お笑い芸人・タレントの若林正恭さんの紀行文。

エキナカの本屋さんでパッと手に取って購入。キューバ、モンゴル、アイルランドの紀行文です。読み始めたときは小説だと思って購入したので「あ・・・タレントの旅もんやったか・・・。失敗した」と思ったのです。

しかし、全編において若林さんの正直な嘘のない言葉に引き込まれました。

キューバを旅先に選んだ理由、ガイドさんとのやりとり、アイルランドでの孤独など、どれもこれも人に言えず隠しておきたいことが正直な言葉で綴られていました。

タイトルになっている「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」も、野良犬の方が何か誇り高いものだと感じた、そうだ。そしてキューバに旅立つ飛行機の中で「灰色の街と無関係になる」と思い、そしてその灰色の街に帰り生きる糧である仕事をし生きていく覚悟。

嘘が普通になっている人間関係、人を蹴落とし上がっていく芸能界(知らんけど・・・)の中で、ばか正直に生きていくのはつらいことだったと思う。しかし、そのことが分かっているからこそ、ずっと重用されているんだと感じた。

ふと思い返すと、本書を読む前から人の悪口やこき下ろし笑いに変える番組が多い中で嫌な思いをしない番組のMCは若林さんだったと思う。