※これは妄想腐小説です※
「なぁ、章。お前は一緒にいかなくていいのか?」
「なぜです?」
「なぜって…一応経営者だろ?それに、いざっていう時にはやっぱり章の力が必要なのかなって…」
「一応…ってヒドいですね。ちゃんとした経営者の1人ですよ!フフ。でもそうですね。挨拶が済んだら行きますよ。でも…今回は…」
「難しいのか…?」
「難しいというか…私では役にたたないと言ったほうが正確ですね。」
「そんなに?」
慧翔は驚いた顔で聞き返す。
「フフ。珍しいですね。気になりますか?」
「当たり前だろ!いつも気にしてるって!でも俺じゃ役にたたないだろうし…」
「そんな事無いと思いますけど。」
「いや、あるから!!それに清もどこか疲れた顔してたし…」
「慧さんも疲れた顔してますよ?」
章和は含み笑いを隠しながら慧翔をのぞき込み言う。
「俺の事はいいんだよ!今日が終われば休みが採れるんだから!!」
「そうでしたね。お疲れ様です。」
「ああ…ありがとう。…ってだから!俺の事じゃなくて~!」
「フフフ」
「何だよ!?その含み笑い!」
「いや……優しいなぁと思いまして」
「はぁ?俺はいつでも優しいだろ?」
「…はい?それ本気で言ってます?」
「えっ?俺、優しくないの…?」
「いえ。私たちにはいつも優しいですよ」
「じゃ、十分だろ。他に誰を気にしろって言うんだよ…?」
何言ってんの?という顔で慧翔は章和の顔を見た。
「そうでしたね。慧さんは“内”にいれた人間には甘い人でしたもんね。その他は…。」
「…?えっ?何の話?」
「フフ。本人自覚なしだから、周りにいる人は大変ですね。」
「???」
「何でもないです。あっ、ほら、手招きされてますよ!さっさと行きましょう!」
章和は慧翔のスーツの裾を引っ張り、歩くように促した。
「うん?ホントだ。よく分かんないけど呼ばれてるし、行こうか」
慧翔は章和の前にでて歩きだした。
そんな慧翔を章和は優しく微笑みながらおもった。
慧翔の中には“内”と“外”という区別が存在している。
本人は無意識なんだろうが、周りの人間は慧翔がする対応で、ある程度判断できてしまうほど明確だった。
勿論、章和も清雅も潤哉も“内”にいる人間として区別されているため、慧翔は昔から優しい。
そんな慧翔の対応を章和は嬉しくもあり、こんな日常が変わらないで続いて欲しいと思っていた。
………あの人が現れるまでは