夜寝る前は必ず本を読んでから眠る。読む本がないと、結構ストレスなので、本が読み終わるとすぐに本屋に直行。あまりジャンルを選ばず、本屋でじっくり観察して裏表紙の内容を少し見たり、新聞の書評欄を参考にして選ぶ。
今回の本は、「森に眠る魚」(双葉文庫、角田光代著)
東京の文教地区の町で出会った5人の母親の物語。育児を通して仲良くなり、プライベートでも一緒にいる、そう、学生時代の仲良しグループのような関係になっていきます。しかし、学生時代と違っていたのは、自分独りの問題ではなくなっているということでした。子供の性格、進学するか否か、家庭の経済状況は・・・など。特に子供に関することで、その関係性は変容していきます。独り身の私のように「イヤなら離れれば良い」というような簡単な関係ではないのです。そして、その関係が彼女たちの心をも傷つけ、むしばんでゆきます。物語でありながら、きっとどこかで普通に起こっていることがこの小説に刻まれているのだと思うと、現代に生きる母親のしんどさと恐ろしさが感じられました。専業主婦だからラクなんてことは全くなく、働く人々同様人間関係に悩み、その上で子供を守って行かなくてはいけないのです。笑顔の裏に隠された悩み。最近感じた「隣の芝生は青く感じる」そんな気持ちが凝縮された本でした。