※これは妄想腐小説です※
















彼の朝は早い。

今の仕事の都合上、日の出を迎える頃にあわせて朝の4時から始まる。

今までは、夜のシフトに入っていたが、ピンチヒッターとしてこの場所に派遣されていた。

彼の仕事は…








おはよう。今日も良い陽気になりそうだのぉ



クスクス



なんじゃ?なんぞあったか?


おい?聞こえておるじゃろ?



_____、_______。



当たり前じゃろ!分かって言っておるわ。儂を誰じゃとおもっとる?



___?



その通りなんじゃか、もう少しのぉ~…



__?



ダメではないがのぉ。《桜の木さん》と呼ばれるのは…なんとも…むず痒い気がしてのぉ…。折角こうして話せるのにお主はいつまでたっても……



〖  _______?



お主が話さないのは知っておるとも。しかし、儂にはお主の“声”がちゃんと聞こえておる。前から言っておるだろ。儂らには人が発している“言葉”など意味がないのだと…。】 







………。



どうしたんじゃ?


……考えてたの


おお!呼び方をか?


うん。嫌なんでしょ?だから何て呼べばいいのかなぁ~って…


では、爺と呼んでおくれ


爺?それはちょっと……


ダメか?儂は良いと思ったがのぉ~


う~ん…。じゃあ、桜のおじいさんでいい?


まだ堅苦しい気がするが…


フフッ。はい。決まりね!それじゃあ僕、他も見て回らないといけないからそろそろ行くね


仕方ないかのぉ~。じゃが終わったらまた儂の所に寄ってくれるんじゃろ?


うん。来るよ。そうしないと桜のおじいさん拗ねちゃうでしょ?


儂がいつ拗ねたというのじゃ!?


えっ?僕が最後にあいに行かない日とかあると、次の日怒ってるよね?最初に必ず文句言うでしょ?だから、拗ねてるのかなぁ~って


す、拗ねとらんわ!!


クスクス。は~い。そういうことにしておくね~。じゃあ、行ってくるね~

彼は優しく微笑むと、片手を挙げて手を振り、残りの仕事を片付けるために歩いていった。




拗ねとらんからの~!!これ!聞いとるかぁ~!?儂はただ………

桜の木は大きな音を出し彼の小さな背中に問いかけたが、彼は振り返らなかった。








儂はただ…お主と少しでも長く一緒に居たいだけなんじゃがのぉ………



見えなくなった彼をおもい、桜の木は悲しげに小さい音で呟いた…。








それを聴いていたのは、羽を休めに停まった数羽の小鳥達だけだった。