※これは妄想腐小説です※
～潤哉side～
～♪
ん…？誰だろ？ 慧さん？
潤哉は立ち上がり場所を移動するとスマホをスクロールした。
何々…清雅君が電話にでない？どういう事？
あ～。章君が怒ってるのか～これはマズいね……ま、一応俺も連絡してみようかな～
タッ スー タッ タタタッ ッタ
[清雅君？慧さんが電話に出ないって言ってだけど大丈夫？何かあったの？よければ話聞くよ]
よし。送信！ カチャ♪
潤哉はスマホをタップし入力すると清雅宛に送った。
んっ？あれ？早くね？既読ついたけど……
ピロン♪
あ～。返信きた…けど…
[潤哉君、俺は大丈夫だよ～(^O^)/ありがとね～♪電話はね～気付いてるよ～でも、出ないだけなんだ～(^^;)
心配かけちゃってゴメンね～]
出ないだけ…って、余計マズくね？
潤哉は直ぐに返信した。
[大丈夫ならいいんだけど。でも章君も心配してるらしくて、仕事終わったら行くって言ってるって…。
………大丈夫？]
そう送ると直ぐに返ってきた。
[ (((((((゜ロ゜;！？ ]
清雅の心情を表したような返信に潤哉はプッ！と吹き出した。
そりゃ、そうなるよね。でもこのままじゃきっと清雅君の事だから……
そう思った潤哉は返信しようと文字を打っているその時
[潤哉君！報告ありがとう！助かる！俺、ちょっと行く処あるからまたね～♪]
清雅の方が一歩早かった。
その後、何度も清雅に連絡をいれてみるが既読がつくことは無かった。
マジかよ～！これ、逃げたの？そんなことしたら章君もっと怒る事になるんじゃ……。
怖っ！！
想像するんじゃ無かった…
慧さんに一応連絡して……
いや、やめておこうかな。なんか俺が怒られそうだし。それに＿＿
潤哉が首をかしげながら考え事をしていると後ろの方から呼ばれた。
「潤哉さん？もう用事は済みまして…？」
その声に潤哉は持っていたスマホを仕舞い振り返った。
「はい、母さん。終わりました。」
潤哉はいそいそと元居たテーブルへと戻り、ウェイターに引かれた椅子に腰を下ろした。
「お仕事のお話？」
「いえ。友人からでした。」
「まぁ…どちらの？」
「…慧さんですよ」
「あら！櫻庭の慧翔さんね！お元気なの？
この前出来上がったホテルは素晴らしいって噂の的よ！
お兄様方も有能な方々だけれど、三男の慧翔さんも流石、櫻庭の御子息だわ～って皆次々に仰っていたわ」
「そうですか。慧さんは素晴らしい人ですからね。お兄様方にも負けてないんじゃないですか…」
「そうでしょうけど、私には貴方が１番よ。貴方以上の方は何処にも居ないでしょうね。」
「…母さん。恥ずかしいので止めて下さい。」
潤哉は顔に伸ばされた母親の手をそっと払った。
「もう！潤哉さんは冷たいわ！」
「母さん。俺ももう26になるんですよ？流石に子供じゃないんだからこういう事は…」
「そんなことないわ！貴方はいつまでも私の可愛い可愛い坊やなのよ」
「………母さん。」
潤哉は困った顔をして、母親を見た。
「もう！貴方がお父様と海外に行っている間、私は寂しく１人待っていたのよ？
帰国したのに忙しいと言って中々、私との時間も作ってくれなかったじゃない！
やっと出来た２人っきりの食事なんだからいいじゃない！」
「母さん！分かったから！声を抑えて！」
「じゃあ、家に帰ってきてくれるわね？いつまでも別宅にいるなんて酷いわ」
「…その事なんだけど。
俺がまだ別宅にいる事になったのは母さんのせいだよね？
どうして勝手にマンションの契約を破棄したの？俺が決めて手続きも終わっていたのに……。」
「…あそこは＿＿そう！立地が良くなかったのよ！」
「俺が選んだんだよ？そこら辺も十分考慮した上で決めてる。
移動にも便利だし、今俺が通ってる場所にも近いから決めたのに…。
母さん。正直勝手に解約するのはどうなの？俺に相談も無しで！」
潤哉は怒りと半分は呆れが混ざった声で言った。
「貴方の為にした事よ」
「母さん！説明になってない！
あの庭の事だってそうだよ！当分は行かないようにって…何だよそれ？あそこに何かあるわけ？」
潤哉は目を吊り上げていた。
「…貴方が通ってるって言う、あの庭にはもう行っても平気よ。」
「はっ？」
「マンションの事は…そうね。私が相談なしに勝手をしたわ。ご免なさいね。
ただ、貴方の事が大切なの。それだけは分かって頂戴…」
「行ってもいいって……分かんないよ、何なんだよ…」
潤哉は意味が分からない事を並べ立てる母の言葉に頭を抱え溜め息をついた。
暫くしてコース料理が運ばれてきたが、潤哉の顔はまだ不機嫌なままだった。
「まぁ！美味しそうね。ほら潤哉さん、冷めない内に頂きましょう？」
母親が明るい声で潤哉に問いかける。
潤哉は、楽しく食事をする気分にはなれなかったが、料理人の事を考えると食べないわけにはいかないと思い、目の前の皿に手をつけた。
「ところで…」
「なぁに？潤哉さん」
「親父はどうしたの？今日は一緒にって話じゃなかった？」
「お父様はお仕事が入ったそうよ」
「えっ？俺に何の連絡も着てないよ？」
「２人で楽しんでらっしゃいって事でしょ？お父様の事はいいから、ほらこれも美味しいわ！
潤哉さんも頂いてみて」
「…………。」
ほら！と言われた料理を口に運ぶが、味なんてしなかった。
ただ、この居心地の悪い場所から早く帰りたくて潤哉は黙々と食べ続けた…。