※これは妄想腐小説です※
〖………。桜のおじいさん?これ、どうしたの?〗
見ると、葉っぱがある1カ所にだけ落ち積もっていた。
【……いやなぁ~小童がどうも勘に障ってのぉ…】
〖えっ…?小童?〗
【そうじゃ。儂の前で口うるさくての!
…何が400年じゃ!儂は500年はいきとるというのに!
彼奴に少しでも縁を感じた儂が愚かじゃったわい!!】
〖………。〗
【何じゃ?お主も他の木達みたいに儂が大人気ないと笑うか?】
〖…笑わないけど。その小童?って呼んでるのは人の事だよね?人なら、樹齢が分からなかったり、間違えたりって事もあるのかなって……〗
【お主は彼奴を知らんからじゃ!あの小童は儂を此処に連れてきた張本人じゃぞ!そんな奴が儂の事を何もしらんとわ!呆れるわい!!】
先程よりも大きな葉音をたてながら大木の枝が揺れ動く。
〖……ね?そんなに怒らないで…?〗
優しく諭すように手を添えて上を見上げる彼の顔は、悲しそうに眉を下げていた。
【お主は優しいのぉ…。】
彼の顔を見た桜の翁はやっと怒りが治まったのか、荒々しい音を止めた。
〖…落ち着いた?〗
【ああ。すまんかったの。八つ当たりじゃ。お主にあたっても仕方ないのにのぉ。面目ない事をした…】
〖僕は大丈夫だよ。それより…掃除してくれって言われたのはこれの事だったんだ…。〗
彼は、桜の木の周りに落ちている沢山の葉っぱを見て呆気にとられる。
〖いっぱい落ちちゃったんだね〗
【…仕事を増やしてしまってすまんのぉ。】
〖クスクス。いいよ。ちょうど帰る前の挨拶による所だったから。〗
【もう帰る時間じゃったか?】
〖うん。今日の仕事は終わりだよ。〗
【そうか…。
お主には迷惑かもしれんが…これで……
あの小童が関わっているのは癪じゃがの…。】
〖そんなに、その小童さんが気に触ったの?〗
【そうじゃ!それに、彼奴はお気に入りの庭だとかぬかしておるが、此処で仕事をしているお主の事も何も知らんのじゃぞ!?
一緒におった不思議な男の方は見る目があるというのに、あの小童め!!】
〖僕?僕の事は知られなくていいけど…〗
【何を言う!?お主以上の者が他にいるか!
お主は本当に自分の事を分かっておらんの!
これだからお主はほっておけないんじゃ!!】
静かになったはずの葉音がまた少し大きくザワつく。
〖あっ!待って!落ち着いて〗
【…ああ。そうじゃった。面目ない】
葉がピタッと動きを止めた。
〖よかった…。じゃあ僕、道具取りに行ってくるから〗
彼はいそいそと歩きだしていった。
【フン。あの小童のせいでまた気苦労をかけてしまったわい!
しかし…。あの一緒にいた濃い顔つきの若者はいったい何者なんじゃ…?
不思議な色を放っておったが…。
それに…、どことなくあの子と………】
翁はまだ何も知らなかった。
この日常が、ささやかな幸せが危ぶまれる日がくることになるとは…。