草彅剛さんが主演の映画「ミッドナイトスワン」の評判を聞いて手に取った本書。

新宿歌舞伎町で生きるLGBTの凪沙。育児放棄されている親戚の子、一果を預かったときから人生の舵が大きく方向転換する。はじめは嫌々ながらお金のために一果を預かっていたが、一果のバレリーナとしての素質を伸ばすという目標を見出してから母性本能にも目覚めていく。しかし、本当の母親が出てきたことからその方向は思い通りに行かなくなり、人生が狂い始める。そして一果が凪沙のもとに戻ってきたときにはすでに・・・。

 

何とも切ない物語だった。

育児放棄された女の子と社会から疎外されつつも自分の意思を通して生きてきた男性(女性)。心を通わせ、ようやく一緒に目標を持ち生きていこうと思った矢先に離れ離れにさせられる。一果があのときに母ではなく凪沙の方に行っていたら・・・一果がもっと早く凪沙を訪ねていたら・・・たられば・・・の話になってしまうが、人生にはそのような場面がなんと多いことか。居たたまれない。まだまだ日本でLGBTが受け入れられていないのも問題だと感じた。