※これは妄想腐小説です※














『ねぇ誰か教えて…
僕は何のために産まれて、何のために今、ここにいるの…?

ねぇ誰か…お願い…僕を___』




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都内某所。

新緑が光を放つかのように青々と眩しい季節。よく晴れたこの日、ある会社が手掛けた新ホテルのオープニングセレモニーが執り行われた。


来賓の挨拶も乾杯の音頭も終わり、ウェイターが忙しく動き回っている。

そんな賑やかな会場から離れたロビーの一角で彼は腕時計をチラチラ見ながら来客を待っていた。


「おーい慧ちゃ~ん♪」

彼は呼ばれた方に視線を向けると、スラッとした長身の男がくしゃっとした笑顔で手を大きく振っていた。


「よぅ!こっちこっち!」

慧とよばれた男も彼の笑顔に自然と笑顔になって手招いていた。


「久しぶりだなぁ~元気だったかぁ?」


「うん!久しぶり~♪元気元気!見てよ~元気そうな顔してるでしょ?」

彼はほらっ!と言わんばかりに自分の顔を指さしながら聞いてくる。


「…はっ?まぁ、そうだな。顔色は良さそうかなぁ…?」

全開の笑顔で聞いてくる彼に、少し困りぎみに眉尻を下げる。

それでも言葉の意図を必死に読み取ろうと手を顎にあて、彼の顔を凝視してみる。


「顔色?違うよ顔だよ!!滲み出てるでしょ?顔に元気が!」

さも当たり前に言う彼を前に、うん。と何かに納得したように一度頷いてから


「ごめん。無理。さっぱり分かんねえ」

両手を挙げ降参!と言わんばかりに笑いながら返した。


「え~~!何で分かんないかなぁ~。慧ちゃん修行が足りないんじゃないの~!」

長身の彼が少しむくれ顔をして腰に両手をあてながら言う。


「いや!待て待て!修行って何だよ?そもそもさ__」

2人のたわいも無い言い合いになりかけたその時、


「慧さん。真面目に答えてたら会話になりませんよ」

長身の彼の後ろからヒョコッと顔を出して現れた小柄な彼が、腕を組み、呆れた顔をしながら2人の話に割って入った。