※これは妄想腐小説です※
















慧翔と潤哉が必死に捜している一方で、彼もまた誰かを捜していた。






「なんで……。なんで何処にもいないんだよ…」

清雅は暗闇の中、ベンチに座り頭を抱え呟いた。




疲れた顔をし、その姿は誰が見ても憔悴しているようだった。




清雅がある人を捜してもう何日も経った。


自分の休憩時間を割いて捜しに来ている為、躰は休まず、グリーンハートの一件も重なって、睡眠もろくに摂れていない状態だった。



自分でも自覚はあった。

このままじゃ倒れてしまうんじゃないか…と。



それでもやめれなかった。

長年捜してきた人に漸く出逢えたのだから。




それなのにいくら捜しても見つからない。


清雅は日に日に焦りを増していた。










ベンチに力無く座っていると、遠くから大きな声で名前を呼ばれた。



お―い!清雅く―ん!


「…えっ!?」

清雅は自分の名前を呼ばれた事に驚き、ベンチから立ち上がり声がする方を見た。






「やっと見つけたよ―!」

そこには嬉しそう顔をした潤哉が手を振っていた






「え?潤哉君どうしたの?ってかどうしてこの場所が分かったの?」

清雅はベンチがある場所からは動かずに、潤哉に声をかけた。






「清雅君を捜してたんだよ!この場所は勘と慧さんの閃き!」


「慧ちゃん?えっ?慧ちゃんも一緒?」


「一緒一緒!慧さんはねあっちの菖蒲が咲いてる所で待ってるよ」


「どうして俺を?」


「それは聞かない方が良いかも…」


「まさか…?」


「それ…だね。」


「一緒に来てるの?」


「此処には俺と慧さんの2人だけだから安心して!あっ!でも…」 


「えっ?でも何?」


「う…ん。慧さんも怒ってた。さっきまでは。
でも今は_落ち込んでる…」


「な、なんで?」


「う~ん。俺にもよく分からないんだけど…今なら少し分かるかも!」


「どういう事?」


「清雅君さ~そろそろこっちに来てくれない?」

潤哉は苦笑いで自分の足下を指差しながら言った







「へ?…ああ。うん。今行くね」

清雅は何故潤哉が立ち止まって自分の方には来ないのか不思議だったが深く考えずに歩き出した。






「凄いね―清雅君は!」

潤哉のすぐ前まで行くと言われた言葉に清雅は何が?と首を傾げた。






「清雅君には分かんないよね。でもこれで納得だよ!」


「潤哉君?…何の話?」


「ん?ああ。気にしないで!こっちの話だから…さてっ!行きますか?」


「……。俺、行きたくないかなぁ~」

清雅は潤哉が行こうとしている方を見て溜め息混じりにこたえた。






「清雅君。俺、無理強いとか嫌いなんだ。

でも今回はゴメン!
清雅君に拒否権はもう無いみたい…。」


「やめてよ~怖い怖い怖い!」


「俺も怖いからね~。
でもこればっかりはどうにもね~
でも、2人にちゃんと説明すれば分かってくれるよ!きっと…!」


「潤哉君それ本気で言ってる!?
あの2人があまくないの知ってるでしょ?
何とか助けてよ~
あっ!ここから逃げればよくない?」


「また?…あ~でも、此処から離れたら離れたらで捉まると思うよ?確実に…ね」


「何何?どういう事?」


「清雅君…。携帯持ち歩いてるよね?」


「携帯?あるよ?ホラッ!」

清雅はポケットから携帯をだして潤哉に見せた






「だよね~。着信とか入ってない?」


「着信?無いよ!音でるようにしてあったけど1度も……あれ?えっ?…電波が無い!」


「…逆に、良かったんじゃない?」


「…ねぇ、潤哉君、それって__」


「…俺口に出したらなんか怖いから言いたくない!」

潤哉は順路を駆け足でホテルの方に戻っていく。







「あ~~~!待って~!せめて、せめて隣にいてよ~~!!」

駆け出した潤哉に遅れまいと清雅も走り出した。