もう、本当にこの人の頭の中はどうなっているんだろう。「鴨川ホルモー」で京都が舞台だと思ったら、今度は鹿・・・奈良。奇想天外思いもよらない展開で私を翻弄する。えええ!そうきたか、と思ったら、違ったり、またまたこうきた、と思い、シメシメと思ったら違ったり。本の残りのページで想像するっていうのもこの人ならでは。でも、ただ単におもしろいだけではないのが、万城目学。京都大学法学部の知識が出てくるのです。今回は、日本の成り立ちに関して。三角縁神獣鏡という、卑弥呼の墓が九州だ、いや畿内だという論争の中心にある歴史的なものまで出てくる。いつも万城目学の本を読んでいて思うことだけど、出てくる人は、ちょっと意地悪であったり、ちょっと欲深い人は出てくるけど、本当の悪者は出てこない。そして、主人公はどこか、すっとぼけている、だけど純粋。きっと万城目さんも、どこか主人公っぽいんだろうなあ。読後、ほんとおもしろかった・・・と幸せに浸っていたら、地下鉄の中でいい年した中年のおじさんが、爪切りの爪とぎで爪を研いでた。あ~人間っておもしろい。

鹿男あをによし
万城目学 著
幻冬舎文庫
※三角縁神獣鏡については・・・ご参照ください。
http://inoues.net/mystery/3kakubuchi.html

鹿男あをによし
万城目学 著
幻冬舎文庫
※三角縁神獣鏡については・・・ご参照ください。
http://inoues.net/mystery/3kakubuchi.html