幼い頃のTVCM。「戸締り用心、火の用心・・・世界は一家、人類みな兄弟」。このCMに出てくる強面のおじさんを見て、うちの母とかは、「この人、良い人に見えて、悪いことしているんやで」と言った。
こども心に、「そうなんかなあ。顔は怖いけど、あんまりそうは思わんけど」と思ってた。この本を読んで、私のこのときの気持ちは間違っていなかったんだと思った。そりゃ、戦前戦後、悪いこともしただろう。モーターボート競走、日本船舶振興会を作ったから、ボートレースにのめり込んだ父親を持ったこどもは苦しんだだろう。でも、この人がいなかったら、今の負(ふ)の面の日本はどうなっていたんだろう。多くの戦争犯罪人とされた人たちとその家族を救い、ハンセン病患者を救い、サポートし続けた。こずるいことをして私利私欲を貯めた人たちと比べ物にはならないくらい、この笹川良一氏は戦い続けてきたと感じる。新聞のネガティブキャンペーンにより、うちの母のように、笹川氏は悪い人というイメージを植えつけられた。それほど笹川氏は自分の正しいと思うことをやり続けていたのだろう。
一方では、正妻の他に妾さんを何人も持ち、そのご家族は大変だったろう。しかし、本当に大きい人だったと思う。嫁の出産中に自宅に不倫相手を連れ込んだり、活動費をちょろまかしたりする今の小さすぎる政治家に比べると、比べるまでもなく、本当にすごい人だと思う。だから動かすお金の大きさも桁違い。まさしく今の日本を作り上げたといっても過言ではないと思う。政治家を志す人に一度は読んで欲しいと思う1冊であった。