに迷惑をかける位なら自分から距離をおけばいい。
そうすれば誰も傷つかない。誰も傷つけずにいれる。
誰かの為なんて思ってない。
そう…全部…自分の為。
自分が傷つきたくないから…もう嫌だから。
怖いと避けられる事も、異常だと蔑まれる視線もすべて…
もう…耐えられなかったから
もう…泣きたくなかったから
だから人とかかわらずにいられたら、まだ僕は僕でいれると思った…
ううん。
思ってただけだった…
独りでいなきゃいけないって、そう思って壁を作ったのに…
誰かに壊して欲しかった。
壁の向こうにいる僕を引きずり出して欲しかった。
僕を見つけて欲しかった。
ずっと、思ってしまってたんだ…
必死に隠してたつもりなのに
本当は誰かに分かってほしかったんだ…
ううん。違う…
誰かじゃない。この人なんだ…
この人に分かってほしい。他にはいらないから…
だから…お願い…
僕の話を聞いて…
僕を避けないで…
僕を分かって…
僕は僕でいていいって……言って…
こんなにも__
こんなにも1人が嫌だと思った事はなかったから。
あなたが僕を見て、僕に笑ってくれた。
今、こうして離れることなく側にいてくれる…
お願い…お願い どうか1人にしないで………)
いろんな感情が一気に溢れてきてしまい、必死に1人で耐えていた涼は我慢出来なくなった…
そして、智仁にしがみつくように抱きつき更に大きな声で泣き出した…
智仁は最初戸惑っていたが____
ガサガサ ガサガサ
葉音が聞こえた後、涼の背中に手を回し優しく抱きしめ返した……