やっぱり読む本の最後はハッピーエンドが良い・・・そう改めて感じたのが本書でした。この本は読後がとにかく良い。すっきりしました。442Pもある長編にもかかわらず 途中の中だるみもなく、スイスイ読み進めました。結構笑えるところもありました。そして、今の大きな会社の弱点も切り込んであって愉快、痛快なところも。著者は、ユーモア作家と呼ばれることが多かったようですが、本書を読むとユーモアのエッセンスも少し振りかけながら、次のページへと導いてくれているようでした。

 

物語は、大手広告代理店をある理由から辞め、「球川食品」に再就職した佐倉凌平。入社して3か月後、販売会議でトラブルを起こして「お客様相談室」へ。でも、そこは、リストラ要員収容所と恐れられているところでした。異動早々なぜそのように言われるのかを理解した凌平は家賃やらローンの支払いやらのため、とにかく2か月という期間を設け、辞表を出すのを思いとどまる。しかし、上司の篠崎に指導(?)してもらいながら過ごしているとなかなか楽しくなっていることに気付く。しかし、そのような中、新製品のクレームがあまりにも似通った内容なので変に思い調べてみると・・・。同時に今までは気にしていなかったバンド仲間であり同居人のリンコとの関係も微妙に変化していくさまが面白い。

 

神様からひと言

荻原浩著

光文社 文庫