※これは妄想腐小説です※
「ねぇ…ねぇ!…。ねぇ!!章ってば!!」
清雅に腕を揺すられて章和はハッと気づき不機嫌な声で答えた。
「何です?」
「何じゃないよ!呼んでも一点を見つめて動かないし、聞こえてくるのはため息ばっかり!」
「そうですか…ハァ…。」
章和はぶっきらぼうに答えた。
「あぁ~!またため息!そんなに俺のモチベーション下げたいの?顔がどうこう言ったの章なのに~!」
清雅は章和が何に対して不機嫌になったのか分からないからまた、プンプン顔で言い出した。
「………。」
章和は考えた。
思った事を言うのは、簡単だ。
でも、ここは家じゃない。公の場。
2人でもないし、その他大勢がいる。
そして何と言っても祝いの場なのだ。
「…ボウッとしてました。ため息も…気をつけます。」
章和は穏便に済ませようと、心にも無いことをスラスラと言い放った。無表情で…。
「もぅ!気をつけてよ!?」
清雅はやっと納得したかのように章和の腕から漸く手を離した。
「…はい。」
章和の内心は決して穏やかでは無かったが、こんな所で騒げない…という常識が勝った。
彼の内心は…
触れない方がよさそうだ…。
「ところで、どうする~?」
清雅が章和を覗き込みながら、また不思議な事を言い始めた。
章和は平常心、平常心と心の中で唱えながら、清雅を見返した。
「どうする?…とは?」
「あれ。」
清雅は横目でチラっと見ながら指さした。
あれって何?
と思いながら章和は清雅が指さした方に視線をむけると、そこには腹に手をあてしゃがみ込む慧翔の姿が…。
「あぁ。忘れてました。」
「そうだね~ちょっとの間、忘れてたね~」
章和と清雅は困ったように眉尻を下げ、目の前の慧翔の姿を見下ろすかのように上から眺めた。