死ぬ事は生きる事 | 手記

手記

戯去戯来自有真


この4月に大事な人を亡くした


家族は母と祖母と僕の3人
母はまだ若い、祖母は足腰が弱いけど元気
僕は28歳、カナダにいる
造園の仕事をしに6月に戻って来た

父親の記憶はほぼない
中3の引越しの時に前の家を片付けていると、一枚の写真を見つけた
父親だと分かった
顔が僕と同じだった笑

片親の子供は、よくグレたりするけど、
僕の場合、いろいろあったけど真っ直ぐ育ったと思う(自分で)

その要因に、小3でサッカーに出会えたこと
サッカーを通して友達が沢山できたこと
そして、保育園からサッカーを始めるまでの間、
そんなに寂しい思いをしなかった事だと思う

母は20で僕を産んだから、
当日、20代半ばから30前
よく母の友達に遊んでもらった

虫とりや旅行、誕生日会、スノーボード、サッカー、父親参観の代行(母の友達の旦那さん)まで笑

本当によく遊んでもらったと思う
感謝している

僕がサッカーを始めたのはケイイチ君の影響だ
社会人サッカーの試合を見に行って、サッカーが好きになったらしい。
草っ原でサッカーを教わった
2人で電車に乗って水族館にもいった


そしてしばらくの間、みんなで集まる時に姿を見せなくなった
車の中で『ケイイチ君は?』
って聞いたら誰かが『東京に行った』
そう言っていた気がする
友達を失った感じで悲しかったのを覚えている

あれはきっと小学1年2年か、そこらの時だと思う

大人になってから、仕事やら、人間関係やらいろいろあったんだろうなぁとは察しが付いた。

僕はまだ小学生だったから、
新しい環境や、新しい友達、いろいろな事が日々起きて、更新されていく中で、ケイイチ君のことは忘れてしまっていた

そして時は流れて大学2年、20歳
酒を飲めるようになった年
毎日が楽しくて楽しくてしょうがなかったある日

母の別の友達から電話をもらった
『ケイイチ君のことを覚えいるか?会いたがっている、今度飲まないか?』
驚いた
なにせ、10年と少し会っていない
もちろんokしたけど、
僕からしたら完全に過去の人
何故会いたがっていたのか不思議に思った

その日、家の近くの居酒屋でケイイチ君と飲んだ
記憶のままだった
10数年ぶりに僕を見て
『大人になったなぁ、よかったよ!まともで!』
彼の中の僕は子供のままだったらしく、子供の頃と大きく変わっていることが不安だったらしい
20歳当日の僕はだいぶチャラついてはいたものの、人としてはまともに見えたらしい笑



そこから付き合いが再開した
大学の時にはケイイチ君のラーメン屋さんでバイトもしたし
2人で温泉旅行にもいった
大学を卒業して東京に出てからも
帰ったら顔を出して、たまに電話もした
海外に行くと言った時は
『お前、マジでか!?』
凄く驚いていた
父親という厳格なイメージよりは
僕にとって、いつも遠くで暖かく見守ってくれる優しいく、安心できる存在

そしてあの再会の日から7年
カナダから一時帰国をして、普通にバイトをしていたある日、一本の電話をもらった
『ケイイチ君が癌で入院している、お見舞いに行ったほうがいい』
それだけ聞いて、夜のバイトはお休みを貰ってお見舞いに行った

数ヶ月に会ってる俺は、
元気づける為に、どんな話をしようとか
何を聞こうとか、なんて声をかけようとか
自分なりに頭を整理して病室を訪ねた

一瞬にしてパニックになった
その時ケイイチ君は生きてるのがやっとだった
何が起きているかさっぱりわからなかった
急すぎた
面会の時間も終わり
明日来る約束をした
ラーメン屋で一緒にバイトをした僕の友達も、東京から次の日駆けつけた

でもその夜、ケイイチ君は亡くなった

聞きたいことも聞けなかったのが悔しかったし
大好きなラーメンももう食べれない
一通りの悲しみが去った後は無になった

27年生きてきて、はじめて身近な人をなくした
時間が経っていろいろ思う


1番は死ぬことについて考えた
考えている。が正しいかもしれない
どう死ぬかわからないけど、自分も死ぬのは間違いない
人がどうやって亡くなるのかをこの目で見た
絶対に本気で生きてやる
そう思った
3年くらい前から、本気で生きている自負はある
でもやっぱり波がある
燃えてる時もあれば、そうでもない時もある
気合ばっかり入って、物事はそんなに進んでない事もしばしば





最近は、どうだろうか?
どこか不完全燃焼感がある
そんな俺を見かねてか


ケイイチ君が夢に出てきた
何を言われたか覚えてないけれども
喝を入れられていた気がする
普段、そういう人ではないのに
『もっと本気で行け!』
そう言われてたのかも



後から聞いた話
会っていなかった10数年も
僕のことを気にかけてくれていたらしい
死んでもまだ気にしてくれるなんてありがたい
気が抜けないね


でも
人は死んだら無に帰ると思う
天国にも地獄にも行かずに
ただ無になると思う
仏教の考え方は好きだけど
輪廻転生はないと思う
神は人が作ったと思う

悲しいけど、そうだと思う
だからどーでもいいのではなく
だから頑張ろうと思う