【連載】
鉄道トリビア
363 「パレオエクスプレス」の「パレオ」由来は男の子が大好きな…

杉山淳一

[2016/07/16]


「パレオエクスプレス」といえば、秩父鉄道が春から秋にかけて運行するSL列車だ。今年5月に西武鉄道の西武秩父駅まで乗り入れ、話題になった。この夏も7月20日と8月27日に西武秩父発三峰口行を運行予定だ。

妄想急行
秩父鉄道「パレオエクスプレス」。今年5月に西武秩父駅への乗入れが実現した


「パレオエクスプレス」の蒸気機関車C58形363号機は1944(昭和19)年に製造され、釜石機関区に配属された。その後、東北地方の機関区を渡り歩き、1972年に引退。埼玉県の小学校に静態保存されていた。復活のきっかけは1988年のさいたま博覧会だ。JR東日本の大宮工場で約1年間かけて整備され、同年3月から秩父鉄道の熊谷~三峰口間で「パレオエクスプレス」として運行を開始した。当時の客車は旧型客車の43系だった。2000年から現在の12系客車になった。

ところで、「パレオエクスプレス」という列車名の由来は何だろう。SL列車の名前は、大井川鐵道の「かわね路」、JR西日本の「SLやまぐち号」など、日本語を採用する事例が多い。そのほうが蒸気機関車時代らしいし、昭和の雰囲気もある。それに対して「パレオエクスプレス」とは、かなりおしゃれな名前に思える。

夏期に運行される「パレオエクスプレス」という名前から、女性は水着のパレオを連想するのではないか。パレオとはスカートのような衣類で、もともとはタヒチの民族衣装だった。これがアメリカでビーチファッションとして流行し、日本でもビキニの水着の上に着用するファッションアイテムとして広まっている。

女性だけではなく、男性もパレオは大好きだ。ひらひらと風に舞い、見えそうで見えないというか、なんというか。あれはロマンだ。蒸気機関車とは違う種類のロマンだ。おっと、つい筆者も興奮してしまった。しかし、落ち着いて考えると、蒸気機関車と水着はちっとも関連しない。パレオを着た女性は南の島の旅行案内などでも見かけるけれど、秩父に南国リゾートの雰囲気もない。そもそも海がない。蒸気機関車にスカートが付いているわけでもない。なぜ、パレオなんだろう。

……と、さんざん引っ張っておいて申し訳ないけれど、「パレオエクスプレス」の「パレオ」の由来は衣類ではなく、古代生物の海獣「パレオパラドキシア」である。かつて秩父鉄道沿線で、世界でも珍しいパレオパラドキシアの化石が発見された。それは秩父がかつて海だった証拠になったという。これを記念して「パレオ」を列車名に採用した。

パレオパラドキシアは、環太平洋地域の日本や北米、メキシコなどの水際で生息し、約1,300年前に絶滅したと考えられている。体の長さは最大で約2m、カバに似た草食動物だった。秩父地域では化石の発見場所の地層などから、約2,000万年前に生息していたと考えられている。男の子が大好きな恐竜の一種と言いたいけれど、恐竜の多くは約6,600万年前に絶滅しているため、生息した時期が異なる。それでも古代生物としては恐竜と同じくらい興味深い。

パレオパラドキシアの化石は、日本では埼玉県秩父市のほか、埼玉県小鹿野町、福島県伊達市、岐阜県土岐市、群馬県安中市、岡山県津山市で発見された。このうち、福島県伊達市の梁川標本とアメリカ・スタンフォード大学の標本は、世界で2つだけの完全な骨格標本だという。秩父の化石は6体分もあり、2016年に国の天然記念物に指定されている。

ちなみに、パレオパラドキシアという名前の由来はラテン語だ。パレオが「古い」、パラドキシアはパラドックス「不思議な」という意味を含む。つまり、パレオパラドキシアは「古い不思議な動物」という意味になる。これにならうと、「パレオエクスプレス」は「古い急行列車」となるから、じつはSL列車の名前としては絶妙なセンスといえそうだ。


-引用ここまで。-


> 夏期に運行される「パレオエクスプレス」という名前から、女性は水着のパレオを連想するのではないか。パレオとはスカートのような衣類で、もともとはタヒチの民族衣装だった。これがアメリカでビーチファッションとして流行し、日本でもビキニの水着の上に着用するファッションアイテムとして広まっている。

女性だけではなく、男性もパレオは大好きだ。ひらひらと風に舞い、見えそうで見えないというか、なんというか。あれはロマンだ。蒸気機関車とは違う種類のロマンだ。おっと、つい筆者も興奮してしまった。


 別に興奮しませんが。自分で言うのも変ですが、ぼくは、
画像が無くても、文字だけで、像が浮かぶ妄想家なのではありますが。
今回の記事は、
筆者様が、おひとりで踊っていらっしゃる、ギャグなのですね。
【連載】
鉄道トリビア
362 電車の天井にあった丸い扇風機が消えた理由

杉山淳一

[2016/07/09]


もうすぐ梅雨明け、そして夏本番。冷房の効いた電車は快適だ。ところで、昔は電車の天井に扇風機が付いていた。羽根だけではなく、本体ごとグルングルンと回る。車内の暖かい空気が天井に上っていき、それを扇風機が吹き下ろす。だから清々しい風ではなかった。乗客はなまぬるい風を浴びたものだった。良くいえば「身体に優しい風」だ。

最近の電車で扇風機を見ることは少なくなった。なぜ扇風機は消えたのだろう。クーラーがあるからに決まってるじゃないか、という単純な話ではない。クーラーがある電車でも扇風機があった。扇風機が消えた理由は、クーラーの設置方式と冷気吹き出し方式が変わったからだ。

冷房装置 1
集中式冷房装置と分散式冷房装置


1960年代後半から家庭用クーラーが普及し、カラーテレビや自動車と合わせて「新・三種の神器」と呼ばれた。当時の国鉄や大手私鉄も、大混雑で熱地獄になった通勤電車に冷房装置を搭載し始めた。

ここで、冷房装置の搭載方式が2つに別れた。集中式と分散式だ。集中式は車両に大型の冷房装置をひとつ取り付ける。分散式は複数の小型冷房装置を取り付ける。これは電車の屋根の上を見ればすぐにわかる。

国鉄が初めて採用した電車用冷房装置は分散式。1956年に登場した東海道本線の電車特急「こだま」用の151系だ。小型で冷房能力は小さいため、複数設置する必要がある。しかし、これは逆に、1台が壊れても他の機械で補えるという利点がある。また、稼働音が小さいというメリットがあった。分散式はその後、当時の急行用車両の2等車(現在のグリーン車)に採用されていく。実績を重ねて進化し、量産効果で低価格になっていく。

集中式は通勤電車として開発された103系に採用された。1972年の新製車両から搭載され、後に既存の非冷房車両も改造された。1台あたりの価格は高い。ただし、ひとつの車両に1台のため、製造時の取付け工程が少なく、メンテナンスも楽だ。大量に製造される通勤電車にふさわしい方式といえる。

ただし、設置場所が1カ所だから、車両全体を冷やすためにエアダクト(通風管)を使って冷気を行き渡らせる必要がある。この冷気吹き出し口はファンデリア、またはラインデリアと呼ばれている。ファンデリアは照明のシャンデリアに送風機能をつけたという意味。ラインデリアは送風機能のみ、ライン(線)状になっているという意味だ。

冷房装置 2
集中式はエアダクトを併用する


集中式冷房装置は屋根上の重さも集中する。搭載するには車体の強度とエアダクトが必要だ。したがって、集中式は新車で作るときに向いている。非冷房車両を改造する場合は、車体の補強やエアダクトを設置するために、改造の手間や費用がかかる。

そこで、既存の車両を冷房化する場合は、分散式の採用率が高かった。非冷房車は扇風機を搭載していた。冷房化改造するときに扇風機を残した。こうして、冷房装置と扇風機を両方搭載する車両が増えた。初めから分散式を採用した電車でも、扇風機を搭載した電車もあった。通勤電車の過酷な混雑では、分散式を採用しても、さらに扇風機を併用して冷気をかき混ぜる必要があった。

冷房装置 3
分散式と扇風機を併用して空気を混ぜ合わせる


集中式と分散式の両方の利点を持つ「集約分散式」もある。冷房装置を複数搭載し、ラインデリアで冷気を行き渡らせる方式だ。集中式より装置は小さく、1台が故障してももう1台が稼働するため、システムの二重化もできる。技術の進歩で小型軽量化も進んだ。トンネル断面の小さな地下鉄銀座線でも、01系や1000系は屋根に2機の冷房機を搭載する集約分散式を採用している。

冷房装置 4
集約分散式


最近の新製電車のほとんどは集中式、あるいは集約分散式で冷房装置を搭載している。冷風の送り込みはラインデリアを使う。一方、冷房化改造で扇風機を残していた車両は寿命を迎えて廃車となった。こうして電車内の扇風機は廃れていった。もっとも、ラインデリアも横型のファンが回っており、広い意味では扇風機だ。正しくは「最近の電車から丸い扇風機が消えた」というべきかもしれない。


-引用ここまで。-


> 一方、冷房化改造で扇風機を残していた車両は寿命を迎えて廃車となった。こうして電車内の扇風機は廃れていった。

 結局は、これだけのことではないですか。
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鉄道トリビア
361 箱根登山鉄道があじさいを植えた理由は観光客のためではない!?

杉山淳一

[2016/07/02]


根登山鉄道の名物といえば「あじさい電車」だ。沿線各所の線路際にあじさいが植えられており、箱根湯本駅付近では6月中旬から見頃になる。終点の強羅駅付近は6月下旬から見頃とのこと。高低差の大きい路線だけに、高度が上がるほど開花の時期が遅くなる。開花の期間は10~20日間のようだから、6月下旬は沿線全体で開花する時期といえそうだ。ケーブルカーに乗り継げば、7月下旬まであじさいの見頃だという。

萼紫陽花
あじさいに囲まれて走る箱根登山鉄道の電車


箱根のあじさいは自生した品種ではない。日本のあじさい自生地は伊豆半島や伊豆諸島などで、自生する品種はガクアジサイが多いという。ガクアジサイは小さな花の集まりの外側だけ大きな花びらをつける。花びらが多く鞠のような姿になる品種はホンアジサイと呼ばれ、ガクアジサイをもとに園芸品種として作られたそうだ。

ホンアジサイは種ができないため、おもに挿し木で増やしていく。つまり、あじさいの観光名所のほとんどは自生地ではなく、植木職人や花を愛する市民が時間をかけて株を増やした結果だ。箱根登山鉄道のあじさいも鉄道職員が植えたそうだ。総数は1万株以上ともいわれている。しかし、箱根登山鉄道のあじさいは観光目的ではなかったようだ。

萼紫陽花 2
箱根登山鉄道とあじさいの秘密を紹介した「鉄道ピクトリアル」1990年9月号


雑誌「鉄道ピクトリアル」の1990年9月号によると、箱根登山鉄道があじさいを植えた理由は「土留め」だった。箱根登山鉄道の線路際は盛り土が多く、法面が雨で流されやすい。そこで、あじさいを植えて地中に根を巡らせ、土の流出を防いだ。あじさいは土留めに有効なだけではなく、花も楽しめる。第二次世界大戦の終戦以降に植栽が本格化し、数十年の月日をかけて今日のような名物になった。

1975年頃から社員による「沿線美化委員会」が結成されて、あじさいシーズン前に総動員で下刈りやメンテナンスを行っている。そのような努力の結果、当初の土留めの役割よりも、満開の花が全国的に知られるようになった。夜間のライトアップは18時30分から22時まで。あじさいは昼もライトアップ時間帯も定期列車から眺められる。1994年から全席指定席の「夜のあじさい号」の運行も始まった。6カ所のライトアップ地点で徐行または一時停止を実施し、強羅行は宮ノ下駅、箱根湯本行では塔ノ沢駅で長時間停車。電車を降りて撮影を楽しめる。

ところで、前出の「鉄道ピクトリアル」誌によると、あじさいだけではなく、やまゆりを植えようという案もあったという。やまゆりは神奈川県の県花だ。直径20cmに達する大きな花が咲くため、群生させると見栄えがある。しかし、やまゆりの球根は「百合根」として食用にもなる。そのせいか、せっかく植えても野生のイノシシが食べてしまう。箱根は国立公園だから、イノシシを捕獲してはいけない。残念ながら、やまゆり案は試験段階で不採用となってしまったそうだ。

ちなみに京王電鉄も1990年から井の頭線であじさいを植えている。こちらも降雨時の斜面崩壊を防ぐ目的があり、「季節ごとに咲きそろう草花をお客様に楽しんでいただく」と報道資料に明記している。あじさいの他にサザンカやツツジも植えているそうだ。


-引用ここまで。-


 よく知っているのですが、「ガクアジサイ」は、ガクアジサイなので、
花びらに見えるものは、ガクだということを。


> 雑誌「鉄道ピクトリアル」の1990年9月号によると
> 前出の「鉄道ピクトリアル」によると

> 法面が雨で流されやすい
> こちらも降雨時の斜面崩壊を防ぐ目的があり

 何故、こうなるのですか。
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鉄道トリビア
360 電車の運転中、運転士がガムを噛むことは認められている

杉山淳一

[2016/06/25]


鉄道ファンにとって、電車の運転席の真後ろは絶好のポジションだ。前方の展望を楽しめるし、運転士さんの挙動や運転席のメーターも興味深い。ところで、運転士さんがときどき口をもぐもぐと動かしている。どうやらガムを噛んでいるようだ。電車の運転士さんはガムを噛んでもいいのだろうか?

近鉄贔屓
電車の運転中、ガムを噛んでもお咎めなし?(写真はイメージ)


「運転士」「ガム」で検索すると、目撃談や写真、動画がいくつか見つかる。そしてコメントでは賛否の論議が起きている。「不謹慎だ」という人もいれば、「眠気覚ましになるし、事故になるよりいい」という人もいる。「鉄道会社に通報すればいい」「新聞社にニュースとして採り上げてもらおう」と過激な声もある一方、「密告するなんてひどい、運転士の人生を左右するようなことはやめるべき」という穏健派もある。総じて「ガムはダメ」「ダメだけど、許してあげたい」との見解に別れるようだ。

そういえば、バスや電車の運転席の後ろには、「夏期は制帽を省略いたします」とか「業務のため携帯電話を使用する場合があります」という表示もある。正当な理由があっても、いちいちクレームを入れる人がいるのだろう。面倒な世の中になったものだ。しかし「眠気防止のためにガムを使う場合があります」という表示はない。「ガムはダメ」派の根拠は、そんなところにあるのかもしれない。

実際には、多くの鉄道会社において、ガムを噛んだ運転士が咎められることはない。過去の報道を検索すると、鉄道会社の見解として「眠気防止のため黙認」との声が紹介されていた。JR貨物では煙草も認められており、機関車の運転席に灰皿も設置されているという。

そんな中、近畿日本鉄道は公式サイトで「ガムOK」と記載している。これは画期的な見解かもしれない。掲載場所は「きんてつこどもクイズ」だ。公式サイトのトップページから「企業・採用」のページへ、さらに「安全・社会・環境・広報活動」に進んだページにバナーがある。「きんてつこどもクイズ」は「1 あんぜんクイズ」「2 かんきょうクイズ」「3 でんしゃのなまえクイズ」の3分野あり、「1 あんぜんクイズ」の6問目がガム問題だ。

きんてつでんしゃの
うんてんしさんが うんてん中に
しても いい ことは
どれでしょう?

1 たばこをすう 2 あめをなめる 3 ガムをかむ 4 うめぼしをたべる


正解は「3 ガムをかむ」である。解説にはこう書いてある。

ガムを かむ ことで
ちゅういりょくが ふえるので
じこを おこさないように
うんてん中に
ガムを かんで よい
ことに なっています。
かまない 人も います。


……噛まない人もいるんだね。義務ではないんだね。そりゃそうだ。

ちなみに、日本チューインガム協会の公式サイトには、ガムの効用として「脳波では個人差がかなり認められるものの、浅い眠りのときに出現するθ(シータ)波の出現率がガム咀嚼により抑制され、覚醒レベルの低下の抑制が認められた」とある。また、カフェイン、菊花エキス、イチョウ葉エキスが配合されたガムは「咀嚼直後の高い覚醒レベルが持続し、咀嚼後期の30分まで高レベルに維持された。またガム咀嚼終了後も覚醒レベルの維持が認められた」という。商品名はこの成分を検索すると出てくる。

というわけで、近鉄では「運転中にガムを噛んで良し」だ。他の鉄道会社は黙認のようだけど、近鉄は公表している。すばらしい。他の鉄道会社も見習ったほうがいい。あいまいにしたままだと、「真面目に勤務している運転士さんがネットで晒される」という事例が野放しになってしまう。制帽省略や携帯電話使用のように掲示したっていいくらいだ。

なお、「きんてつこどもクイズ」は子供向けコンテンツだけど、大人が挑戦しても楽しい。とくに「3 でんしゃのなまえクイズ」の誤答選択肢にはニヤニヤした。クイズの作者も楽しんでいるようだ。さあ、大人も子供も、楽しみながら近鉄電車を学ぼう!

※写真は本文とは関係ありません。


-引用ここまで。-


> さあ、大人も子供も、楽しみながら近鉄電車を学ぼう!

 今日は、ガムの話題で統一されると思ったら、
このような締め方をするなんて、近鉄様から、幾らリベートを受け取ったのでしょうか。
関東に、お住まいの筆者様が。
三重県方面へ出掛けるときでも、JR東海派なので、近鉄電車には乗りません。
【連載】
鉄道トリビア
359 鉄道ファンは列車の走行音を聞いただけで路線や駅を特定できる!?

杉山淳一  [2016/06/18]


今月初め、あるテレビ番組で「閉じ込められたタレントを探す」という企画が失敗に終わった。タレントがSNSで示した手がかりをもとに、居場所を探って助け出すという内容だ。このときの重要な手がかりが「電車の走行音」だった。結果として、その場所は間違いだったようだ。しかし、鉄道の設備に詳しい人なら、電車の走行音で路線や場所を絞り込める。走行音の何が手がかりになるのだろう?

最もわかりやすい手がかりは、車輪がレールの継ぎ目を通過するときの「ガタン、ガタン」という音だ。この音と法則を知れば、誰でも電車の連結数がわかる。たとえば、「ガタン、ガタンガタン、ガタンガタン、ガタンガタン、ガタン」と聞こえたら4両連結だ。「ガタン、ガタンガタン、ガタンガタン、ガタンガタン、ガタンガタン、ガタンガタン、ガタンガタン、ガタンガタン、ガタンガタン、ガタンガタン、ガタン」の場合は10両連結である。一連の音の長短ではなく「ガタン」の回数で正確にわかる。なぜなら、走行音は電車の構造と結びついているからだ。

変擬音語 1
電車の構造と音の関係


最近の電車の多くは、1つの車両の前後に2つの台車がある。台車には片側から見て2つの車輪が付いている。つまり、1両だけで走ったとき、レールの継ぎ目において車輪は順番に「ガ」「タン」「ガ」「タン」と音を出す。ただし、前の台車と後ろの台車の間隔が空いているから「ガタン、ガタン」となる。2両の場合は、1両目の後ろの台車と、2両目の前の台車が近いから「ガタン、ガタンガタン、ガタン」となる。つまり、編成の最前部と最後部のみ「ガタン」ひとつ。その間に連結部の「ガタンガタン」がある。だから「ガタンガタンの数プラス1」が電車の連結数となる。

ここで電車が10両とわかった段階で、10両編成が走っていない路線は対象外だ。山手線は11両だから対象外。もちろん都電も対象外。京王井の頭線も5両編成だから対象外。こんな風に絞り込める。もっとも、10両編成は大手私鉄やJRの通勤区間でたくさん走っているから絞り込みにくい。むしろ、3両編成の場合は東急池上線・東急多摩川線ではないか、2両編成なら東武亀戸線・小泉線ではないか、などと推理できる。採用路線が少ないほうが特定しやすい。

複数の列車の音を組み合わせると路線を特定しやすい。京急本線の場合、12両、8両、6両、4両の列車がある。1つの路線でこれだけの種類がある路線は珍しい。小田急電鉄の場合、ロマンスカーの一部は連接車体を採用しているから「ガタン、ガタン、ガタン、ガタン……」となる。連接車体は珍しいから、小田急電鉄は特定しやすい路線といえる。

貨物列車も特徴的な音が出る。機関車の車軸が多いからだ。たとえば、EF81形電気機関車は6軸だから、2軸+2軸のコンテナ車を連結すると「ガタタタタタン ガタン、ガタンガタン……」となる。

変擬音語 2
特徴的な車輪配置の例


電車の連結数以外の要素もわかる。まず、首都圏のほとんどの鉄道は「ロングレール」という、継ぎ目の少ないレールを使っている。継ぎ目があったとしても、駅間の場合は隙間がないタイプで、通過音は小さい。つまり、そもそも「ガタンガタン」という音が鳴る場合は駅のそば、あるいはポイントを渡るときだと予想できる。

列車の速度の変化もわかる。「ガタンガタン」という音のテンポが変化すれば、電車が減速したり加速したりしているわけで、やはり駅の近くだ。テンポが変わる電車と変わらない電車があるなら、停車する電車と通過する電車があることになる。急行通過駅である。駅のそばは道路が多く、踏切もあるはずだ。しかし駅のそばで踏切警報音が聞こえないとしたら、その路線は高架化されていると考えられる。レールの継ぎ目を通過する車輪の音だけでここまで特定できる。

鉄道車両に詳しい人なら、モーターや制御機器の音、ブレーキ用のエアコンプレッサーの音、警笛などで車両の形式を当てられるだろう。わかりやすいところでは、京急電鉄で採用された「ドレミファを奏でるインバータ音」があるし、進行方向によって警笛音を変える会社もある。遠くから電車の警笛が聞こえたとき、こちらに来る電車か、遠ざかる電車か判別するためだ。この法則を知っていれば、音だけで電車の進行方向までわかる。

ただし、これだけのヒントがあっても、ピンポイントで場所を特定するとなるとかなり難しい。路線と駅の種類がわかる程度だ。だからテレビ番組の企画でも、間違った場所に企画の参加者が集まって、付近の人々に迷惑をかけてしまったわけだ。

それでも、電車の走行音から得られる手がかりは多い。同じように、自動車ファンやバスファンも走行音で車種などが判別できるだろう。最近は誰でも自宅から動画をアップしたり、ストリーミング放送したりできる。外部の音を紛れ込ませると、その場所を特定されてしまうかもしれない。くれぐれも注意してほしい。


-引用ここまで。-


> 外部の音を紛れ込ませると、その場所を特定されてしまうかもしれない。くれぐれも注意してほしい

 音より、画像ではありませんか。
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鉄道トリビア
358 舞浜駅の駅名・地名の由来は「マイアミ・ビーチ」である

杉山淳一  [2016/06/11]


JR京葉線舞浜駅といえば、東京ディズニーリゾートの最寄り駅。休日はもちろん、平日も楽しげな家族連れでにぎわっている。2014年度のJR東日本の乗車人員ランキングは57位で、1日平均7万7,029人だ。この数は降車客を含まないので、実際にはほぼ倍の15万人くらいが乗降しているといえそうだ。

曖昧舞浜
JR京葉線舞浜駅


舞浜駅の駅舎のデザインや駅員の制服なども東京ディズニーリゾートの雰囲気に合わせている。JR東日本で駅独自の制服がある駅は、この舞浜駅と日光駅の2駅だけだという。

その舞浜駅の駅名の由来は所在地の舞浜である。ここまではよくある話。しかし、その舞浜の地名の由来がおもしろい。米国フロリダ州のマイアミビーチだ。舞浜駅がある浦安市の公式サイトに説明があった。

第1期海面埋立事業で昭和50年11月29日誕生。字名(地区名)「舞浜」は、この地区に大規模レジャーランド(東京ディズニーランド)が建設されるため、米国フロリダ州のディズニー・ワールドの近くにあるマイアミビーチにちなんで命名されました。

舞浜はもともと埋め立て地で、地名がなかった。地名を考案しているときに東京ディズニーランドの候補地となった。そこで、マイアミビーチから「マイ」の音をいただいて「舞」とし「ビーチ」は日本語訳の「浜」として「舞浜」と名づけられた。なにやら楽しそうな地名である。

東京ディズニーランド設置の正式決定は1977(昭和52)年で、開園は1983(昭和58)年だった。舞浜駅の開業は東京ディズニーランド開業から5年後の1988年だ。京葉線のルートはもともと京成電鉄が新線として構想しており、浦安の海岸を埋め立てて大規模に開発する計画だった。東京ディズニーランドは京成電鉄の沿線開発の一環であり、運営主体のオリエンタルランドは京成グループの企業である。

しかし京成グループは経営危機に陥り、ディズニーランド誘致成功を待たずに新路線計画から撤退する。その後、国鉄は千葉臨海地域と武蔵野線方面を連絡し、さらに東京・汐留貨物駅を結ぶ貨物路線を計画した。これを旅客用に転じて開業した路線が京葉線だ。1986年に千葉港(現・千葉みなと)~西船橋間が開業。1988年に新木場駅まで延伸した。このときに舞浜駅も開業している。京葉線東京~蘇我間の全線開通は1990年だった。

舞浜駅は、京葉線建設計画では西浦安駅とされていた。駅名の決定にあたり、ディズニーランドの最寄り駅であることから、ディズニーランド前駅にしたいという要望があったという。しかし、ウォルト・ディズニー・カンパニーの許諾が得られなかったそうだ。駅は街のランドマークである。ディズニー側が駅周辺に「ディズニーランド前」という駅名を関したマンションや商店が現れることを嫌ったとか、鉄道事故でディズニーの名がついた駅名を報道されたくなかった、などという説があるようだ。いまとなってはどれも噂の域を出ないけれど、結果として、地名がそのまま駅名になった。

それにしても「マイアミ・ビーチ」を「舞浜」とは中途半端な気がする。「アミ」はどうした。千葉県には大網駅もあることだし、「舞網駅」や「舞網浜駅」でも良さそうなものだ。そこまでそっくりいただいてしまうことには抵抗があったのだろうか。そもそも「ディズニー・ワールドの近くにあるマイアミビーチ」というけれど、地図を見たら約300kmも離れている。ちっとも近くない(笑)。

ところで、テレビドラマ好きにとってマイアミといえば、ディズニー・ワールドというより、刑事ドラマの『マイアミ・バイス』だ。もしかしたら……と検索してみたら、やっぱりあった『マイハマ・バイス』。2009年に「ATTENTION, PLEASE!」という演劇ユニットが笹塚(東京都渋谷区)の劇場で公演していた。舞浜駅のロッカーが爆発した事件を捜査する刑事が主人公で、「ダンスあり、笑いあり、涙ありの」物語。「魔法を守る為のマイハマの王国」が登場したようで、ちょっと危なっかしいけれど観てみたかった。


-引用ここまで。-


> ディズニー側が駅周辺に「ディズニーランド前」という駅名をしたマンションや商店が現れることを嫌ったとか

 もしも、ぼくのほうが間違えていたら恥ずかしいのですが、
これは、「冠」が正解だと思いますが。

 記事本文中に、登録商標が何度か記述されていますが、
いわゆる、「マルR」の表示が無いのですが。
ATOK様で変換することは出来るのですが、環境依存文字の為、
ブログでは使用が出来ません。
 今回も、「いえそうだ」とか「だという」などと、
自信の無さがよく現れています。
【連載】
鉄道トリビア
357 きっぷの表面の色は白、色に見える部分は柄だった

杉山淳一  [2016/06/04]


普段、ICカード乗車券を使っていると、近距離で紙のきっぷを使う機会は少ない。きっぷといえばどんなイメージだろうか。「薄い色の紙に駅名や日付、料金が印刷されている」というイメージかもしれない。惜しい。きっぷの紙の表面には色が付いていない。文字や線がびっしりと印刷されている。これを地紋という。

持論爆発 1

持論爆発 4


きっぷを拡大して見てみよう。JR東日本の近距離きっぷは、幾何学模様の中に「JR」と「E」の文字が印刷されている。長距離きっぷも色は異なるけれど、同じ模様と文字だ。光にかざすと、「JR」のロゴマークが大きく反射する。

持論爆発 2

持論爆発 5


東京メトロはロゴマークが大きく描かれていてわかりやすい。都営地下鉄は東京都のマークの他に「東」「京」「都」の漢字を図案化した柄が入っている。

京王電鉄と小田急電鉄は同じ柄で向きが違う。じつは、関東の大手私鉄をはじめ、私鉄各社で同じ地紋を採用している会社が多い。「てつどう」と「PJR」の文字が入っている。きっぷ収集家は「PJR地紋」と呼んでいるようだ。

持論爆発 3

持論爆発 6


なぜ同じ柄かというと、同じ用紙メーカーから仕入れているからである。用紙の柄を共通化すれば大量生産できる。きっぷの用紙代が安くなるというわけだ。かつて東武鉄道は社章が入ったオリジナル地紋の用紙を使っていたけれど、最近はPJR地紋を使っている。

ところで、「PJR」とはどんな意味だろう。きっぷ用紙を印刷している会社、山口証券印刷の公式サイトによると、「PJR」は「PRIVATE JAPAN RAILWAYの略」とのこと。直訳すると「私有、日本、鉄道」だ。つまり私鉄という意味になる。

用紙を共通化してコストを下げるなら、JRも東京メトロも都営地下鉄も同じ地紋を使えばいいのに……と思う。しかし、PJR地紋の意味を考えると、かつて国鉄だったJRグループでは使いにくい。都営地下鉄も私鉄ではなく公営事業だ。東京メトロは日本民営鉄道協会に加入しているけれど、大株主は日本国(財務大臣名義)と東京都で、株式を公開するまでは私鉄とはいえない。

きっぷの裏面は茶色または黒だ。この色は磁性体の色だ。きっぷはロール紙の状態で券売機にセットされ、きっぷの販売時に磁性体部分へ行先や日付、料金などの情報が書き込まれる。きっぷの表面は感熱紙になっていて、熱転写プリンターや家庭用ファクスと同じしくみで印刷される。最近のJRの長距離きっぷは、裏面にも注意書きが印刷されている。これは磁性体を塗った後で、あらかじめ印刷している。

JRの長距離きっぷの用紙は王子製紙グループが開発した「2色マルス券」だ。マルスはみどりの窓口の発券システムの名前だ。この用紙も感熱紙だけど、黒と赤に変化する成分を含んでいる。用紙に熱を与える「サーマルヘッド」という部分で、熱エネルギーや濃度を変化させると、黒だけではなく赤色も出せる。

ただし、現在は2色印刷機能を運用していないようだ。JRのきっぷは広範囲で発券できるし、マルスも全国規模で展開しており、端末数も多い。すべての機械が2色印刷に対応しないと使いづらい。ではなぜ先行して「2色マルス券」を使っているかというと、2色印刷以外にいくつもの偽造防止技術が採用されているからだ。詳細は非公開とのことだが、2色印刷は機能のひとつにすぎない。

ICカード乗車券の普及によって、かつては誰もが知っていた紙のきっぷの地紋も、いまやトリビアといえそうだ。


-引用ここまで。-


> きっぷの紙の表面には色が付いていない
> 長距離きっぷも色は異なるけれど

 色が付いているではありませんか。

> 東京メトロは日本民営鉄道協会に加入しているけれど、大株主は日本国(財務大臣名義)と東京都で、株式を公開するまでは私鉄とはいえない

 東京メトロは、12年前まで、「帝都高速度交通営団」です。

> 熱転写プリンターや家庭用ファクスと同じしくみで印刷される

 熱転写プリンターは、インクリボンを使用しているので、しくみが同じではありませんが。

> 現在は2色印刷機能を運用していないようだ

 いいえ、大いに運用されていますよ。
新幹線改札機に、きっぷを通すと、乗車券に、入出場日時と駅名が赤色で印字されます。
他にも、2日以内に変更すると、そのことが赤色で印字されるのですが。

> きっぷの表面の色は白、色に見える部分はだった
> ICカード乗車券の普及によって、かつては誰もが知っていた紙のきっぷの地紋も、いまやトリビアといえそうだ

 はぁ、「地紋」と記述したり、「柄」と記述したり、統一性がありませんね。
【連載】
鉄道トリビア
356 ひたちなか海浜鉄道は、総延長約2万1,000kmの路線の一部である

杉山淳一  [2016/05/28]


ひたちなか海浜鉄道湊線は、茨城県ひたちなか市を走るローカル鉄道だ。JR常磐線の勝田駅と太平洋岸の阿字ヶ浦駅を結ぶ14.3kmの路線である。さらに線路を延伸し、国営ひたち海浜公園までの3.1kmを整備する計画がある。ところで、ひたちなか海浜鉄道は、もっと長大な路線の一部であり、世界の人々が利用しているという……って、どういうこと?

茨城交通 1
ひたちなか海浜鉄道に、長大な路線が乗り入れている!?


ひたちなか海浜鉄道は長大な路線の一部だ。どのくらい長大かというと、約2万1,000kmである。現在の湊線の約1,050倍である。国営ひたち海浜公園への延伸どころではない。この小さなローカル鉄道に、そんな野望があったとは知らなかった。約2万1,000kmといえば、そのまま東へ延ばし続けたらアメリカに到達し、また戻ってきそうな勢いだ。

その通り。約2万1,000kmの長大な路線はアメリカに到達している。ただし、鉄道ではない。光ファイバーによる日米間海底ケーブル「PC-1」だ。その経路の一部がひたちなか海浜鉄道湊線を通っている。ひたちなか海浜鉄道が2015年に発行した『湊線百年史』の第12章に、こんな記述がある。

平成12年NTTコミュニケーションズは、アメリカとの間の光海底ケーブルPacific Crossing-1(PC-1)を敷設し、阿字ヶ浦を陸揚げ場所に選択した。

それに伴って、平成11年度に、大手通信事業者3社(当時、KDDI、グローバルアクセス、ソフトバンクテレコム)と光ファイバーの長期賃貸契約を締結し、勝田~阿字ヶ浦間の線路脇にケーブルのトラフを敷設した。この賃貸料が湊線の重要な収入源になる。


つまり、ひたちなか海浜鉄道の線路の隣に、光ファイバーという「通信の線路」が通っている。

海底ケーブルの敷設は茨城交通が経営していた頃に行われた。ただし、賃貸料の収入があっても鉄道事業の収益は思わしくなかった。鉄道を存続させるため、2007年にひたちなか海浜鉄道として第3セクター化すると決まったとき、茨城交通は光ファイバー賃貸業務を含む鉄道事業部門を分社化した上で、その株式の半数をひたちなか市が取得した。ひたちなか海浜鉄道は現在も、線路の一部を「PC-1」に貸しているというわけだ。

茨城交通 2
日米を結ぶ光ファイバー「PC-1」(白地図専門店の素材「世界地図 (C)2006-2016, Sankakukei.」を使用)


ちなみに、「PC-1」は阿字ヶ浦から海底に潜り、アメリカ大陸ではワシントン州のシアトル郊外にあるハーバーポイントで陸揚げされている。その距離をGoogleMapの距離測定機能で調べたところ、最短経路で約7,500kmであった。また、「PC-1」は二重化されており、三重県の志摩とカリフォルニア州のグローバービーチを結ぶ路線がある。NTTコミュニケーションズの報道資料によると、4地点を結ぶケーブルの総延長が約2万1,000kmとのこと。「PC-1」の敷設当時の設計容量は3.2Tbpsだった。新技術の採用により、2013年に8.4Tbpsに拡張されている。

インターネットで北米大陸のWebサーバーにアクセスしたり、アメリカの友人とメールしたりしている人は、気づかぬうちにひたちなか海浜鉄道のお世話になっているといえそうだ。いや、日本やアメリカを経由して、世界中の人々の情報が、ひたちなか海浜鉄道の線路脇を通っているなんて、じつに愉快な話ではないか。


-引用ここまで。-


> じつに愉快な話ではないか

 まったく愉快ではありません。
愉快なのは、筆者様、おひとりだけなのではないでしょうか。

 相変わらず、自問自答の連続です。
知識豊富だということは、もう、充分に判りました。
無駄を省いて、判りやすい文章で書いて下さい。
おばかな、ぼくは、この筆者様の記事には、いつも理解に苦しまされています。
【連載】
鉄道トリビア
355 乗り物酔いする乗客のため、エチケット袋を備えた特急列車がある

杉山淳一  [2016/05/21]


エチケット袋といえば、乗り物酔いで気分が悪くなったときに使うもの。飛行機やバスの座席のポケットに常備されている紙袋だ。日本の航空業界では「吐袋」ともいうそうで、列車では見かけない備品である。しかし、日本では唯一、エチケット袋を備えた列車がある。岡山~出雲市間を結ぶJR西日本の特急列車「やくも」だ。

無統一性
最後の381系特急「やくも」。列車名は短歌の枕詞「八雲立つ」から


特急「やくも」は1972年に誕生した。運転区間は岡山~出雲市間で、一部列車は益田駅まで達した。山陽新幹線が岡山駅へ延伸したため、それまで山陰本線などを経由して京都・大阪と山陰地域を結んだ特急列車に変わり、岡山駅で新幹線に接続して山陰地域を結ぶ列車だった。しかし、当時はエチケット袋は用意されていなかった。

エチケット袋の装備は1982年から。その理由は使用車両の変更だ。ディーゼルカーのキハ181系から電車の381系になった。すると乗客に乗り物酔いの症状が増えてしまったという。つまり、エチケット袋を装備した理由は「やくも」ではなく381系にあった。

381系は曲線区間を高速に通過するため、日本で初めて振り子式車体傾斜機構を採用した。曲線区間で列車の速度を上げると、列車は安全に通過できたとしても、乗客は遠心力でカーブの外側に押しつけられてしまう。自動車で急カーブにさしかかって片側に押しやられるような感じだ。そんな遠心力で揺らせては、乗客にとって不快だし危険だ。しかし曲線通過速度は上げたい。そこで曲線区間では車体を内側に傾けて、外へ向かう遠心力を下へ向かう力へ分散させようと考えた。それが振り子式車体傾斜機構である。

車体傾斜機構は新幹線のN700系やE5系にも使われている。空気バネを使った電子制御式だ。しかし、381系の振り子式は原始的な構造だった。台車に左右方向に動くコロを設置し、車体の重心を下げる。こうすると、カーブで遠心力が働いたときに、車体の下側が先にカーブの外へ出ようとする。振り子の原理で、車体は内側に傾く。

振り子機構は、一定の遠心力がかかるまで、摩擦力に押さえられている。そのおかげで、些細な車体の揺れでは振り子機構は働かない。駅構内の分岐を通過するときや直線区間では安定する。時速50km以下では振り子機構が作動しないしくみになっている。

ところがこれが裏目に出てしまう。列車が曲線区間に入り、一定の遠心力がかかった瞬間にガクンと揺れる。カーブが終わっても、振り子の揺れ戻しがある。その結果、従来の列車にはない独特の揺れが発生し、時速50km以上では収束しない。振り子機構の副作用だ。これが乗り物酔いの原因となったという。そこでエチケット袋の登場となった。

特急「やくも」は381系を導入した3番目の列車だ。最初に導入された列車は大阪・名古屋~長野間の特急「しなの」で、1973年だった。1978年には天王寺~白浜・新宮間の特急「くろしお」に導入された。これら3列車はすべてエチケット袋が用意された。

その後、「しなの」は2008年、「くろしお」は2015年に381系の運用を終了した。現在、381系を使用する列車は「やくも」だけ。つまり、日本でエチケット袋を常備する唯一の列車となった。全席の座席ポケットに入れられていたエチケット袋は、現在は車端部の洗面台横に配置されている。

振り子機構は改良され、その後に開発された車両では制御付き自然振り子式を採用している。曲線区間の位置をコンピュータに登録しておき、電子制御で車体を少しずつ傾ける。N700系やE5系の車体傾斜方式は前述のように、振り子機構は持たず、電子制御で空気バネの圧力を調整して車体を傾ける。

国鉄時代に製造され、原始的な振り子機構を搭載した381系は、最も新しい車両でも1981年生まれ。製造から35年経っている。筆者が2016年3月に乗車したときは、乗り物酔いしそうなほどの独特な揺れは感じなかった。鈍感だからかもしれないが……。このとき、ある駅でJR西日本の関係者に聞いたところ、「ここの381系はまだまだ走りますよ。現場としては新しくしてほしいんだけど」と話していた。


-引用ここまで。-


> 飛行機やバスの座席のポケットに常備されている紙袋
> 当時はエチケット袋は用意されていなかった
> エチケット袋を装備した理由は「やくも」ではなく381系にあった
> 現在は車端部の洗面台横に配置されている

 僅かこれだけの記事で、こんなにも表現が異なることは、ある意味、尊敬に値します。

 現在でこそ、列車を始めとした乗り物好きな、ぼくですが、
小学生時代は、乗り物酔いが激しかったので、エチケット袋には、何度もお世話になりました。
だから、知っているのですが、紙袋ではありませんが。
エチケット袋の中に入る物は、液体なので、紙では都合が良くないのではないですか。

 今回の【連載】も、焦点が判りません。
その「エチケット袋」のことを語りたいのか、振り子車輌の仕組みを語りたいのか、
いったい何なのでしょうか。
ご自身が知識豊富だということを、自慢したいのでしょうか。
模型の世界首都へようこそ


模型王国
クリアファイル&ストラップ



 戦利品です。