※これは妄想腐小説です※
~山中 涼side~
今、何時なんだろ…?
財布しか持ってこなかったから時間分かんないや
ここは公園…だよね?
砂場もあるし、滑り台もあるからきっとそうだ…
…懐かしいな
昔、皆と遊んだっけ…
滑り台は列をつくって順番待ちして、ブランコも取り合いで揉めたっけ…
それに砂場でトンネルつくって向かい側の相手の手を探し当てたり…
楽しかったな…
あの頃はまだ楽しかったな……
戻れるなら…戻りたい
皆と一緒に遊べてたあの時に…
1人でいなくてよかったあの頃に___ 戻りたいよ…
はぁ~これからどうしよう…
ここに来るのにお金、全部使っちゃったし…
僕に行く所なんてないのに…
でも、もうあそこには戻れない
どこに行っても僕は……厄介者なんだ……
はぁ…泣いちゃダメだ。
僕は1人でいるってそう決めたんだから。
泣いても何も変わらない。泣いても…虚しくなるだけだ…
はぁ……
ガサガサガザ
ん?何の音?あ、この木か…。大っきいなぁ~僕が通ってた小学校にもこれに似た木があったなぁ…
そうそう。こんな感じでボコボコしてて__
えっ!人…? 真っ直ぐこっちにくる…。
でも、僕のことは見えない筈だから気づいてなんかないよね……
あ… 止まった…。
木を見上げてる…?何かいるのかな…?
この人…
男の人女の人どっちだろ…? なんか困った顔をして木を見てるけど、でも…すごい…綺麗な人…だな……
何歳くらいだろ?僕と変わらないくらいか、ちょっと上くらい…?
………。
「こっち見ないかな……」
何言ってるんだろ僕!
この人には見えるはずなんて無いのにどうしてこんな事思ったんだろ__
えっ……?
こっち見た!っていうか目が合ってる!? 嘘っ!…僕の後に誰かいたり__
キョロ キョロ
誰もいないよ…ね…。でも僕のことまだ見てる
「……。」
「ぼ、僕のこと見えるの?」
あれ?首傾げてる…。やっぱり見えてない?
「僕の声…聞こえる?」
聞こえないか…。そうだよね。何期待したんだろ僕…ハハ…ハ…
あれ? 何か出した。何だろ?メモ帳?何か書いてる?
えっ__?
彼は書き終わったのかメモ帳を胸の高さまで上げて見せた
『こんばんは』 ペラッ
『僕は話せないの』 ペラッ
『だからこんな紙でごめんね』 ペラッ
彼はメモ帳を持ったままペコリと頭を下げた
「こ、今晩は」
「えっ?」
「いや、大丈夫…だけど。待って!僕のこと見えてるの?」
彼はクスッと笑うとまたスラスラ書いた紙を見せた
『見えてるし、聞こえてるよ』
「見えてるの?本当に!?」
涼は大きな声で言った
彼は少し驚いた後、コクコクと頷いてまた書いた紙を見せた。
『そこに座ってもいい?』
彼はベンチを見て、それから涼を見つめた
「……うん」
涼はただ頷くのがやっとだった…