江戸時代のアラサー3人がお伊勢さんにお参りする「抜け参り」をする道中記。この3人、幼なじみで猪鹿蝶と呼ばれていたのはむかしの話。それぞれの悩みをかかえてます。猪のお以乃は、独身無職、恋人なし、元気だけが取り柄。鹿のお志花は、嫁いだ先でお姑さんやだんなさんに言いたいこと言われずおしこまれ、そのうえ息子にも下げすまれる毎日。そして蝶のお蝶は、自分の手で傾きかけてた小間物屋を江戸でも有名な大店にした女性起業家だが、男に弱く男運もない。そん3人が日頃の鬱屈を胸にすべてを投げ出し、突然お伊勢参りに繰り出した。道中でさまざなな事件に巻き込まれながらも成長していくさまが楽しい。江戸時代の旅行事情や清水の次郎長も出てくるなどわかりやすい伏線もなかなか。

