ようやく読破した。全5巻。フィクションで小説。JAL、日本航空に巣食う灰汁、悪を描いたもの。しかし、最後にフィクションであるが、膨大な取材と“事実”に基づき・・・という注釈が加えられている。2002年に亡くなられた小倉寛太郎氏、そして再建に力を入れた会長としてカネボウの伊藤淳氏他の実在の人物をモデルに描かれている。
全5巻という読み応えのある量であったけど、読み終えると、アッという間であった感じがする。
アフリカ篇(上下巻)、御巣鷹山編、会長室篇(上下巻)と進んでいったが、常に主人公、恩地に対する不条理に憤りを感じてばかりだった。入社し、順調に歩んでいた恩地が組合の委員長になり、労働条件改善を訴えたばかりにアフリカの僻地を10年間たらい回しにされる。ようやく日本に帰り、復職できたと思ったのもつかの間、閑職においやられる。そして、あの520人もの死者を出した世界最大の日航機墜落事故が起こる。遺族係として遺族のお世話や補償金の交渉をしていた頃、政府から任命された国見会長に会長室の部長に抜擢される。調査をすればするほど政治的な部分とも絡んだ、闇の部分が出てくる。そしてようやく真実をつかみ始めた頃、会長が解任され、恩地自身も再度アフリカへ・・・。物語はそこで完了となっている。しかし、最後にもっと真実が暴かれた部分が書かれていたら、すっきりしたのにそれがなかったのが残念で今なおもやもやとした感じが残る。
この本を読んで以来、新聞の書かれていることがほんとうに真実なのか、そして、闇の部分を疑うようになった。世の不条理を感じる一方恩地の頑なまでの正義感には憧れる。憧れる一方、今出来ていない自分にもどかしさを覚えた。この本を読んでよかった。
